No.333:第二の1番、2番、3番
『6番、センター、寺原くん。』
鬼頭(察知しろよ…。この回は打撃のスタイルを変えてくるぞ。)
西口(寺原は引っ張り中心の典型的なプルヒッター。)
(初球はアウトローの直球で様子をみる。)
ビュゥゥゥッッーーーッーーッッ!!!
大場(やべっ!!!)
西口(嘘やろ!!!)
“ど真ん中!!!持ってかれる!!!”
寺原『引き付けて…バチン!!』
カキィィィーーーーッッーーーッッッンッッ!!!!
西口(!?)
バシィィッゥ!!!
《あーっと!!!しかしこれはサード正面のライナー!!!いい打球でしたがヒットには結び付きませんでした。》
寺原(ちっ。狙ってたらいってたかもな。)
西口(流し打ちか…。確実に次の打者に繋ぐつもりだな…。)
鬼頭(やっぱりな。)
赤嶋(悪い予想が的中しちまったぜ…。まあ当然っちゃ当然なんだけどよ…。)
(こっからは啓稜打線の質の良さを感じさせる好打者たちだ。)
『7番、サード、岩崎くん。』
赤嶋(おそらくこの7番、8番、9番は二つ目の1番、2番、3番という意味も持っているだろう。)
《岩崎は第一打席はセンターへの素晴らしい打球でしたがセンター慶野のファインプレーでセンターライナー。第二打席はフォーク、ストレート、カーブとすべて見逃しで三振を喫しています。》
岩崎(さっきの打席は狙い球が絞れなかった。今回は完全に1球種狙いだ。)
(狙うは…、)
ビュゴォォォーーーゥゥッッッーーーッ!!!
“このまだ生きているストレート!!!!!!”
カキィィィーーーーッッーーーッッッンッッ!!!!
《インコースへのストレートを痛打!!!!!打球は地を這う様に一塁線を破ったっ!!》
西口(狙われた…。くっそ…。)
《ツーベースヒット!!1年生の俊足岩崎がスコアリングポジションに進みました!!!ワンナウト二塁!!!》
西口(今のインコース真ん中の球もレベルスイングではなくダウンスイングで対応してきた。この回から確実に変わった。)
(ちときついぜ…。このスタイルは…。)
赤嶋(大振りじゃなくシャープなバッティングをするってことは、打ち損じの確率がかなり減るということ。今までは大振りしてもちゃんと打てていたが大場は少し手こずっている。おとといの光山戦で9回にもこの手の攻撃を見せて一気に舞野を打ち崩した。)
(これはある種…大場を啓稜打線が認めたということ。)
(これを乗り越えれば舞野には見えなかった世界が見えるはず。踏ん張りどころだぞ。大場。)
『8番、ライト、我妻くん。』
《ここで打席には今大会打率6割オーバーの恐怖の8番我妻を迎えます!!!》