No.345:王者のディフェンス
『7回の裏、邦南高校の攻撃は、7番、ライト、氷室くん。』
赤嶋『7番か8番打者が出れば少なくともツーアウト二塁で小宮に回すことができる。島谷が打撃に期待できない分、氷室が塁に出たい。』
棟方(こいつは要注意。翔冴のボールに対応できている邦南打線の数少ない打者。)
青龍寺(甘く入ると長打を浴びる可能性もある。ここは丁寧に…)
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!!!!
カキィィィーーーーッッーーンッ!!!!
棟方(なにっ!?)
《外角低めを強打!!!!》
『ファールボール!!!』
青龍寺(マジかよコイツ…。)
棟方(どんな型破りな奴だよ…。今のアウトローストレートだって読んでた訳じゃねえだろ…。なのに対応するなんて…。)
氷室(…。)
青龍寺(その打席での目付き…、アイツにそっくりだな…。)
棟方(コイツ、えらく打席で落ち着いてやがる。)
鬼頭(まるでサクみたいだな。邦南の桜沢って感じか。長打力は全然及ばねえけどミート力はサクのそれにそっくりだ。そしてなによりあの打席での落ち着き。)
(心強いぜ。)
カキィィィーーーーッッーーンッ!!!!!!
《打球はレフトへ!!!!低めのフォークボールを体勢崩されながら強打した!!!!》
棟方『レフトォォォ!!!!!』
秋葉『抜けるな!!抜けちゃやべーんだよ!!!』
《レフト線際のライナー!!!!秋葉が落下地点へ急ぐ!!!!》
秋葉『しゃおらぁぁぁ!!!』
《レフト秋葉、ダイブ!!!!!!》
《捕ったァァァァァァァ!!!!!!レフト秋葉の超ファインプレー!!!!!打つだけではありません!!!!守りもハイレベル!!!この場面であの打球を捕るか!!!!》
棟方(助かった…。今のはでかすぎる…。)
青龍寺(氷室を打ち取れたこと、先頭打者を出さなかったこと、グッショブ秋葉。)
《先ほどワンナウトフルベースの大チャンスを生かせなかった啓稜学院としては絶対に得点を与えたくないこのイニング、まず先頭氷室を秋葉がファインプレー!!!!》
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!!!!
コーン!!!
《インコースのストレートをどん詰まり!!!しかし面白い打球だが!?》
氷(俺じゃ間に合わん。)『岩崎!!!!』
岩崎(言われなくても、)
(分かってますよ!!!)
《素早く打球に追い付いて流れるように素早く一塁へ送球!!!!!!!》
『アウトォォ!!!!!』
《これまたビッグプレー!!!!!打球速度の遅い詰まった打球をこの足捌き!!!!!島谷倫暁もサードゴロで邦南高校7回の裏あっという間にツーアウト!!!!!》
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
慶野『簡単に終わっちゃダメだ。しっかりボールを見極めて…。』
ズッバァァァーーーッッーーーッンッ!!!
『ストライーク!!!!』
慶野(スライダー!?やっぱ見えねえ…。)
ビュゴォォォォォォッッッ!!!!
慶野(今度こそストレート!!いや、外れてる!?)
カァァァクゥゥッッッッ!!!!
ズッバァァーーッッーーーッンッ!!!!
『ストライク!!ツー!!!』
慶野(見えねえ…。右のスライダーが…左の俺でも見えねえ…。)
(こんな球どーやって…。)
ズッバァァァーーーッッーーーッンッ!!!
『ストライク!!!!!!!バッターアウト!!!!!』
《見逃し三振!!!!!9番慶野、青龍寺のスライダーに為す術無し!!!!》
赤嶋『まあ、下位打線じゃな。しゃーねえか。次の回、1番からだ。もちろん勝負のイニングだ。邦南は。切り替えて、点差を広げられなければまだ可能性はある。』
(点差を広げられなければ、な。)