No.314:スライダー潰し、成功。
『4番、セカンド、鬼頭くん。』
《4回裏、ツーアウトランナー無しで打席にはこちらもS・9の鬼頭。先程の打席ではインコースへの157km/hをキャッチャーファールフライ。青龍寺に軍配が上がりました。》
鬼頭(大丈夫だ。メンタルを含め青馬ほどの総合力の高い投手はちょいと難しかったが、ドラゴンの場合はメンタルに弱点がある。俺なら球種が読める。)
赤嶋『ヒロの最大の武器の1つ、洞察力。マウンド上で打者を観察しながら投球できる。それがアイツの強み。』
霞『その持ち味が、打席でも発揮されるんだよね。』
赤嶋『あぁ。打席に立てば、今度は投手を観察しながら打席に立つ。仕草、状況などから瞬時に球種を予想できる。それがヒロだ。』
鬼頭(初球から1番自信のあるボールか…。スライダーねぇ…。難易度マックス。)
ビュゴォォォウゥゥッッッッッ!!!!
鬼頭(とりあえずは見る。スライダーの軌道を確認したい。)
カァァァクゥゥッッッ!!!
鬼頭(…。)
ズッッッバァァーーーッッーーーンッ!!!
棟方(なんか嫌な見送り方されたな。)
鬼頭(やべー全然見えねえ。やっぱ消えるわぁ。)
棟方(スライダーが見えてるか?)
鬼頭『なるほどねぇ。なんとなく…わかったかな?』
棟方(…?)
鬼頭(こーでも言ってもう一球スライダーを投げさせるか。)
棟方(なんだこいつ…?スライダーが見えてるのか?確認でもう一球いく必要があるか。たとえ見えてたとしてもドラゴンのスライダーを一振りでアジャストなんてできない。)
鬼頭(棟方は相当優秀なキャッチャーだ。だからこそこの言葉に敏感に反応してもう一球スライダーで試してくるはずだ。)
棟方(次もスライダー。)
鬼頭(この一球…見るのはボールじゃない。)
ビュゴォォォウゥゥッッッッッ!!!!
鬼頭(曲がる前は…このコース!)
ヒュッッッ
鬼頭がすぐに後ろを向く。
カァァァクゥゥッッッ!!!
棟方(っ!!!!)
ズッッッバァァーーーッッーーーンッ!
《二球目のスライダーも見逃しでストライク!!!!しかしいま、変わった見逃し方をしました鬼頭。》
赤嶋『なるほどね。頭がいいな。』
棟方(やられた…。)
鬼頭(捕った位置はここ。そして曲がる前のコースはそこ。なるほどね。曲がり幅は理解した。あとはタイミング。140km/h弱のボール。むしろ合わせやすいくらいだけどな。)
棟方(コイツ…計ったな…。スライダーの変化量を確かめるために…。)
鬼頭(これで…俺にスライダーは使いづらいはず。)
ビュゴォォォウゥゥッッッッッ!!!!
鬼頭(ドラゴンをリードするために慎重さは確かに必須だ。だけどな…慎重すぎると…持ち味消しちまうぜ!?)
スッッッ!!!
カキィィーーーーツンッ!!!!
《低めへのシンカーをうまく流した!!!打球はレフト線!!!フェアだ!!!バッターランナー鬼頭は二塁へ!!!》
赤嶋(スライダーが投げにくいから…今度は逆に左打者のヒロにとっては逃げていくシンカー。でもまぁ、ヒロレベルになると読めばアジャストはできるんだよな。スライダー以外は。)
棟方(くそ…俺としたことが…。いまの打席…すべて読まれた…。)
鬼頭(スライダー以外は読めれば対応できる。そして投手はドラゴン。読むことは比較的容易。まあスライダーは読めても見えないから打てないんだけどな。でも…)
(スライダー潰し、成功。)