No.6:本物のフォークボール
先攻:邦南高校
1:P:大場
2:CF:慶野
3:SS:小宮
4:C:西口
5:RF:副島
6:3B:松坂
7:LF:木村
8:2B:島谷倫
9:1B:藤武
後攻:愛知農業大名林高校
1:CF:眞野
2:3B:矢野崎
3:SS:長岡
4:P:下村健
5:1B:江澤
6:LF:天宮
7:RF:成田
8:2B:南
9:C:下村誠
《《《 プレイボール!!! 》》》
『1番、ピッチャー、大場君。』
木村『あのピッチャーチャラいなぁ。』
松坂『だな。』
名林のエースの下村 健太と一年生ながら正捕手の座についた下村 誠は兄弟だ。
二人とも中学の頃から停学処分を食らうほどの問題児だ。
とくに兄の健太は坊主なのに金髪、そしてアゴヒゲまでも金色に染めている。
弟の誠は見た目こそまともだが、内心は廃れていて非常にずる賢い。
矢野 舞『健太!今日も相手をやっつけちゃえ!!』
健太『ったく。バックネット裏にいたら投げにくいじゃねえかよ。彼女なんだから少しは俺のことも考えろよ。』
初球…
(カクッ!)
大場『…!!』
(バシン!)
『ストライーク!!』
大場『初球からインコースのスライダー?なるほど…。厄介だな。変化球には自信があるってか…。』
2球目…
大場『甘い!もらった!!』
(カクッ!)
(スカッ!!)
翔真のバットが空を切る。
『ストライク、ツー!!』
(今のはフォークか…このフォークはそう簡単には打てないな。)
第3球…
大場『ストレートか!』
(カクッ!)
(またフォーク!!ボールだ!)
大場『くっ!あぶね~』
大場はとさっさにバットを止めた。
しかし…
『ストライーク!バッターアウト!』
健太『ザーコ。』
大場『さっきと変化量が…違う。今のは低め一杯のストライク…!』
誠『兄貴のフォークは力の入れ具合、ボールの抜き具合で変化量を自在に変えることができる。おぼえとけ。』
大場『…!?』
誠『あんたの決め球もフォークなんだろ?そんなことできるわけないって?当たり前さ。兄貴はこの辺じゃ敵なしのバリバリの現役ヤンキーだからな。握力は並じゃない。そして…』
審判『君たち!私語は慎みたまえ!!』
大場『すいません。』
誠『まあ話は兄貴が打席にたったときに教えてもらえや。』
大場『あのピッチャー…。手強い。なめてかかったら…。』
その後、2番の慶野も三振。3番の小宮も三振に倒れこの回は無得点。
『1番、センター、眞野君。』
(コン!)
西口『セーフティーバントだ!!』
松坂『足が速い!!ムリか!?』
大場『俺のフィールディングをなめんな!!』
(パシヒュッ!)
(パン!!)
『アウト!!』
眞野『チクショー!』
健太『やるね~。まぁ、エースってのはフィールディングで魅せるんじゃないんだよ。ピッチングで魅せるんだよ。本物のエースならね。そんなにドタバタしてたら見苦しいよ。クスクス。』
『2番、サード、矢野崎君。』
(カキン!)
西口『ショート!』
小宮『一致ょ上がり~』
大場『よし!ツーアウトだ!』
『3番、ショート、長岡君。』
(バシン!)
(バシン!)
西口『よし!2球で追い込んだ!』
大場『フォークだ。』
(カクッ!)
長岡(さあ、演技でもしとくか。)
西口(よし!バッターの体勢が崩れた!打ち取った。)
(カーン!)
長岡『我ながら天才だなぁ。』
(ポン!)
大場『ポテンヒットか。打ち取ったと思ったのにな。』
藤武『大丈夫大丈夫!今のはピッチャーの勝ちだよ!!切り替えて!』
長岡(ククク…。ピッチャーの勝ちだって?俺は狙い済ましてあそこにポテンヒットをしたんだっての。)
健太『ナイスだ長岡。これで相手はフォークに自信を持ったな。隙だらけだ。』
そして…
西口『よし!カウントツーツー!次で決まりだ!』
大場『フォークだな。よし。』
大場がボールを放つ。
健太『このボールを待ってたんだよ!!』
(カクッ!)
西口『よし決まった!ストライクからボールになる!空振り三振だ!』
誠『決まったな。』
健太『こんな偽物フォークでこの俺は…』
(カキーン!!!!!)
低めのボール球を強引に打った。
西口『え…。』
健太『撃ち取れねえよ。凡人。』
長岡『くっくっく。』
(ゴーン!!)
打球はバックスクリーンに突き刺さった。
まず愛農大名林が二点を先制した。
健太『お前は天才じゃない。俺が天才だ。』