No.338:ドラゴン
『4番、セカンド、鬼頭くん。』
《さあここで青龍寺翔冴vs鬼頭博行、今日3度目の対戦!!!!1打席目はインコースへの157km/hを打ち上げてキャッチャーフライ。2打席目は外角低めへ沈むシンカーを流してレフト前ヒット。今日は2打数1安打です。》
棟方(鬼頭にはさっきの打席でスライダーを攻略されたと言っても過言ではない。俺がリードして絶対に同点にはしねえ。)
赤嶋(ここで、棟方が同点になってもいいって感じで、楽に、開き直ってリード出来ればいいんだけどな…。)
棟方(初球はスライダーで…。例え見極められたとしてもそのあとにストレートを生かせるし、逆方向に変化するシンカーやシュートも生かせる。)
青龍寺(いや、違う。)
棟方(首を振るか…。んじゃあ、これか?)
青龍寺(ちげーって。)
棟方(…コレ?)
青龍寺(ちっ。ちげーよ。)
棟方(これか?)
青龍寺(それそれ。)
棟方(腕思いっきり振れよ。)
青龍寺(てめぇにだけは…、)
“絶対に打たせねえ!!!!!!!!”
ビュゴォォォーーーゥゥッッッーーーッ!!!
鬼頭(ストレートってわかってんだ!!!打てないはずがない!!!!)
ズッッバァァーーーーーッッッーーンッ!!!
【157km/h】
『ストライーク!!!!』
鬼頭(くっ…。)
《インコース一杯、キャッチャーの構えたところに157km/h!!!!!!!!!バッター鬼頭手が出ず!!!!!!》
鬼頭(甘く見ちゃいけねえんだったな…。こいつだけは…)
“怪物だ。”
霞『やっぱドラゴン、打席にヒロが入るといい球来るね。』
水仙『インコースストライクいっぱいいっぱいのところに157だもんな。やべーなこいつマジで。』
青龍寺(オラァ…。まだまだァ…。)
ビュゴォォォーーーゥゥッッッーーーッ!!!
鬼頭(今度もストレート!!!!怯まずに、シャープに!!!!!)
ズッッバァァーーーーーッッッーーンッ!!!
【157km/h】
《2球目もストレート!!!!しかしやはり空振り!!!!!凄まじいこの球威!!!!!》
棟方(くっ…なんて球だ…。パスボールなんてしたら洒落になんねーわまじ…。)
鬼頭(嘘やろ…。ストレートだって分かってて、コンパクトに最短距離でバットを出してんのに…当たんないってよぉ…。どうすりゃいいんだ。)
棟方(3球目もこれでいくぞ。翔冴。)
鬼頭(いや、諦めちゃ駄目や。一打同点のこのチャンス。西口にこのドラゴンの球はちょいと荷が重い。俺が決める。)
《カウントツーナッシングからの3球目、投げる!!!!!!!》
ビュゴォォォーーーゥゥッッッーーーッ!!!
鬼頭(絶対に打つ!!!気持ちで負けねえ!!!!)
ズッッバァァーーーーーッッッーーンッ!!!
【157km/h】
鬼頭(くっ…。)
《空振り三振ッッ!!!!!!!青龍寺翔冴、一打同点のピンチで157km/h3連発!!!!!!!4番鬼頭を三振に仕留めた!!!!!!!》
棟方(なるほどね。翔冴。ちょっとビビったリードしすぎた。忘れてたわ。こっからは…)
“ガンガン攻めていくぞ!!!!”
『5番、キャッチャー、西口くん。』
《鬼頭が空振り三振でツーアウト三塁。ここで打席には西口拓磨。4回裏にもツーアウト三塁で西口が打席に立ちましたがショート氷のファインプレーで無得点に終わっています邦南高校。》
棟方(この調子でズバズバいくぞ!!!翔冴!!!)
青龍寺『おう。』
《青龍寺が西口に第1球…》
《投げる!!!!!!!》
ビュゴォォォーーーゥゥッッッーーーッ!!!
西口(初球からストレート狙いで!!!)
青龍寺『!!!!』
棟方『!!!!』
西口(えっ!?嘘だろ!?)
(ストレート張っててストレート打ちにいこうとしてた…。避けらんねえ…。)
ガツゥゥッッッッッッ!!!!!!!!
青龍寺(…。)
《デ、デッドボール!!!!!!インコースボールゾーンにいったストレート!!!西口の指にそのまま直撃してしまった!!!!!》
松坂『西口ィ!!!!』
氷室『大丈夫!?!?』
西口『うっ…。………、…、…………、……。』