No.315:合わない息
《4回の裏、ワンナウトから2番副島が今日チーム初ヒットとなるソロホームラン、ツーアウト後、4番鬼頭がレフトライン際にツーベースヒットでツーアウトランナー、二塁。打席には1年生ながら正捕手、5番の西口拓磨。》
ビュゴォォォウゥゥッッッッッ!!!!
ズッッッバァァーーーーーッッーーーンッ!!!
《初球は見逃しでストライク!!》
赤嶋(まあスライダーはヒロには投げにくくはなったけど…)
ビュゴォォォウゥゥッッッッッ!!!!
赤嶋(ヒロと氷室以外じゃ到底太刀打ちできない。)
カァァァクゥゥッッッ!!!
西口(なっ!?)
ブンッッ!!!
棟方(!!!)
《あーっと!!!!ここでワンバウンドするスライダーを後ろに逸らしてしまった!!!!ワイルドピッチだ!!!》
棟方『わりぃ!!』
青龍寺『大丈夫だ。』
赤嶋(普段のドラゴンならこの状況で後逸したらぶちギレるけどな。今回はそーでもなさそうか?)
《追い込みましたがツーアウト三塁!邦南はチャンスを確実にものにしたいところ!!》
水仙『さすがにドラゴンレベルのスライダーのワンバウンドを止めるのも難しそうだな。』
赤嶋『当たり前だろ。俺でもアレは相当苦労した。』
桜沢『ここでスライダーならまず空振り三振だ。だが棟方はもう一球要求できるのか?』
赤嶋『まあそんなタマじゃ、ドラゴンをリードするのは無理だ。当然要求できるはず。』
棟方(ここでもう一個スライダーならいける。今度は絶対後ろにやらねえから思いきってこい。)
ブルンッ…
青龍寺が首を横に振る。
赤嶋(首を振った…?)
青龍寺(スライダーはまた後ろがある。さっきから変化に頼りすぎてんだよ棟方。)
棟方(ストレートか…。わかった。だがボールでいい。)
青龍寺がまた首を横に振る。
青龍寺(ボールじゃなくて…ズバッといかせんかい。それでも男か。)
棟方(三球勝負か…。あまり気が乗らんがお前がその気なら仕方がない…。)
西口(ピッチャーが首を振るときってのは、半分以上がストレートを投げたいとき。俺もキャッチャーだからよくわかる。)
棟方(捩じ伏せろ!!!)
ビュゴォォォウゥゥッッッッッ!!!!
西口(こーなったらストレートに絞る!!!!!)