No.364:道
赤嶋『アイツの歩む、道か…。』
風岡『あぁ。』
霞『ヒロ…、やっぱり治ってなかったんだ…。』
水仙『右肘の内側側副靭帯完全断裂。選手生命は、あの時終わったと言われてた。けど、高3の夏に復活して、でも、そのせいでまた、ぶっ壊して…。』
霞『でも、僕はとても嬉しいよ。ヒロが戻ってきてくれて。プレーヤーとしてまだ、ヒロの闘志が燃えていたことを思うと。』
水仙『俺も。最後の夏に、アイツのいるチームに負けたなら納得できる。』
桜沢『やっぱ、サイコーのピッチャーだよな。ヒロは。』
赤嶋『たぶんまた肘の靭帯損傷してんだろ…。それで甲子園最速更新の159キロって…。』
鳴島破『ヒロ!めっちゃ頑張ってる!』
鳴島剣『応援しよ!』
風岡『そうだな。』
鳴島剣『ファイト~!ヒロ!』
鳴島破『ひゃっはー!』
鬼頭(出来るもんなら、壊れない肘を持っていたら良かったなぁ。)
《マウンド上の鬼頭、空を見上げました。そして、笑顔を浮かべました。》
大場『博行先輩!!次でいっちゃいましょう!』
鬼頭『オッケェ!!』
小宮(博行先輩…。)
鬼頭(きっと他の人達は、なんで無理するんだとか、思うだろう。でも、)
“ここで投げなきゃ、俺は一生後悔する。”
氷(絶対打ってやる…。)
西口(9回ツーアウト満塁フルカウント。打席には氷。小細工は、要らない。)
鬼頭(肘の感覚が痛みでもう…。)
(恐らく…次が俺の野球人生の、ラストボール。)
西口(コースはインコース高め。ストレートの球威が最も生きるコース。)
鬼頭(拓磨…。お前が最後のキャッチャーで良かったよ。)
(良いキャッチャーに二人も出会えて、俺は幸せだった。)
“最後はストレートで。”