No.41:謎の男
『打球はセンターへ!!!犠牲フライには十分だ!!センター慶野!!こちら向き!!うまく落下点に入った!!!!!!』
副島『4つ!!!!!!!バックホーム!!!!!!!!!』
慶野(俺のエラーさえなけりゃもっと逆転の可能性は高かった。これであのプレーを帳消しにできるとは思わねえけど!!!!見てろ翔真!!!!!俺はいつまでもお前に引っ張られるつもりはねえぇぇっっ!!!!!!!!!)
『今バックホーム!!!!!三塁ランナーの筧もタッチアップの体勢からスタートを切った!!!!!!』
慶野『アウトになれ!!!!!!!!!』
『おっと!!!!これはかなりの好返球だ!!!!!!タイミングはどうだ!?!?』
副島(微妙だ!!!でも俺が体を張って!!!!!このランナーをアウトにする!!!!!!)
(がっ!!!!!!ズバーンッ!!!!!!ダン!!!!バッ!!!!!)
『三塁ランナーも壮絶なスライディング!!!!!!!!しかしキャッチャーの副島も怯まずにブロック!!!!!!タイミングは微妙!!!!!タッチは!?!?』
『アウトォーッッッッッッ!!!!!!!!』
『バックホームはアウトだ!!!!!!!!飛距離は十分の打球、センターの慶野のバックホーム、そしてキャッチャーの副島の見事なブロックで追加点を防いだ!!!!!!!邦南高校、見事な守備を見せましたっ!!!!!!!!』
しかし
副島『くっ……。…。…。』
副島が座ったまま膝に手をおいて苦しそうにしている。
大場『副島先輩!』
大場も副島の異変に気づく。
『キミ!!!大丈夫か!?!?』
主審も心配する。
松坂『翔真!?立てるか!?』
副島『く…。む、むり…。』
副島がおぶられて退場する。
今のプレーでスリーアウトチェンジだが副島が負傷した。
ベンチ前で残った選手全員の9人が集まる。
木村『充が次の回からもし出られないなんてなったら…。』
大場『この試合は没収試合ですね。まだ9人いるってなっても小宮は松葉杖ですし。』
小宮『こんなときに…。すみません。試合前に一応聞いたら松葉杖でも代打ならオッケーらしいですけど守備は許可はもらえなかったんで…。』
慶野『副島先輩に復帰してもらうしか…。この試合は続けられない…。西口もいないし。』
『8回の裏、邦南高校の攻撃は、7番、レフト、木村くん。』
木村『充…。絶対復活しろ。それまでみんな待ってるから。』
『副島くんの状況はまだ情報が入っていないので情報が入り次第お伝えします。』
…
(カキーン!)
『ファール!!!!』
『さあ粘る7番の木村くん!!次が11球目!!』
(ばん!!!!!)
『ボール!!!フォア!!!!!』
木村『よしっ!!!』
『さあここにきて今日初めてのフォアボール!!!!!これでノーアウト一塁!!!!』
『8番、ファースト、藤武くん。』
『ランナースタート!!!!これは…!?』
カキーン!
『ヒットエンドランだ!!!!!サードがとって一塁送球!!アウト!!ワンナウトランナー二塁に変わりました!!!』
『9番、セカンド、島谷涼太くん。』
(カキーン!)
『打球はファーストへ!!!!二塁ランナーは三塁へ!!!!!これで二死三塁!!!!』
大場『次の打順は…。』
慶野『キャプテン…。』
大場(こんなとき…あの人がいたら…あの人がいたら…。今日はまだ来るかわからないって言ってたけど…。期待は薄い…。)むしろしない方がいい…。
そのとき医務室では…
副島『うぐ…くっ…。また俺のせいで負けちまう…。絶対に勝ちたい…。でも…膝が…うぐぐ…。』
??『試合、出られるか?今ツーアウト三塁。お前の打席だ。』
副島『おまえ!!!!なんでここに!?』
??『まあ一応俺も野球部員だからな。3年は同学年だし知ってるやつもいるだろうが1・2年は俺のことは知らないだろうがな。こんなおれでも今までずっとリハビリしてた。』
副島『え…?なんの?』
??『肘だよ。オレ、中学の頃まで野球やってたんだ。それまではけっこう有名だったんだ。とりあえず出れそうか?』
副島『じゃ、じゃあおまえ…』
??『お前が出られないようなら試合出るしな。西口もいなくて小宮も怪我してんだろ?』
ガチャっ!!!!!
扉の開く音がした。
大場『副島先輩!?大丈夫で…!?』
大場と謎の男が視線を合わせる。
謎の男は邦南のユニホームを着ている。
大場『え…。今日は来るかわかんないんじゃ…』
??『俺が復帰する前にチームが終わってたら意味ないだろう。正直名林戦から復帰しようと思ったんだけどなんともしずらくてな。』
副島『お前ら…知り合いなのか…?』
??『知り合いもなにも、俺が頼み込んで翔真には邦南に来てもらった。ついでに言うと小宮と西口が邦南に来たのも俺が熱心に誘ったからなんだけどな。』
副島は痛みを忘れて口を開けて唖然としている。
大場『この人の実力は僕が保証します。』
副島『おまえ…。そんなすげえやつだったのか…。』
??『同じクラスでも知らないことはたくさんあるもんだろ?ごめんな。今まで黙ってて。いままでずっと幽霊部員だったのは中途半端だった訳じゃない。すべて…この夏に復活するためだったんだ。だから3年に及ぶ肘のリハビリから耐えてきたってわけ。』
副島『…。わかった。今のオレじゃ試合に出れない…。まず立つこともできないし…。俺の分まで打ってくれ。そんでもって次の試合…オレはおまえと一緒に野球をやりたい。』
??『ありがとう。まかせろ。』
ガチャっ!!!
大場が扉を開けてベンチに戻る。
慶野『翔真!!どうだった!?』
大場『代打だ。』
慶野『え…?』
ガチャっ
謎の男もベンチに入る。
かなり体格もできている。
そしてヘルメットをかぶり、バッティンググローブを両手に着け、最後にバットをバット置きから抜いた。
松坂『あいつってE組の…』
島谷倫『ああ。ずっと幽霊部員だった。野球の格好してるの初めて見た。』
氷室『だれ…?』
慶野『背番号10…。』
『邦南高校、選手の交代をお知らせします。1番、キャッチャー、副島くんに代わりまして、代打、鬼頭くん。』
謎に満ちた男がついに初登場!!