No.310:氷室…?
『3回の裏、邦南高校の攻撃は、7番、ファースト、氷室くん。』
氷室『青龍寺のボールに臆する…?んなバカな。俺は1年坊やぞ。』
(怖いもの知らずでいけばいいじゃねえか!悩んでもなんも変わんねえ。)
桜沢『ぶっちゃけ右打者じゃ無理だからな。さっきも頭也が言ってたけど。』
赤嶋『だな。右打者でドラゴンのスライダーなんて無理だよ。理屈云々じゃなくて、無理。越えられない壁がある。』
風岡『お前らは本当にそう思ってるのか?』
赤嶋『?』
桜沢『どした、キャプテン。』
風岡『気づいてないなら、まぁいい。』
桜沢『なんだよ。』
ビュゴォォォーーッッッーーッゥ!!!!
ズッッッバァァァァーーーーッッンッッ!!!
《初球のストレートは空振り!!!》
氷室(まじクソ速えぇ…。)
ビュゴォォォーーッッッーーッゥ!!!!
カァァァクッッッ!!!!
カーン!
赤嶋(!?!?)
《二球目のフォークを振っていきましたがファール!!これで2ストライクと追い込んだ!!!》
赤嶋(…。…、まさかな…。)
棟方(…。マジか…。)
青龍寺(…。)
ビュゴォォォーーッッッーーッゥ!!!!
カァァァクッッッ!!!!
ズッッッバァァーッッーーーンッッ!!
『ボール!!!』
《ストライクからボールになる低めのシンカーを見送ってボール!!よく見ました氷室!!!》
赤嶋(…これは………。)
棟方(今のを見られるか…。)
青龍寺(…。なるほど…。ムカつくぜ。)
桜沢(まさか…なぁ?)
霞(これって…。)
《さあカウントはツーストライクワンボール!!ピッチャー有利のカウントで次は4球目!!!!》
棟方(仕留めるぞ。)
青龍寺(ムカつくからぶっ殺す。)
赤嶋(さあこの一球…見物だな。俺の目が本当に正しいのかどうか…。)
《青龍寺が第4球目を…投げる!!!》
ビュゴォォォーーッッッーーッゥ!!!!
氷室(外角直球…!!最低でもバットに当て…)
カァァァァグォォゥゥッッ!!!!
氷室(スライダーっ!?!??)
赤嶋(来た!!!)
カーン!!
赤嶋(!!)
風岡(…。)
桜沢(!!)
霞(!!)
水仙(!!)
鳴島破(!!)
鳴島剣(!!)
《打ったがこれは打球に力が無い!!!ファーストの南條がそのまま一塁を踏んでアウト!!ファーストゴロでワンナウト!!》
風岡『な?俺の言ったことが分かっただろ?』
赤嶋『…あぁ。戦ったのに情けねえぜ。今まで気づかなかったなんてな。』
桜沢『まあ不調で本来の姿が隠れてただけだよ。お前が気づかないのはしゃーない。』
霞『やっぱ…みんな気づくよね…?』
水仙『もち。』
鳴島剣『まったく意外だよぉ~。』
鳴島破『ホントなぁ~。』
鬼頭(…これはまさかだな。ビックリだよ。)
青龍寺(厄介だぜマジ。くそうぜぇな。)
赤嶋『キャプテンはいつ気づいた?』
風岡『俺らとの準決勝、延長12回に青馬の縦スライダーを追い込まれていながらファールにしたときに悟った。』
桜沢『やっぱみんな感じるよな…?』
水仙『ああ。』
『氷室は…南阪と同じ部類の…ポテンシャルを秘めている…。』