No.355:男、遂にマウンドへ。
棟方『ナイスプレー!寺原!!』
中川『さっすがの強肩だったね!』
寺原『はっはっは。俺の鉄砲肩は地元旭川じゃ有名でね!はっはっは。』
我妻『俺からセンターを奪っただけはある。』
寺原『バッティングも得意っすけど肩もその辺の外野手には負ける気しねーっすね。』
青龍寺『棟方も、ナイスな。今回ばかりは褒めてやる。』
棟方『素直に褒めてくれよ。照・れ・屋さん。』
青龍寺『黙れ調子に乗んな。』
棟方『出ました“黙れ”!』
青龍寺『お前のそれ超ウザイ。喋んな。』
片野(この試合、相当厳しいことに変わりはない。8回裏のウチの攻撃が終わって7対2の5点ビハインド。この回ゼロでいく前提で、裏に5点以上取らなければウチの負けだ。)
小宮(交代か…。博行先輩に投げてほしくは無かったけど…僕がこんだけミスしてこの状況を作っちゃったし…口出しは出来ないや…。)
片野『鬼頭!!!ピッチャー交代だ!!!9回は頼んだ!!!!』
鬼頭『はい!!!』
片野『それに伴って他のやつらも守備変更!!!絶対にこの回、向こうに得点をやるな!!守備で流れを引き寄せろ!!!これが…』
『『最終回、逆転するための俺達がやるべきことだ!!俺はまだこの試合を諦めたつもりはない!!!絶対に勝つ!!そのためにこの回をきっちりゼロで締めてこい!!!!』』
『『『ハイッッッッ!!!!!!』』』
棟方『由毅哉。来るぞ。』
青龍寺『…。』
南條『あぁ。』
『邦南高校、シートの変更をお知らせします。』
守備位置の変更↓↓
小宮:1→6
島谷倫:6→5
松坂:5→7
副島:7→4
鬼頭:4→1
青龍寺『遂に来たか…。鬼頭…。』
鬼頭『生憎、ドラゴンとは縁がなさそうな打順だ。でもそんなことはこの際、どうでもいい。俺に任された仕事は、この点差のまま最後の攻撃に繋げる投球をすること。』
小宮(博行先輩…。)
南條『受けて立ってやる…。』
棟方『南條、これでむしろスッキリしたろ。』
南條『ああ。頭でごちゃごちゃ考えても打てねえもんは打てねえ。本能で必死に食らいついてやる。5点差だがこれで満足しちゃいけねえ。取れるだけ取って、最後の守備に。』
棟方『かっ飛ばしてこい。これがお前の高校最後の打席だ。今までの打撃は忘れろ。』
鬼頭(痛み止めがどこまで持つかはわからん。だがここに立った以上、肘の状態は関係ない。)
小宮(…。)
鬼頭(俺は、邦南の鬼頭博行だ。)