No.350:お手本
小宮『みんな…。』
松坂『最近の1年坊は諦めが早いのう!』
鬼頭『哲都!まだまだこっから!』
大場『諦めたらそこで試合終了!野球は9回の裏まであんだ!』
『『『頑張れ!頑張れ!こ・み・や!!!』』』
《ここで…邦南高校スタンドから頑張れ小宮コールが起こっています!!》
西口『スタンドのみんなだって、まだ諦めてない。なのにここでプレーさせてもらってる俺達が真っ先に諦めるなんて、恥ずかしいじゃねえか。』
小宮『そうだね。確かに。みんなに勇気づけられるなんて、まだまだダメだな。僕も。』
西口『打たれたあと、しっかりと次の打者を打ち取るぞ。青龍寺だ。油断は決してできないからな。』
《この回代打清水のタイムリー、そして3番キャプテン棟方のスリーランで一挙4得点の啓稜学院。ツーアウトでランナーは居なくなりましたがここで打席に今大会7本塁打、怪物青龍寺を迎えます。1年生バッテリーはここで1度建て直すことができるか。》
西口(9回表はおそらく勝っていても負けていても博行先輩だ。お前の1年夏の甲子園のマウンドはこれで最後。よくそのマウンド噛み締めておけよ哲都。)
(また、戻ってくるぞ。)
カキィーーーーッーーーンッッ!!!
《打ち上げた!!!少し小宮のストレートに差し込まれたか!?ライト方向へ。この方向は浜風に押し戻されます。ライト氷室が定位置あたりでキャッチしてスリーアウト。小宮、この回啓稜学院に捕まり4点を与えてしまいましたがしかし、続く青龍寺はきっちり抑えました。》
『啓稜学院、選手の交代をお知らせします。先ほど代走致しました、護くんに代わりまして、西陣くんが入り、レフト。9番、レフト、西陣くん。以上に代わります。』
《先ほどの回、代打を出された秋葉に代わってレフトにサードランナーコーチャーをしていた背番号16の西陣が入ります。内外野関係なく守れて非常に元気のある選手です。》
『8回の裏、邦南高校の攻撃は、1番、ピッチャー、小宮くん。』
《さあ8回の裏、5点ビハインドの邦南高校の打席にはピッチャー小宮!!先ほどのマウンドでの借りを返すことができるか!!反撃の打順にはもってこいの好打順!!!》
小宮(マウンドでやられたら、打席でやり返す。そーゆー言葉よく聞くけどね、僕はそうは思わない。)
“打撃と守備は別物。切り替えて、守備の出来事は忘れてバットに集中する!”
棟方(本当に綺麗な打撃フォームだ。コイツのセンス、それが最も垣間見えるのはこの時だな。)
《ピッチャー青龍寺、初球を投げる!!!!!》
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
棟方(初球は様子見。外のボールから外角ギリギリ一杯に決まるスライダー。)
カァァァクゥゥッッッッ!!!!!!
棟方(な、、、)
“タイミングがあっている!?”
カキィーーーーッーーーンッッ!!!
『ファールボール!!!!』
《外角のスライダーを流しましたがこれはファール。しかし青龍寺のウイニングショットのスライダーについていきます小宮。》
棟方(翔冴のスライダーにアジャストしてきただと…。お前もう普通の高校生じゃねえぞそれ…。)
青龍寺(外意識してんだろ。内にズバッといくぞ。)
棟方(わかった。ただしボールでいい。甘く入るな。)
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
小宮(少し高い!)
ズバァァァァーーーッンッッ!!!!!
『ボール!!!!』
棟方(避ける仕草も無しか…。やってくれるじゃん。)
青龍寺(コースの揺さぶりが通用しないなら…)
棟方(高さで揺さぶる!)
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッッ!!!!!!
ズバァァァァーーーッンッッ!!!!!
『ボール!!!!』
《3球目のストライクからボールになるフォークも見送ってボール!!!小宮、これは少し青龍寺のボールについていけているのか!?》
小宮(1打席目は青龍寺のボールに圧倒されて空振り三振。2打席目は甘い球を打ち損じてショートフライ。3打席目はシャープなスイングでライト前に運んだ。)
(イメージは第3打席の様に。でも、もうちょっと修正するべき。)
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
棟方(下がダメなら上ならどうだ!?)
“シャープにセンター返し!!!!これがバッティングの基本!!!!”
カキィーーーーッーーーンッッ!!!!!!
《高めのストレートを綺麗に弾き返した!!!!センター前へのクリーンヒット!!!!8回の裏、まず先頭の小宮が出塁です!!!!》
赤嶋(いいバッティングだ。シャープにいかなければ今の高めはフライになっていた。そして、引っ張りにいったら、引っ張りきれずにセカンドゴロだったろう。上からバットを出して、センター返し。まさにお手本の様なバッティングだ。)
『2番、レフト、副島くん。』
《ここで打席には今日4回にホームランを放っているキャプテンの副島!!!!ノーアウト一塁をさらなるチャンスに広げることができるか!!》