No.354:積極果敢、しかし
《ワンナウトランナー、一二塁で二塁ランナー小宮が青龍寺のフォークボールの際、盗塁を試みましたがキャッチャー棟方のビッグプレーで盗塁失敗。ツーアウト二塁となりましたが、邦南はこーなったら1点でも取って最終回を迎えたいところでしょう!》
小宮(…。)
鬼頭(さっきのイニングで痛恨の4失点したあとに、この盗塁死。哲都の精神的ダメージも大きいだろう。あいつは俺らのチームの中心だ。アイツが沈んじまったらチームが揺らぐ。だからこそここで1点でも取ってアイツを少しでも楽にしてやりたい。)
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
鬼頭(今のドラゴンに対し追い込まれたら相当キツい。このカウントで来た球に…)
カァァァクゥゥッッッッ!!!!!!
“食らいつく!!!!!!”
カキィーーーーッーーーンッッ!!!
棟方(まさかこのパワーカーブを!?)
青龍寺(クソ!!!!)
《打球はセンター返し!!!!外角のパワーカーブを上手く溜めてセンター方向へ素直に弾き返した!!!!》
副島(行くぞ!!!回せキムタロ!!!!)
木村(わかってる!!!絶対セーフになれよ!!!)
《三塁ランナーコーチの木村は腕を回す!!!!!》
棟方『バックホームだ!!!!』
氷『テラ!!!4つだ!!!!刺せ!!!』
寺原『任せてくださいよ!!!』
《センター寺原が猛チャージ!!!!!》
副島(セーフになるんだ!!!絶対にセーフになるんだ!!!)
《二塁ランナー副島は三塁ベースを蹴る!!!!!!》
棟方『魅せろ寺原!!!!』
寺原『うおりゃぁぁぁぁっっ!!!!』
《センター寺原、渾身のバックホーム!!!!》
ビュゴォォォォォォッッッ!!
《これはいい送球が返ってきた!!!!》
棟方(サイッコーのボールだ!寺原!!!!)
《タッチはどうだ!?!?判定は__________》
副島(………。)
『アウッッッッ!!!!!』
『『『ウオォォォオオオォォオォォオォ!!!!』』』
《アウトだぁぁぁ!!!!打った瞬間は本塁生還かと思いましたがセンター寺原の見事な、完璧なスロー!!!!!本塁へ低弾道のナイスボールを投げ込みました!!!!!積極果敢な邦南高校の攻撃をファインプレー2つで退けた!!!これが王者の貫禄!!!!》
副島(くっそ…。)
鬼頭『なんて…やつらだよ…。』
《邦南高校はこの回ヒット2本と敵失がありましたが無得点に終わりました!》
大場(哲都も…、ランコーのキムタロ先輩も…、その場でベストと思うことをした…。それでもそれを阻止する啓稜…。)
桜沢『くぅーっ!邦南はいってーな!この場面で盗塁失敗と本塁憤死かよ!』
赤嶋『いや邦南は責められん…。結果論で言えば、最悪だ。しかし小宮もフォークとその場面でフォークがショートバウンドになると予想してのセーフになる根拠を持った決して博打ではない盗塁企画、そんでもって、副島もあのレーザービームでストライク返球が来なければ普通にセーフだったはずの走塁。邦南がやらかしたんじゃない…。』
『啓稜が…この場面で最高のプレーを続けたんだ…。』