No.52:ドラゴンと呼ばれる男-青龍寺翔冴-
(カキーン!)
『強い打球だがショートの島谷倫暁くん、うまくさばいてスリーアウトチェンジ!!1回の表上社西高校の攻撃は一点先制です。』
大場『ふぅ。やっぱあの韓国人のやつらはいい打球飛ばすな。』
西口『たしかに。内角の直球にもうまく対応されてますし。でも厄介なのはあの1番バッター…。正親ってやつです。アイツがこの試合、色々と面倒な打者になりそうです。』
大場『まあアイツの得意コースなら知ってるよ。中学の頃結構対決したからさ。ただ、今日はあんま思ったところに球がいかねえから無駄な情報ってやつだ。』
『1回の裏、邦南高校の攻撃は、1番、ライト、鬼頭くん。』
鬼頭(先発右腕の朴 昌圭、覚えてるよ。世界大会1回戦で韓国をコールドで倒したときの韓国の先発だったやつだ。コイツの中学までの持ち球はストレートとスライダーのみ。それもスライダーはドラゴンには到底及ばない。)
その頃、バックネット裏で座っている享神の桜沢と余語。今日は二人で偵察に来ている。
ちなみに邦南ナイン以外は鬼頭が野球を再開したことは知らない。
桜沢『いやぁ。懐かしいな。』
余語『何がだ?』
桜沢『上社西のピッチャーの朴昌圭。世界大会でフルボッコにしてやったのにわざわざ日本に来て野球やってるとはな。』
余語『あのピッチャーも世界大会に出場してたのか。』
『おい!』
余語『…!?、え…え…』
桜沢『ド、ド、ド、ドラゴン!!』
余語『去年の夏、決勝で俺らを1安打17奪三振完封で全国制覇…春のセンバツは部員の不祥事で出場できなかったが…今年も全国制覇本命の大阪の名門、啓稜学院のエースで4番の青龍寺 翔冴…。なんでこんなところに…!?』
青龍寺『あ?知らねーな。誰だオマエ。ザコが俺に口聞くんじゃねえよ。殺されてえのか。』
余語『くっ…。』
桜沢『おいおい…。相変わらずだな。ドラゴン。もうちょっと気使ってやれよ。かわいそうだろ。』
青龍寺『サク。オマエずいぶんと真面目なやつになっちまったじゃねえか。なあ!』
(ガンっ!)
青龍寺が椅子を蹴った。
回りの人も驚いている。
桜沢『おいおい…。どうしたんだよ…。』
青龍寺『帰る。じゃーな。』
そう言って青龍寺は帰ってしまった。
余語『あいつ…初めて間近で見たけど、あんなに荒れたやつなんだな。』
桜沢『最近は特にヤバイらしい。なんたってあいつ一人で春のセンバツをもぎ取ったのに仲間の不祥事で出場できなくて…その不祥事を起こしたやつはドラゴンにシバかれたらしい。まあ表には出てないがな。』