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363/382

No.363:俺は、邦南の鬼頭博行だ。

《低めの縦スライダーを見逃し、2球目のチェンジアップを空振り。カウント、ワンエンドワンからの3球目!》





西口(インコースの膝元に…ズバッといっちゃってください!!!)




《投げる!!!!!!》



ズキィィィ!!!!

鬼頭(!!)



ビュゴォォォォォォッッッ!!!!




西口(え!?)





氷(遠い!これは外れる!)




ズッッバァァーーッンッッ!!!





鬼頭(…。)




『ボール!!!!』


【139km/h】



西口(完全に逆球だ…。)


赤嶋(なんだ…?妙だな…。)

風岡(…。)




《これは少しボールか抜けましたかね??キャッチャー西口の構えとは大きく外れてボール。カウント2ボール、1ストライクと変わります。》



鬼頭(…。)


小宮(…。)



――――――――


『絶対に誰にも言うな…。頼む!』


――――――――


『俺の人生や…。頼む!』


――――――――


『勝ちたいんだ!!絶対に!!』


――――――――



小宮(博行先輩…。どうして…。)





《第4球、投げる!!!!!!》





ズッッバァァーーッンッッ!!!!!



『ボール!!!!』


【141km/h】




西口(これも完全に逆球…。)




氷(どうした…?鬼頭。そう何球も失投するなんて。怪我でもしてんのか?)



《これも大きく浮いてカウントスリーボールワンストライク!!!!氷相手にこのカウントはまさに絶体絶命!!!》




鬼頭(くっそ…。マジかよ…。)





(この前より…相当ヤバくなってやがる…。)










西口(ここで2球抜け球…?まじかよ…。相当厳しいぞ…。)





赤嶋(コントロールミスならまだしも、130キロ後半から140キロ前半のストレートをヒロが2球続けるだと…。)


風岡(これも、現実か…。)



赤嶋(嫌な予感ってのは、そーゆーことかよ…。)

風岡(なかなか、理想通りにはいかないものか。)





『『『がんばれがんばれ鬼頭!!がんばれがんばれ鬼頭!!』』』


『『『がんばれがんばれ鬼頭!!がんばれがんばれ鬼頭!!』』』


『『『がんばれがんばれ鬼頭!!がんばれがんばれ鬼頭!!』』』




鬼頭(スタンドの…みんな…。)



大場『先輩ならきっとできます!!』


副島『ヒロ!!大丈夫だ!まだスリーボールだ!!』


島谷倫『今度こそは俺が守る!!任せろ!!』


西口『バックを信じて、自分のミット目掛けて投げ込んでください!!俺達は先輩を信じます!!』




鬼頭(…!)





“バカか!?俺は!!”






《カウントスリーボールワンストライクからの第5球目、》



鬼頭(俺には、こんなに仲間がいる。サイコーの、大好きなチームメートがいる。)



(だったら、)



《セットポジションから、》





“チームのために何が出来るのかを優先すべきだ!!!”






ビュゴォォォォォォッッッ!!!!!!



ズキィィィィィィィ!!!!




西口(!!!)











ズッッバァァーーッンッッ!!!!!!!

















【159km/h】
















『ストライク!!!!!』











『『『ウオォォオオオオォォォォォオォ!!!!!!!』』』











《159キロォォォォォォ!!!!!豪速球をインコース低めに投げ込んだ!!!先程の甲子園最速158キロをすぐさま更新!!!!!ここで自己最速、甲子園最速の159km/h!!!!!!》





氷(同情するのも違ったな。)






赤嶋(あのバカ…!これじゃあ…)



三年前(あのとき)とおんなじじゃねぇか!!!”



風岡『落ち着け。赤嶋。』


赤嶋『キャプテン…ヒロのやつ!やべぇって!』

風岡『俺達との準決勝で痛めた。それまでの疲労も影響してな。準決勝の試合後の夜、いち早く気づいた俺は鬼頭とコンタクトをとった。だが、止めなかった。』


赤嶋『は!?何でだよ!』


風岡『俺達が言ったところで、アイツがやめるか?』


赤嶋『…!』


風岡『アイツはな、誰よりもチームメートを大切にする男だ。だからこそ、自分の仕事は最後まで絶対にやり抜く。例え怪我でもアイツはチームのために投げ続ける。』


赤嶋『…。』


風岡『アイツは、自分でこの道を選んだんだ。』




ビュゴォォォォォォッッッ!!!!!!







カーン!!!!


【159km/h】



『ファールボール!!!』


《フルカウントから159キロ再び!!!!しかし氷もなんとか食らいつく!!!》


氷(ボールのスピンがおかしいだろ…。なんてやつだ…。)




鬼頭(この3年間、俺は一度もマウンドに上がることを諦めなかった。俺の肘ではどうせ、プロには行けない。だから、最後は、小さい頃から憧れたこの甲子園で…)




小宮(博行先輩…。どうして…あなたみたいな偉大な投手が…高校野球にここまで賭けられるんですか…。)





赤嶋『ヒロ…。』


風岡『アイツは言っていたよ。俺達が何を言っても無駄だって。』



“俺は、邦南の鬼頭博行だ。”


“アイツは笑顔でそう言っていた。アイツが選んだ道だ。だったら最後は、男がその道を行くのを、しっかりと見守るだけだろ。”




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