No.34:来るべき時
絵梨が家に帰ると小宮はすでに帰っていた。
絵梨は兄である哲都にたくさん言いたいことがあった。なぜなら心配だったから。
お母さんもお父さんもいない。そんな中でも自分を毎日育ててくれていた。
だから兄の存在は偉大だった。
しかし絵梨は帰宅しても兄と話さなかった。
自分では兄の気持ちを感じとるだけで恐らくこの問題は解決しないだろうと思った。
自分では…
次の日…地元の新聞紙…
『邦南、名林との雨中の激戦制し4回戦へ!!』
邦南は地元の名門、名林を破ったことによって有名になった。
その勢いのまま4回戦の志同館高校を破り5回戦進出。これでベスト16。
小宮は怪我が明らかに悪化しており試合にはでなかったが、8-0の7回コールドで勝利した。
その日夕方、場所はまた野球部の部室。
絵梨『また入ってった…。お兄ちゃん…。』
そのとき…
『お前は下がってろ。俺がかたをつける。』
絵梨の後ろから声が聞こえた。
その声の主は…
絵梨『翔真くん!!』
大場『兄貴にお前の存在がバレたらだめだろう。さっさとここから離れろ。お前も思うようにこれはかなり大きな問題だ。上級生の俺が行くしかない。この事を知ってるのも当事者のアイツらと俺とお前だ。事がでかくなる前に片付けなけりゃいけない。』
絵梨は嬉しかった。自分1人ではどうにもならないことは分かっていた。
『お願いします。お兄ちゃんを助けてください…。』
大場『おう。じゃあ俺、行ってくるわ。』
そう言って大場は野球部の部室へと向かった。
(ガチャっ!!)
『観念しやがれぇっ!!!!!!!!!!』
大場の怒号と化した声がグラウンド中に響きわたった。