No.372:小宮哲都vs青龍寺翔冴~天才vs怪物~
《2球目のストレートも空振りでツーナッシングと早々に追い込んだ青龍寺!!!夢の夏連覇まで、いよいよあと1球!!!!》
棟方(優勝がチラついてるとは思うが、絶対に投げ急ぐな。こーゆー時こそ丁寧に、だ。)
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッッッッ!!!!
ズッッバァァァーーーーーッーーンッ!!!
《3球目のスライダーは見逃しでボール!低めに外しました!!ここは啓稜バッテリー、様子を見てきた!!》
棟方(ツーアウトで、4点リード。そしてまだあと2球遊び球を投げれる。こっちの優勢に変わりはない。)
小宮(状況は確かに厳しい。でも、可能性がまだ有る限り、諦めるわけにはいかないんだよね。)
棟方(ストレート、フォーク、そしてスライダー。今この打席で小宮には縦横の変化、そしてまっすぐをそれぞれ見せてきた。どのボールも意識してしまうはず。)
赤嶋(配球と読みではこの打席、完全に棟方のペースだ。この配球では的を絞れない…。)
(そろそろこの試合も終わるかな…。小宮は打てない…。)
小宮(はぁ…。ちょっとヤバイかな…。次のボールが全くわからない。コースも読めない。この場面で完全に棟方サンの術中にハマっちゃったよ…。)
棟方(さぁ悩め。悩みに悩め。この状況でお前が球種を絞れることなんて出来やしない。)
小宮(……………、)
“やーめたっ。”
小宮(どんなに読もうとしたってわからないもんは、わからない。だったら球種を絞るのはやめだ。)
“どんなボールが来ようと、反応で弾き返してやる。”
棟方(決めにいくぞ。翔冴。左バッターの泣き所、インコース低めに食い込んでくるボール球のスライダーだ。)
青龍寺(…。あと、ひとつか。)
(ぶちこむぜ。)
《マウンド上、青龍寺翔冴。去年の夏、2年生ながら他を圧倒する投球で全国制覇を成し遂げました。そしてこの夏、最後の集大成。夏の甲子園連覇への最後の1球となるか!?》
《投げる!!!!!》
ビュゴォォゥゥッッッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッッッッ!!!!
赤嶋『スライダーだ!!』
霞『決めにきた!』
水仙『やばい!!!』
小宮(…、)
“いくら球威が戻ったって、同じボールばっか投げてたら”
“痛い目見るのはそっちだからね!”
カキィィーーーッッーーーンッ!!!!
青龍寺(なにっ!)
棟方(左バッターへの膝元のスライダーを!?)
《抜けたーーーーっっ!!!!!!》
『『『ウォオォォォォオオオォォ!!!!!』』』
小宮『よっし!!!!』
《ツーアウトツーストライクから、青龍寺のウイニングショットのスライダーを強引に一二塁間に鋭い打球で運んだ!!!!!邦南高校、またさらに1点を返した!!!!これで7対4!!!!!!点差は残り3点!!!》
赤嶋『あのスライダーを…狙ってた訳じゃないはずなのに…』
水仙『こりゃ、ホンモノだな。小宮哲都。しかもまだ1年だからな。』
赤嶋『今までの打席でもスライダーを見てきたこともあるが…追い込まれて、しかも最終回ツーアウトで反応でスライダーを弾き返すそのセンスと勝負強さ…』
小宮『あと3点…。僕がホームに生還すれば、たちまち1点差…。』
『頼みましたよ!キャプテン!!』