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No.47:準々決勝へ向けて


大峰明館との熱戦の次の日、

鬼頭が初めて練習に現れた。



大場『今から鬼頭さんに自分の過去のことについて話してもらいます。実力なら他の誰にも劣っていない人ですが皆さんはこの人がこれからスタメンに名を連ねてもいいか判断してください。』


鬼頭『えー…知っている人もいるかもしれないですが、3年E組の鬼頭(きとう) 博行(ひろゆき)です。出身中学は大阪の南阪中学ってとこです。』


副島『な…南阪中学って…あのS.6の出身校のか!?』

氷室『ほんとっすか!?』

松坂『マジだったのかよ…。』


鬼頭『あーはい…。3年前までは今のS・6にmeを加えてS・7って言われてました。だけど自分の進路については公表しなかったんでマスコミもmeが今どこにいるかはわからないはずです。ましてや愛知県にいるなんて。』


島谷涼『すげぇ…。次元が違う…。』


鬼頭『それで中学三年の時、みんなと一緒に中学硬式野球日本代表に選出されて…』

大場『先輩。そこまで話す必要があるんですか?そこから先は言わないほうが…。』


鬼頭『シャラップ。俺のtalkの邪魔をするな。』


大場『…。』


鬼頭『そこから慣れない硬式ボールで連戦連投。お陰で俺の肘はボロボロ。あの頃は俺もまだガキだった。その時はまだ世界大会には連投禁止みたいな決まりはなかった。先のことなんて考えもしてなかった。そしてだ。遂に世界大会決勝。相手はアメリカ選抜。肘にかなりの痛みがあるなかでもオレは世界一になりたい一心で投げ続けた。野球の本場アメリカの高校生だ。当然日本人のやつらとは体格もめつきも全然違う。厳しく攻めていかなきゃ当然勝てやしない。球数も当然のごとく増えていく。そして世界一まであと1球。オレは投げきった。でもな。最後の1球を全力で投げた瞬間。』


そう言って鬼頭は右肘を見せてきた。



副島『それって…。』


鬼頭『手術の跡だ。』

大場『はあ…。』


鬼頭『手術って言ってもただの手術じゃあなかった。中3の夏から2年の冬まで、2年半で合計4回…肘にメスをいれた。』


木村『なんだって!?』

島谷倫『よ…4回…。』


鬼頭『そして今に至る。1ヶ月前にやっと投げ始められたところだ。まあキャッチボールだけだけどな。』


そして鬼頭はその後も話し続けた。




鬼頭『これで俺の話は終わりだ。』

大場『みんな、この人がスタメンでもいいか?』


するとみんなにっこりした。



副島『いいよ!お前が苦労人なのは分かったし、俺もそういうやつ嫌いじゃない!』


キャプテンの副島が真っ先に発言した。


木村『俺も。』

慶野『同感。』

島谷倫『もちろん。』

島谷涼『よろしく頼むよ。』

氷室『はいはい。』

松坂『了解だよ。』

藤武『オレだって同感さ!』

小宮『先輩の言うことなら従いますよ!』

西口『よろしくです!』



副島『だけどね、ヒロはまだスローイングが完全じゃない。できればファーストか外野を守らせたい。だけどファーストで使うのは勿体ない。ライトを守ってもらおうと思ってる。佑介(ゆうすけ)、ファーストの練習やっとけ。藤武は控えに回ってもらう。』


氷室『はいよ。』

藤武『わかってるって!!』



(ピリリリリリリ!!)

副島の携帯が鳴る。


副島『はい。もしもし。…はい。はい。わかりました。伝えておきます。…はい。では。』


副島『みんな、いま片野監督(邦南高校監督・名前は初登場)から連絡があった。』

一同『!!!!!!』


副島『次の相手は…上社西(かみやしろにし)だ。』



大場『強打の上社西が来たか…。堅守の大峰明館に似たタイプの豊田学園(とよたがくえん)が来たほうが正直やり易かったな。』


副島『同感だな。上社西には韓国人の三つ子クリーンナップがいるだろ。』

大場『そいつら3人はかなりの驚異ですね。うちらもどちらかといったら打のチームなんで打ち勝つしかないか…。』

鬼頭『おい!アホか!!今から明日へ向けて守備の猛練習だ!!監督が来るまでオレがノックしてやる!!』


『ちょっと待て!!!!!!』


横から声がした。


野中『オレが打ってやる。』


大場『野中のおっちゃん…。』


野球部では邦南高校野球部の熱烈なファンである野中の存在は有名だ。


野中『そんでもってコイツも。』

野中の横には…


川越『お前らとは初めましてだな。おれの名前は川越っていうんだ。大峰明館戦、見てたよ。まさか逆転するなんてな。感動しちまった。だからその礼としてバット振ってやる。』

野中『お前ら、この人はすごーい人なんだぞ。享神が甲子園初出場で初優勝したときのエースで4番の人だ。』

副島『しゃあす!!!!!!!!』




その後、小宮を除く12人が6人ずつに分かれ、ノックを受けた。


8時間後…


『もう9時だよ…』

『死ぬかと思った…』

『完全に殺人ノックだ…』

『てか明日準々決勝だよ…』


午後1時から9時まで8時間ノックを受けまくった。



そして次の日…



先攻・上社西高校


1:3B:正親(おうぎ)

2:RF:岩見

3:CF:朴昌龍(パクチャンヨン)

4:C:朴昌秀(パクチャンス)

5:P:朴昌圭(パクチャンキュ)

6:LF:野村

7:1B:岸

8:SS:榊原

9:2B:小山




後攻・邦南高校


1:RF:鬼頭

2:CF:慶野

3:P:大場

4:C:西口

5:1B:氷室

6:2B:副島

7:3B:松坂

8:LF:木村

9:SS:島谷倫



副島『よしっ!!痛み止も飲んで準備完了!!!!今日も勝って、準決勝に行くぞ!!!!!!!』




『おう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』






『礼!!!!!』

『『『お願いします!!!!!!!!!』』』





準々決勝が遂に始まる!!





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