No.373: 集中力
《ツーアウトながら、ここで小宮のタイムリーが飛び出して3点差!!諦めない邦南ナイン!!!あの青龍寺から4得点でなおチャンス!!!!ツーアウト一二塁で、打席には2番キャプテンの副島!!!!》
『2番、セカンド、副島くん。』
《ここでミラクル邦南のキャプテン、副島 充がバッターボックスに入ります。》
青龍寺(………。)
棟方『翔冴!!!あともうひと踏ん張りだ!!!残ってる力全部ぶつけるぞ!!!!』
赤嶋『キャプテンでこのチームの夏が終わるか…はたまたキャプテンが繋いで望みを託すか…。』
棟方(3点リードとはいえ、ここでさらに副島が繋いで塁に出られると大場に回る。この場面で勝負強い大場はまずい。さらにこの流れを加速させると鬼頭にも回りかねん。だからこそ…副島で切らなければ…。)
ズッッバァァァーーーーーッーーンッ!!!
【158km/h】
『ボール!!!!』
棟方(球威は問題ないが…やはり少し高い…?)
青龍寺(…少し修正が必要だな。)
棟方(まっ、今のおまえなら大丈夫だな!)
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
副島(低い!!外れる!!)
『!!!!!』
ズッッバァァァーーーーーッーーンッ!!!
【159km/h】
『ストライーク!!!!!』
副島(ウソだろ…。)
棟方(最高かよ。)
副島(どんだけノビてんだよ…。お前のボール…。)
《今度は低めギリギリ!!1ストライク1ボール!!!!!ストレートを続けてきた!!!》
棟方(このストレートなら…。)
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
副島(…。)
カーーンッッ!!!
『ファールボール!!!!』
棟方(当てた…!?)
副島『ストレート3つ。なめてもらっちゃ困るね。棟方。』
『こっちにも主将としての意地がある。』
『絶対に繋ぐ。こっちにもお前と一緒で、頼れる後輩がたくさんいるんでな。』
棟方(…。)
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッッッッ!!!!
ズッッバァァァーーーーーッーーンッ!!!
『ボール!!!!!カウント2ボール2ストライク!!!』
棟方(ストライクからボールになるフォークを見たか…。)
《今の1球よく見ました副島!!!落ち着いています!!カウントは2ボール2ストライクの平行カウント!!!先程も小宮を追い込みながら最後ウイニングショットのスライダーをライト前に運ばれた啓稜バッテリーは次、どの球を投げるのか!!》
棟方(スライダーは確かに翔冴の決め球だ。だが、ここは…)
青龍寺(渾身の、真っ直ぐ!!!!)
“オラァァァァァァァァ!!!!!!”
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
カキィィーーーッッーーーンツ!!!
『ファールボール!!!』
【159km/h】
棟方(マジかよコイツ…。)
《これもファール!!!タイミングは少し合っているか!?》
棟方(変に粘られるより、一気に決めてしまいたい。翔冴。さっきは打たれはしたが、今度こそ。連続で打たれるほどお前のスライダーは甘くない。)
青龍寺(さっきと同じ左打者のインローのスライダーな。)
棟方(追い込まれてるのは向こうだ。振らざるを得ない。)
《カウント2ボール2ストライクからの、第6球…》
《投げる!!!!!》
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!!!
棟方(よし!!!!)
青龍寺(これならどうだ!?オイ!)
カァァァクゥゥッッッッッッ!!
棟方(最高のコース!!!!)
ズッバァァァァーーーッッーーンッ!!!
青龍寺(!?)
棟方(!?)
『ボール!!!!!カウント3ボール2ストライク!!!』
《見た!!!今のストライクからボールになるスライダーを見た!!!!!!》
棟方(なぜこのボールをこの状況で見逃せる…。)
青龍寺(完璧な三振コースだったろ…。)
赤嶋(さすがに序盤からスライダーを見せすぎたな。ここにきて打者としてもなんとなくスライダーに反応できてきてる。それでもこの場面でアレを見逃せるのは流石という他に無いが。)
副島(………。)
棟方(今のスライダーで決めたかったのは本音だが、相変わらずこちらが追い込んでいるという状況に変わりはない。)
(渾身の真っ直ぐ。ブチ込め。)