No.54:大乱調…どうすりゃいいんだ!!
『2回の表、上社西高校の攻撃は、5番、ピッチャー、朴昌圭くん。』
『さあここで韓国三つ子クリーンナップの5番、朴昌圭が打席に入ります!このトリオの中で1番の長打力を誇る打者です!』
(バン!!)
『ボール!!ツー!』
野中『先頭バッターにボール先行か。球も走ってない上に、コントロールも定まらない。』
川越『しかも相手が強打の上社西だからな。ボール先行で自分を苦しめてそのあとストライク欲しさに球を置きにいって長打なんかくらう、ってのは避けたいが…。』
野中『こういうときにバックがピッチャーを助けられるといいんだが…邦南の守備力じゃなんともな…。』
川越『5回戦の大峰明館戦では大場がバックを引っ張ってなんとか勝った。今度はバックがピッチャーを助ける番だ。』
カキーン!
『大きい!打球はかなりあがった!レフトの木村くん、落下地点には入れるか!?』
『風が強い…!あぁ!!捕ることができない!!風に流された打球を捕球することが出来なかった!!打ったバッターは三塁へ!スリーベースヒット!!!!』
大場(…。)
川越『今のはなんとか捕ってピッチャーを助けたかったな…。』
野中『ああ…。この回、終わるのはまだまだ長そうだ。』
『6番、レフト、野村くん。』
『さあここで今大会のラッキーボーイ、4回戦と5回線で二試合連続でサヨナラタイムリーを放っているチャンスに強い野村がバッターボックスに入ります!』
西口(ノーアウト三塁。一点は仕方ない。四球でランナー溜めるのは勘弁…。)
大場(正直今のは捕って欲しかった…。道のりはまだまだ険しいぜ…。)
野村(ピッチャーは前の試合と比べたら球威は大分ない。球速も前の試合より10km/hほど落ちている。つまり、苦しんでいる。だから…粘るべきだ。この回、まだまだ何点でもいける。)
(バン!!)
『ボール!!』
西口(落ち着いて…翔真くん。)
(バン!!)
『ボール!!ツー!』
西口(まずい。この流れは…)
ビュッ!!
野村(外角やや真ん中、ストレート!)
カキーッン!!
『打球は右中間を割る!!』
野村『よっしゃぁ!』
『三塁ランナーはもちろんホームイン!2回表、上社西高校、ノーアウト三塁から野村の右中間へのタイムリーツーベースで一点勝ち越し!!2-1、取られたあとすぐに突き放しました!!』
大場(くそ…。甘くなっちまった。)
西口(ここにきてさらに大場さんが若干自分を見失ってる…。さらにいつもよりリリースポイントが早くなって、球が高めに、そしてバッターに見切られやすくなった…。くそ…。他にピッチャーはいないか…?)
西口が邦南のベンチを見る。
小宮と目が合うが、小宮は左足首を故障している。
西口(いるわけねえか…。そもそも小宮をあーしたのはオレだ…。だったらせめて俺が今の大場さんをうまくリードするしかない…。悪いのはオレだ。だけど…どうやって…。今の大場さんをリードすればいいのか…。)
『7番、ファースト、岸くん。』
西口(ここから2番の岩見まで左打者が続く…。大場さんは左投手だが左打者のほうが被打率が高い…。くそ…。くそ…。とりあえず…アウトロー真っ直ぐ…。…。)
ビュッ!!
カキーン!
『打球はセンターへ!!7番岸も繋いでノーアウト一三塁!』
野中『今のも打球が痛烈すぎて三塁ランナーが還ってこれなかった。序盤だがこりゃ本格的にやばいね。』
川越『もはや下位打線にもいとも簡単に打たれてるし。』
西口(今のは注文通りのアウトロー真っ直ぐ…。それを7番バッターにあっさりセンター返しされる…。もうどうすりゃいいんだ!!!)
大場(西口…悪い…。)
『8番、ショート、榊原くん。』
……
……
……………
バン!!
『ボール!!フォアボール!』
『なんとストレートのフォアボール!ピッチャー大場くん、制球が定まりません!!』
川越『8番バッターにストレートのフォアボール…。』
野中『しかもまだノーアウト。さらには満塁だ。』
『9番、セカンド、小山くん。』
ビュッ!!
『デッドボール!押し出しのデッドボール!これでさらに一点を追加して3-1。』
西口(8番、9番に連続四死球…。)
『1番、サード、正親くん。』
西口(ここでこの1番バッターか…。)
片野(邦南高校監督)
『伝令じゃ。』
『さあここで邦南高校、一回目の守備のタイムです。』
西口がマウンドへ向かう。
西口(どうすりゃいいんだ…。)
雨も降る、大場の調子も最悪。
邦南は準決勝にいけるのか…?