No.32:託された力
試合後…
更衣室から外に出ると…
『来たぞ来たぞ!!』
『お前らつえーな!!』
『よく名林に勝ったな!』
邦南対名林戦を見ていた観客たちが邦南をたたえる。
そのとき…
『おい!大場!!』
遠くから声が聞こえた。
大場『お前は…。』
健太『よっ。』
天宮『完敗だよ。』
大場『どうしたんすか?』
天宮『これ。お前らに渡したくてよ。』
そう言って天宮が取り出したのは…
健太『千羽鶴だ。俺らの夢だった全国制覇はお前らに負けて夢になっちまったけどさ。』
天宮『これで少しでも思いを託したくてよ。お前らに。』
健太『ホントはこんなことするようなキャラじゃねえんだけどな。なんでかな、たぶんお前らと試合やって感化されちまったんかな。』
大場『お前ら…。』
天宮『貰ってくれる?』
大場『もちろんだぜ。お前らの気持ち…俺らが引き継いだ。絶対勝ち進んでやるよ。』
天宮『ありがとう。はい。』
名林の千羽鶴が邦南へ渡った。
天宮『じゃあな。お前らなら、甲子園、狙えるぞ。だってあんないいチームなんだからな。』
そう言って天宮は戻っていった。
『おい!健太!!行くぞ!』
健太『ちょっと先行ってて。オレはまだコイツに話したいことがある。』
『早くしろよ!』
大場『ど、どうしたんですか?話したいことって…?』
健太『オレのウィニングショットのフォークボール…お前もたしか決め球だったな?』
大場『あんたのには到底かなわねえけどな。』
健太『いや。お前ならオレのフォークを完全にものにできるはずだ。ちょっと今から付き合ってくれねえか?』
大場『いいっすけど…。どうせこのあと柔軟とかなんで。』
健太『俺からの気持ちだ。行くぞ。』