No.336:シャープなバッティング
『6回の裏、邦南高校の攻撃は、1番、ショート、小宮くん。』
川越『何度もピンチを切り抜けてきた。そして打順は1番から。』
野中『この回で…なんとしてでも1点は取りたいな…。少しでも点を取って終盤戦に臨みたい。』
小宮(いくら青龍寺が球種豊富だと言っても、それを生かすのはストレート。いろんな球種をたくさん持っているが、1番多いのはやはりストレート。実に投球の40%以上はストレートだ。でも、これで3順目。前の2打席で感じたのは…青龍寺の場合、球種ではなくコースを絞った方が良策だ。決め球以外では球種を絞るより、コースを絞った方がいい。 )
ビュゥゥゥッッーーーッーーッッ!!!
小宮(まずは初球、球種ではなくコースを!!外角に絞る!!!)
ズッッバァァーーーーーッッッーーンッ!!!
《初球、アウトコースへのフォークを空振り!!!前の打席から初球を積極的に打ちにいきます!1年生の小宮哲都!!!!》
棟方(外角に張ったか…。なるほど対応が早い。)
小宮(右投手は案外左打者のインコースは初球から突いてくることが多い。でもいまはアウトコースの変化球。外角を中心に攻めてくることは間違いないはず。)
棟方(お前が張ってんのはコースだろ?確認させてもらうぜ?)
ビュゥゥゥッッーーーッーーッッ!!!
小宮(よし!狙い通り今度もアウトコース!!!!)
ピクッ
ズッッバァァーーーーーッッッーーンッ!!!
【150km/h】
『ボール!!!!』
棟方(やはり外角の反応がいいな。これは外角狙いか。)
小宮(外2球続けてきた。今度は内か…?)
(いや!そう狙いをコロコロ変えてちゃ打てないパターンだ!!!外角に絞る!!!)
ビュゥゥゥッッーーーッーーッッ!!!
カァァァクゥゥッッッッ!!!
小宮(くっ!逃げていくシンカーか!!でも、)
(少し甘い!!!!)
棟方(まずい!!コースがやや中途半端だ!!!)
小宮(いける!!!)
カキィーーーッンッ!!
小宮(くうーっ!)
《これは打ち上ましたがスタンドに入ります。ファールです。》
棟方(少しヒヤッとする球だったが、小宮が打ち損じてくれた。翔冴もやはり時々甘い球は投げてしまうが打者も打者だ。双方ともに完璧ではない。ミスもあるのが野球。)
小宮(あっちゃー。いまの打ち損じは勿体無いな。)
棟方(スイングが大きくなっている。いわゆる大振りだな。小宮。)
(心置き無くインコースを攻めさせてもらうよ。その大振りでは決して対応できない。翔冴のインコースへのストレート。)
赤嶋(この感じだとインコースにズバッと決めちゃうのが1番早いな。小宮は自分のスイングに気づいているのか?)
小宮『タ、タイム!!』
《ここで一度小宮が打席を外します。》
小宮(全然ダメだ。1打席、一振りが雑になってる。パワーベースボールじゃ俺達は勝てないんだ。)
“さっきの回の啓稜のように、シャープに、最短距離でバットに当てる。バットに当てなきゃなにも起こんない。”
ビュゥゥゥッッーーーッーーッッ!!!!
棟方(インコースへのストレート!!これで空振り三振…、)
小宮(追い込まれたらストレート!!!!)
“最短距離で!!!!”
カキィィィーーーーッッーーンッ!!!
小宮(よし!!!)
棟方(対応したか…。少し侮った。悪りぃ、翔冴。俺のリードミスだ。)
《この回先頭の小宮がチーム3本目となるヒットを放ちノーアウトのランナー!!!ここで打席には先程ホームランを放っているキャプテンの副島!!!》
『2番、ライト、副島くん。』
大場『なるほどね。哲都。おまえのバッティング、参考にさせてもらうよ。』