No.313:キャプテン、副島!
棟方(コイツは綺麗な打撃フォームから鋭い打球を生む好打者。ボディバランスも1年生ながらよく、ツボに入れば一発持っていくパワーもある。)
ビュゴォォォォウゥゥゥゥッッッッ!!!!!
棟方(バカ!やや甘い!!)
小宮(ストレート!!真ん中より!!)
カキーーッッンッ!!!
《打ち上げたーーーーっ!!これは打ち損じか!!ショート氷がつかんでワンナウト!!!》
赤嶋『ドラゴンもさすがに高校生だ。コントロールもかなりいい方ではあるが、完璧ではない。甘い球があるのも事実だが…。』
霞『甘い球を逃さず捕らえるってのも、なかなか簡単なことじゃないんだよね…。』
桜沢『青馬は、どーやってあんなえげつない制球力つけたのよ?キャプテン。』
風岡『練習量だ。あいつは質は知らんが練習量だけなら俺と張っていた。未だ嘗てあそこまで投げ込んで自分のピッチングスタイルを確立したやつは見たことがない。』
桜沢『練習量、ね。』
霞『それならアイツも…負けてないんじゃない?』
青龍寺(…。)
『2番、セカンド、副島くん。』
《さあ邦南高校、打席にキャプテンの副島が入ります。マウンド上青龍寺の前にランナーを出せないでいる邦南高校まず一人、出塁したいところ。》
副島(小宮は初球のやや甘めのストレートを打ち上げてあっさりアウト。)
(悪くねえんじゃないの?)
ビュゴォォォォウゥゥゥゥッッッッ!!!!!
“振らなきゃ何も起こんねえ!!!!!!”
ブンッッッッッ!!!!!
≪157km/h≫
水仙『おっと。また出たな。157。』
霞『さっき小宮クンに当てられたからムキになったね。』
《初球のインコースへのストレートは空振り!!そして今のが157km/h!!今日2度目の自己最速!!!!!》
青馬『つくづく邦南のやつらはスゲーよ。』
夏井『小宮も一見、先頭打者で初球からフライアウトの淡白な打撃に見えるが、初球から振りにいく姿勢は評価すべき。』
青馬『今のインコースいっぱいへの157キロも普通なら手が出ない。』
夏井『コイツらがまだ本気だって、印だよ。』
ビュゴォォォォウゥゥゥゥッッッッ!!!!!
カァァクウツッッッッ!!!
ブンッッッッッ!!!!!
《これは空振り!!!アウトコースに落としてきた!!フォークボール!!》
副島(追い込まれたか。でもいいんだ。三振上等だ。)
棟方(小宮に当てられて、副島への初球も普通なら腰引けた見逃しストライクのはずなのにバットを出された。そりゃそうなるか。)
青龍寺(ストレートいかせろや。無理だってことを分からせてやる。)
《さあ追い込んでからの3球目!!!》
副島(三振しても、自分のスイングで!!!!)
ビュゴォォォォウゥゥゥゥッッッッ!!!!!
棟方(っっっ!?)
カッッキィィィーーーーーッッンッッ!!!
『『『ウォォォォオオォォォォオォオオ!!!!』』』
《打ったぁぁぁーーーっっ!!!打球はセンター後方へ!!!鋭い打球がバックスクリーンへ》
“突き刺さった――――――――――!!”
棟方(ウソだろ…。)
青龍寺(………………。)
≪156km/h≫
副島『おっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
松坂『待ってましたキャプテン!!』
慶野『うっしゃぁ!!!!』
島谷倫『ナイバッチ!!!!』
《キャプテン副島、会心の一発!!!!今大会自身第一号はなんとなんと決勝戦で青龍寺から!!!4回の裏、1点を返して3対1としました邦南高校!!!副島の今日チーム初ヒットとなる一打!!!》
霞『さあ、ここからドラゴンがどうなるか、見物だね。』
水仙『今のも力んで高めに浮いたとはいえ、ストレートの球威のあるドラゴンにとってあの高さはむしろ1番空振りをとりやすい高さだ。』
大場『くぅーっ!やっぱキャプテンは違ぇーわ!かっけぇわ!』
棟方『次からクリーンナップ、特に要注意の大場と鬼頭だ。ストレート一辺倒じゃいくらお前でも危ない。スライダーの割合ももうちょい増やすからな。』
青龍寺『…。』
棟方『おい。きいてんのか?』
青龍寺『うっせえな。タコ。』
棟方『またそれか。一本打たれただけじゃんかよ。切り換えればいいだろ。』
青龍寺『クソ。なんであれが打たれんだよ。』
棟方『なんだ。案外まだ冷静なんだな。』
青龍寺『いつまでもガキじゃねーよ。早く戻れうぜーから。』
棟方『はいはい。変化球増やすからな。わかったな?』
青龍寺『わかったっつってんじゃねーか殺すぞ。』
赤嶋『おそらく、棟方は変化球を増やすと伝えただろう。』
桜沢『ほんとに?つかそんなこと言ってもドラゴン言うこと聞かなくね?』
赤嶋『まあまず言うこと聞かねえだろーな。』
鬼頭『翔真。』
大場『はい。』
鬼頭『初球はストレート狙いでいけ。っつか、この打席ずっとストレートに絞れ。ドラゴンなら必ずムキになってストレート投げてくる。それを打てば一気にこの試合の主導権だ。』
大場『りょーかいっす。任せてください。』
《さあ初球!!》
ビュゴォォォォウゥッッッッ!!!
カァァクウツッッッッ!!!
赤嶋『!?!?』
鬼頭『!?!?』
ズッッッバァァーーンッ!!
《初球は大きく曲がるパワーカーブ!!ワンストライクをまず簡単に取ってきました!》
大場(初球はカーブか…。)
赤嶋『ウソだろ…。』
鬼頭『これ…ほんとにドラゴンかよ…。』
(((ストレートを打たれた後に…カーブから入る…だと…?)))
ビュゴォォォォウゥゥゥゥッッッッ!!!!!
大場(今度こそストレート!!!)
カァァクウツッッッッ!!!
ズッッッバァァーーンッ!!!!!
《二球目のシンカーも空振り!!!変化球二球で追い込んだ!!!》
大場(大丈夫だ…。博行先輩が言ってんだ。必ずストレートが来る。)
ビュゴォォォォウゥゥゥゥッッッッ!!!!!
大場(アウトコース!!!)
カァァァクォォウゥゥッッッッ!!!!!
大場(!?!?)
ズッッッバァァーーンッ!!!!!!
大場(消えた…。)
『ストライク!!!!バッターアウト!!!!』
鬼頭『マジかよ…。』
赤嶋『こーなると…もうドラゴンは高校生じゃ打ち崩せない…。』
大場(全部…変化球…。)
《見逃し三振!!!2番副島にホームランを浴びましたが次の打者、3番大場は変化球3つで見逃し三振に仕留めた!!!!》
赤嶋『これは…。』
霞『ドラゴン…ムキになってはないの…?』
水仙『ニュードラゴンだな。こりゃ。』
風岡『…。』
鳴嶋剣『ちょっとつまんないけどねぇ。』
鬼頭(ドラゴンがこの場面で冷静に変化球3つ…だと…。)
???『翔冴…。やっと、出来るようになったか。』