No.379:竜vs鬼―Smile and Rival―
鬼頭(追い込まれたとかさぁ、ぶっちゃけあんま関係無いんよ。)
棟方(…?)
『打てばいい話だろ。むしろ燃えてるぜ。』
棟方(フルカウントにするとランナーが自動スタートでシングルならまず間違いなく同点。長打が出ればサヨナラだ。)
(この球で決める…!!)
青龍寺(おっ。強気だな。)
棟方(ここはゴリ押すぞ。捩じ伏せろ。勝負球だ。)
《カウントツーツーからの第5球目!!!!》
《投げる!!!!!》
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!!!
カーーーンッッ!!!
『ファール!!!!』
棟方(当てたか。)
青龍寺(ちっ。)
鬼頭(コイツ…ホントに疲れてんのかよ…。)
(球威半端ねぇじゃんかよ。)
《この打席、鬼頭のファーストスイングはファールボール!!!》
霞『ヒロ…肘大丈夫なの…。バッティングも影響あるでしょ…。』
水仙『肘の靭帯やっちまってんのに平気なわけねえだろ…。』
赤嶋『痛いのは間違いない。だけど、それを顔に出さないのも、流石だな。』
桜沢『まあ、それはドラゴンにも言えるな。バッテバテのくせして。みんなを鼓舞するようなあのピッチング。』
風岡『満身創痍なのは、お互い様だな。』
《カウントはツーエンドツーから変わらず!!次のボールが6球目!!!!》
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッッッッ!!!
カーーーンッッ!!!
『ファールボール!!!』
棟方(これにもついてきやがった…。)
《外角低めへのフォークボール!しかし鬼頭も右手一本で食らいつく!!!!》
青龍寺(この野郎…。)
棟方(先程は見られたが、今度こそ!!!)
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッッッッ!!!
カキィィーーーーーッッーーーンッッ!!
《インコース低めのスライダーを痛烈に引っ張った!!!!!》
『ファールボール!!!』
《しかしこれもファール!!!啓稜バッテリーは一瞬ヒヤッとしたか!?》
棟方(コイツなんでこんなに翔冴のスライダーに合ってやがんだよ…。)
青龍寺(俺が…生まれてはじめて敵わなかった最大のライバル…。)
鬼頭(……。)
棟方(ストレートで!!!決めろよ!!!!翔冴!!!!)
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!!!!!
鬼頭(際どい!!!!いや!!これは)
(外れる!!!!)
ズッバァァァァーーーッッーーンッ!!!
【160km/h】
『ボール!!!!!カウントフルカウント!!!!』
『『『ウォオォォォォォオオオォォオォオ!!!!!』』』
《160キロを見極めた!!!!!青龍寺の自己最速!!!そして先程この鬼頭が出した甲子園最速タイ!!!!!》
青龍寺(これを見切るかよ。)
鬼頭(バテバテのくせに。流石だな。)
棟方(なんだコイツら…。おかしいだろ…。)
ニッ…
鬼頭と青龍寺が、それぞれ笑みを浮かべる。
赤嶋『コイツら…なんでこんな場面で笑えるんだよ…。』
水仙『普段は無表情のヒロが笑うのもレアだけど、ドラゴンがマウンドで笑ってんの初めて見た…。』
《両者共に…笑っています…。この大舞台を、思う存分、楽しんでいます!!》
鬼頭『打ってやるよ。かかってこい。』
青龍寺『お前にだけは、打たれたくねぇんだよ。』
風岡『次の1球で、決まるな。』
赤嶋『どうやらそのようだな。まだまだ、この二人の対戦は見たいたいが。』
鬼頭『オシャァァ!!!来いやァ!!!』
青龍寺『次で決める!!!!!打てるもんなら打ってみろ!!!!!』
《吠えた青龍寺!!!!吠えた鬼頭!!!!》
《真夏の太陽降り注ぐアツいアツい夏の甲子園決勝!!!2点差9回裏、ツーアウトフルベース、フルカウントでマウンドには青龍寺翔冴!!!対するのは鬼頭博行!!!!!幼馴染みであり、ライバルでもあったこの二人!!!!どちらがこの試合にピリオドを打つのか!!!!!!次が勝負の9球目!!!!!》