表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/382

No.55:ピッチャーは愉快なヤツ


『さあここで邦南高校、一回目の守備のタイムです。内野陣が集まります。』








大場『悪ぃ…。言い訳したくねえけど…今日、全然ボールが走ってくれねえ…。』


西口『ですね…。審判もいつもより判定が辛いですし…。結構厳しいですね…。』



副島『そんな弱気で良いのか!?審判なんか関係ねえ!自分を信じてしっかり腕振りゃ良いじゃんか!!』


島谷倫『そうだ!!ど真ん中でもいい!俺らが守ってやる!!』



『『『そんなこと、できたら今こんなに苦労してねえんだよ!!!!!!!!!!!!!!自分を信じてしっかり腕振りゃ良い?簡単に言うんじゃねえよ!腕振るのなんかいつも意識してやってる!でも今日はいくら振ったって球が思い通りにいかねえんだっつーの!!

ど真ん中でもいい!?なめてんのか!?相手は上社西の打線だぞ!?甘い球いって長打食らってるからこうなってんだろ!?オマエら…勝手すぎるぜ…。自分達は大して守ってもくれねえくせして…いつも俺一人我慢して…踏ん張って…。』』』


大場が今の二人の言葉に対して、今までのものがすべて吹っ切れたように言った。



ポイッ!


大場が持っていたボールを遊撃手の島谷倫暁に渡した。


松坂『ど…どうした?』


大場『そこまで言うならお前が好きに投げてくれ。俺んとこに打たせてくれや。守ってやるから…。』




島谷倫『え、お…おい!』


『すみません。』


横から声が聞こえた。



氷室『ぼ、ぼく…前からずっとピッチャーがやりたかったんですけど、投げていいですか?』



松坂『…は?』

副島『フォ…?』

大場『………?』

島谷倫『な、な、なにぃ!?』


西口『クスッ。』


氷室『あの~、ダメですか…?』



松坂『ダ、ダメに決まってんだろ!俺らの高校野球生活が懸かってんだぞ!』

西口『良いんじゃないんですか?』


松坂『え…?』


西口『打たれると思いますが。』


副島『いや…まずストライク入んないだろ…。』


西口『その可能性は低いでしょう。コイツ、キャッチボールとか見る限り、案外コントロール良いんですよ。どうせ誰が投げたってストライクなら打たれるなら、氷室でオッケーっしょ。』

大場『賛成。』


島谷倫『ちょ…エースのお前がどうしたんだよ!』

副島『いいんじゃないですか?打球が飛んできたほうが試合を楽しめるし。』


大場(何が楽しめるだ。人の苦労も知らずに綺麗事ばっかいいやがって。)


西口『島谷さんもいいですよね?』


島谷倫『く…ああ。』



西口『松坂さんは?』


松坂『みんながそうなら…俺も…。』



西口『よし!満場一致でピッチャーは氷室に交代!!』






『邦南高校、シートの変更をお知らせします。』


--守備位置の変更---

大場:1→3 |

氷室:3→1 |

-------------------





慶野『はぁ!?!?!?!?!?!?』

木村『氷室がピッチャー!?!?!?!?』

鬼頭『Surprised!!』






西口『変化球は持ってるか?』

氷室『うんっ!コレッ!』


そう言って握りを見せてきた。

カーブの握りだ。


西口『カーブか。とりあえず投球練習の7球中2球は試してみろ。それからカーブのサインを実際に出すか出さないか考える。まあ、基本的にストレートしか要求しない。』


氷室『ちょっとちょっとちょっと!!勝手に話進めないでよ!これ、カーブじゃないよ!』


西口『…は?どうみたってカーブだろ。その握りは。…じゃあなんの球種なんだ?』


氷室『フフフ…。コレはね、コレはね…。聞いてビックリしないでね。』

西口『さっさと喋れ。』


氷室『このボールの名前は、【 Y・H -LOVE ZUKKYUN- ボール 】って言うんだよ!』


西口『ワイ・エイチ-ラブ ズッキュン-ボール?』

氷室『そう。自作のオリジナル変化球さ。ちなみにY・Hってのは氷室(ひむろ) 佑介(ゆうすけ)のイニシャルを取ってるんだからね。』


西口は口を大きく開けてポッカーンとしている。


氷室『じゃ、投球練習しよっか。』



西口『もう。呆れてものが言えないぜ。まあそのなんとかボールは正直たぶんカーブだ。』

氷室『カーブじゃないもん!【 Y・H-LOVE ZUKKYUN-ボール 】だもん。』

西口『はいはい。M・J-LOVE 注入-ボールね。』

氷室『マイケルジャクソンじゃないし!!楽しんご(芸人)でもないわ!!!!!!

【Y・H-LOVE ZUKKYUN-ボール】だわ!!』


西口『わかったわかった!わかったから一つ言わせてくれ!』


氷室『もう!!なんだ~?』


西口『誰よりも元気にピッチャーやれよ!!それだけ!』

氷室『当たり前だろ!ピッチャーなんかやっちゃったら…二学期からのクラスで…女の子から…ラブレターが…。ウフフフ。二学期が楽しみでしょうがねえぜ!』



西口『そうだ!!二学期からオマエはモテモテだ!それをよく想像してピッチャーやれ!あと、オマエの大好きな佳美(よしみ)ちゃんはフォアボール出す男が大の苦手らしいぞ!』


氷室『え!?佳美ちゃんが!?…こりゃ…死んでもフォアボールは出してはいけないようだな…。』

西口『ああ。頼むぜ。あとな、佳美ちゃんは、打たせて取るピッチングをするピッチャーがタイプらしいぞ!』

氷室『のあ!?マジでか!!貴重な情報ありがとう!!』


西口『佳美ちゃんにいい姿見せてやれよ!(※ちなみに佳美ちゃんは球場には来ていません。)』


氷室『任せろ!燃えるぜ!バーニング!』



西口が戻っていく。

そして座る。



西口(ったく。相変わらず、調子のいいやつだ。つか、アイツが佳美ちゃんのこと大好きって知っててよかった。ははは。)


氷室が投球練習に入る。


独特のヘンテコ投球モーションから…


ヒュッ!


スパン!


西口『ナイスボール!』

西口(遅っ!)


氷室『次!Y・H-LOVE ZUKKYUN-ボールね!』


ヒュッ!


カクッ!スパン!


西口『またまたナイスボール!!』

西口(思ったよりキレのいい縦のカーブか。案外使える、かも。)







『プレイっ!』


島谷倫『頑張れよ!氷室!』

氷室『おうっ!』




予想もしなかった氷室の登板は、どうなるのか!?





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ