No.328:龍伝-chapter EIGHT-
【20XX年最後の練習わず!
明日はみんな一旦地元帰っちゃうで
今日は啓稜に実家近い俊也の家で酒パ!
めっちゃ楽しい!
今年の疲れぶっ飛んだ!!】
迫田進『何だよコレ…。』
迫田が見たのは事後、新聞でだった。
【啓稜学院野球部員、Twitterに飲酒書き込み
添付画像にはタバコも!飲酒喫煙か!?】
…
桑田『部員に事情を聞いたところ、どうやら飲酒そして、喫煙があったことは事実のようで、私の指導が足りませんでした。本当にお騒がせして申し訳ありません。』
『監督自身、辞任などというお考えは!?』
桑田『私の指導不足が祟った形となってしまったので、監督から降りる、というのは当然のことかと思っています。』
『1週間後、野球部の処分が発表される予定で、下手すると春の選抜出場辞退ということも考えられると思いますが?』
桑田『それは今私がお答えできる質問ではありません。』
『夏に続いての不祥事ですがそれは?』
桑田『先ほど説明した通り、私の指導力不足です。』
『今後どのような信頼回復を!?』
桑田『…すいません。お答えできません。』
『それは改善するつもりはないということでしょうか!?』
桑田『いえ、そういうことではなく、ただただ、今は混乱していますところで、お答えすることができません。』
…
青龍寺『…。』
『翔冴、アンタ、どう思う?』
青龍寺『話しかけなんな。』
『その反応も最もやなぁ。ホンマに腹立つなぁ。』
青龍寺『一人にさせろ。お袋。』
『あいよ。ご飯の時は呼ぶで。』
青龍寺『…。』
…
【啓稜学院、史上初の春夏連続不祥事でセンバツ絶望!6ヶ月の対外試合禁止処分!】
迫田進『なめてんだろ…マジで…。なぁ!翔冴!どう思うよ!』
青龍寺『知らね。ホント屑はいつまで経っても屑だなマジ死ねよ。』
迫田進『別に俺達を処分した高野連がうざいわけじゃねえ。なにしてんだよ…ホント…。』
青龍寺『6月30日まで対外試合禁止ってことは夏の大会まで練習試合無しってことだろ?頭おかしすぎねこのバカ共。』
二人は真剣に本音をぶちまけた。これは、単なる中学生の愚痴の言い合いとは同列に語れない。これまでチームの勝利の原動力となった二人、甲子園にいくために大車輪の活躍をした本気の二人だからこその愚痴でもあった。
しかし、迫田はまた動き出した。
迫田進『今回の不祥事の件、キャプテンでもある俺の責任だ。みんな、もう、懲りようぜ…。俺は、野球がやりたい…。最後の夏だけは…絶対に譲れない…。』
佐久間『お前が悪い訳じゃない!謝んな!』
迫田進『うるさい。』
佐久間『…?』
“このままじゃみんな…最悪の仲間で終わっちまう…。それだけは絶対に嫌なんだ…。甲子園目指して啓稜に来て…、最悪のチームでエースで4番でキャプテン任せられて…なんて絶対に嫌だ…。俺は、最後に全国制覇して、最高の仲間だった、ってみんなのことを思いたいし、そーゆーチームにしたい…。だから”
“また、俺についてきてくれ…。これから色々と大変だと思うけど…みんなでまた頑張ろう…。”
キャプテン迫田のこの言葉に、罪の無い部員達は涙を浮かべ、また始動した。
青龍寺『…。』
一人のこの男を除いて。