No.316:4回裏ツーアウト三塁
西口(こーなったらストレートに絞る!!!!)
《インコースを攻める!!!!!》
棟方(捩じ伏せろ!!!翔冴!!!!)
ボンッッッ!!!!!
棟方『翔冴!!!!!!!』
《打球が完全に詰まった!!!!ピッチャー後方への小フライ!!!!》
西口(くそ!!完全に押し負けた!!!!!)
青龍寺『くそが!!!!』
《落ちた!!!これは面白い打球だ!!!!》
氷『くっそ!!』
棟方(少し氷の守備位置が深かったか!?)
《バッター西口も懸命に走る!!!!》
ダッダッダッダッダッ!
氷(そう簡単に点が…)
西口(絶対に点を…)
“やれるかよ!!!”“もぎ取る!!!”
ズザザザザザザザザザ!!!!!
《西口はヘッドスライディング!!!!!》
《判定は――――――――――》
『アウトォォォォ!!!!!!』
『『『ウオォォオオォォォォオォオォオオォ!!!』』』
《アウトだ!!!!啓稜学院ショートの氷の華麗な守備!!!!深い位置から足をよく使って最後は素手でキャッチしランニングスロー!!!これがプロ注目、氷政成の守備!!!》
西口『くっそぉ!!!せっかく青龍寺から作ったチャンスが!!!』
霞『氷クンが上手すぎたからしょうがないにしろ…今の回どーしてももう1点欲しかったネ…。』
水仙『だな…。』
桜沢『つかよ、頭也。』
赤嶋『なんだ?』
桜沢『ヒロがドラゴンのスライダーの変化量を見極めて、そんでそれだけでスライダー封じになるなら、みんなやればいいんじゃねえの?』
水仙『お前バカすぎ。』
赤嶋『…。お前はもうちょい頭を使いながら野球を観ろよ…。スライダーって分かった上でそれなら、まあ邦南レベルの打撃陣なら対応できるだろうが…それが見分けがつかねえから大変なんだろうが。ヒロは天性の洞察力で球種を読めるから、見えないスライダーが打てる可能性があるんだよ。』
水仙『大体さ、100歩譲ってスライダーを封じたところで、他の球種もあるからね?パワーカーブ、フォーク、シンカー、シュート、そんでストレート。』
赤嶋『スライダーの変化量を見極めたところで、他の変化球に対応できないんだよ。ドラゴンの場合球種が多彩な上に精度もかなり高いから。まあスライダーとその他の球種を比べれば当然スライダーのがヤバイんだけど、それを封じたところで、他の球種にやられる。普通のやつならな。まあここではヒロと氷室以外は、ってこと。』
水仙『そんなスライダーを封じたら打てるって甘いもんでもないのよ。ヒロレベルになるとまあドラゴンのスライダー以外なら対応できるけどね。スライダーだけが対応できない。だから封じた。』
桜沢『でもよ、だったら青馬の縦スラだって封じれば良かったんじゃねーの?』
赤嶋『青馬の場合は…違うんだよ。アイツは日々のえげつない練習量で何も動じない不撓不屈のメンタルを手に入れた。もともとの性格と相まってヒロが観察しても球種が読めなかった。だから縦スラは封じられなかった。縦スラが来るって、わかんねえからな。』
水仙『でも、ドラゴンなら読める。ヒロなら。』
桜沢『ぐぅ…なるほど…。』
赤嶋『ドラゴンのスライダーを打てる候補は、今んとこヒロと氷室だけ。氷室は球種は読めないけど、天性のセンスで反応できる。ドラゴンのスライダーに体、目がついていく。』
《4回の裏、副島のホームランで1点を返した邦南高校、尚ツーアウト三塁のチャンスは生かせず。3対1、啓稜学院リードで5回表裏の攻防に移ります。》
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