No.68:思考転換
『大きな打球だぁーっ!!!!!!!』
木村『クソっ!』
ポテ!!
『レフトの頭上越えた!!!!!!!!!三塁ランナーはタッチアップの体勢からホームイン!!!!二塁ランナー朴昌秀もハーフウェイの体勢から今ホームイン!!!!!!一塁ランナーは…止まった止まった!!!!!!!!』
大場『くそ…。』
『七回表上社西高校、ノーアウトフルベースから6番の野村のレフトオーバーの二点タイムリーツーベースで二点を追加し5-2!!!!!!!止まっていた試合が動き出しました!!!!!!!!!』
氷室(くっそぉ…3点差かよ…。)
ザーザー!!!
『おや?どうやら主審が選手を引き上げさせますね。あー中断です。雨がこの回強くなってきたのでグラウンドに出ている選手を引き上げさせます。』
↓途中経過↓(現在七回の表)
上社西| 120 000 2
邦南高| 110 000
ザーザー!!ザーザー!!
邦南ナインももちろんベンチに戻る。
松坂『スゲー雨だな。』
副島『ああ。なんでまた俺らの試合のときに降るかなぁ。』
氷室『ですねーっ。』
ドコッ
翔真もベンチに座る。
(ふーっ。)
大場(3点差になっちまったぜ…。楽しみながら投げるって意識しながら登板したのに…。やっぱり今日は全然ボールが走らねえ…。)
ドコッ
一人でベンチに座っている翔真の横に西口が腰を掛けた。
西口『そろそろ思い出してくださいよ。あの頃の自分の姿くらい。』
大場『お前…俺が何考えているかよくわかったな。』
西口『そりゃあわかりますよ。一応何年も翔真先輩のこと見てますから。』
大場『あの頃の俺って?』
西口『意識しないと楽しくピッチングできない。そんな人じゃなかった。投げること自体に喜びを感じていたんじゃないんですか?少なくとも僕はそう見えてましたよ。』
大場『投げること自体が楽しい…か。確かにな…。』
(いつからだろう…。勝利にこだわるあまりに投げることの楽しさを忘れてしまったのは…。きっと中学の頃だろうな。常勝軍団、名古屋東ブラックシャークに入ってから、引退するまでみっちり『勝つ野球』を教わってきた。今思い出したよ。照丘小のころの阪神大会の南阪小戦のときみたいに投げることも大事なんだ。)
『勝ち負けにこだわらず、精一杯楽しく投球をする。』
西口『どうかしました?』
大場『なんでもねーよ。ほら、雨ちょっとずつやんできたぞ。さあ、キャッチボールでもしとこうぜ。』
西口『はい!』
西口(何か思い出したのかな?)
『雨が弱くなって審判も出てきました。再開するようです。』
『『『 いくぞぉ!!!!!!!! 』』』
『『『『 おう!!!!!!!!!! 』』』』
『7番、ファースト、岸くん。』
『プレイ!!!!!!!』
『さあ7回の表、ノーアウトランナー二三塁から再開します!!』
初球…
野中『大場くん…今日は明らかに調子が悪い。抑えられるのか…?』
ビュッ!!!!!!
ゴウ!!!!!!
岸(ん!?)
ズバーン!
『ストライク!』
《 140km/h 》
『さあこの場面で今日最速のボールがいきました。』
2球目…
ビュッ!!
ゴウ!!!!!!!
岸(くっ…。)
カキーン!
『ファール!』
カキーン!
『ファール!』
カキーン!
『ファール!』
カキーン!
『ファール!』
西口(しつこいな。次はこれで三振を取りに行くぞ。)
西口が下村フォークのサインを出す。
だが、
大場(ここはあれでいく。)
翔真は首を振り、ストレートのサインに頷いた。
大場(三振なんか奪いにいかなくていいんだよ。)
『どうせ、奪えないんだったらさ!』
『リラックス…リラックス…』
大場が足をあげる。
『ボールを感じろ。』
そしてリリースへ
『最後の最後…指先だぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
ビュルッルッ!!!!!!!!!!!!!
西口(のら!?)
バゴーン!!!!!!!!
大場『ナイスキャッチ西口。ミットの紐は切れてないか?』
『『ストライク!バッターアウト!』』
《 149km/h 》
『『『自己MAXタイ記録っ!!!!!!!!空振りの三振で一死二三塁!!!!!!!!!!』』』
大場『どんなもんじゃい!!!!!!!!』
西口(手、いって~。構えたところじゃなかったら捕球できてたか怪しいぞ。)
エースが復活!!!
邦南、終盤に追い上げられるか!?