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No.303:大場翔真のへっぽこスライダー

西口『翔真先輩って、スライダーとか投げれますか?』




大場『…は?』





西口『シンカーとかでもいいですよ。』




大場『いやいや、遊びとかではあるけど試合でなんか使ったことねえよ。』



西口『んじゃ、使ってみますか!?』



大場『…???』




西口『いや、ダメ元ですよ。精度は高くなくていい。だけど啓稜学院は自分達の土俵で戦ってくる。横綱相撲のように、自分達の実力をそのまま存分に出してくる。まず相手の野球を受け止めて、それを粉砕してくる。』




大場『そりゃ…そうかもしれんけど…なんでまともに投げたことない球種をこの甲子園決勝で投げるんだよ。』



西口『えーっとですね、ちょっと相手の意表を突きたいって言うか…なんていうか、相手のペースを乱してやりたいんです。』




大場『ん?』



西口『相撲で言ったら、変化技ですよ。はっけよーい、のこった、で突進してくる相手をまずヒュルリと避けて意表を突いて、そっからグイグイ攻める感じ。』



大場『確かにね。正直、どーやったら打ち取れるかわかんなかったし、やってみる価値はありそうだな。』


西口『一塁にランナーがいるんで、一塁牽制するふりして、練習してみてください。このあと氷室を呼んで。』



大場『わかった。』



西口『なにが投げられそうですか?ほんと、投げられそう、でいいですよ。』



大場『スライダーは中学ん時ちょっと投げようかと練習してた時期あったから、精度は別として投げられる。シンカー、いや左の俺はスクリューか。スクリューは無理。投げたこともない。でもチェンジアップはよく遊びで投げてた。どんな感じかはブルペンで投げたことないからわかんない。』



西口『スライダーとチェンジアップ…だけですか?』


大場『だけって…うーん…あとどんな球で遊んだことあるっけ…』


西口『早く思い出してください。審判に怒られます。』



大場『あ、』



西口『?』




大場『バルカンチェンジ。』



西口『バルタン星人?』



大場『バルカンチェンジ!!!!!』



西口『なんすか?それ?』



大場『チェンジアップの一種で、ちょっとスクリュー気味に落ちてくサークルチェンジに似たような感じの球。』



西口『哲都や、博行先輩と同じタイプのチェンジアップですね。それはいいですね。』


大場『勘違いすんなよ!?試合で使えるレベルなんかじゃねえぞ!?!?』


西口『いやいいですよ。なんでも。使えるか使えないかじゃないですから。あとはありますか?』



大場『ナックルカーブ(笑)』



西口『面白そうな球投げますねぇ。』



大場『これは大暴投の危険がある。マジで。』


西口『そんときは、そんときですよ。せっかくだから下村フォークだけじゃなくて翔真先輩のフォークも使いますか。』


大場『別にいいけど…』



西口『じゃあ、ストレート、下村フォーク、フォーク、カーブ、スライダー、チェンジアップ、バルカンチェンジ、ナックルカーブ。これでいいですね。サインは…』




ゴニョゴニョゴニョゴニョ…







西口『んじゃ戻ります。氷室にも変化球で牽制するって言っといてくださいね。まさか相手も牽制で変化球練習してるとは思わないでしょうし、バレません。』


大場『おう。』









氷室(変化球で牽制って…。)





大場(とりあえず…スライダーっと。)




ビュッッ!



《一塁へ牽制です。ランナーは一二塁ですがピックオフプレーでの牽制ではありません。》



氷室(あんま曲がってないけど…。)





棟方(なんだ…?妙だな。)







ビュゴォォォーーッッーーッーッ!!




南條(スタンドに叩き込んでやる!!)





カクッッッッ!






南條(スライダー???)




ズバァァーーッン!!






『ストライク!!!』





《見逃しでワンストライク!!初球は変化球から入りましたが今の球種はあまり大場投手からは見ない変化だったような気もしますがカーブでしょうか?》



南條(今のって…スライダーだよな?)




棟方(何をしている…。大場…。)




南條(情報分析班の情報だと球種はストレートと変化量、球速の変わるフォークの2球種。ごくたまにカーブを使ってくるけどカーブも無いと思っていい、という情報はあるけど…スライダーはまったくの初耳だぜ。)






ビュゴォォォーーッッーーッーッ!!!!!







カキィーーッンッ!!





《今度はストレート。振り遅れてファールです。》




鬼頭(なるほどね。)


西口(スライダーは情報に無かったでしょ?やっぱビックリするよね。だからちょっとスライダーを意識してくれた。だから今のストレートに振り遅れた。)




大場(遊び球無しね。)



西口(もうここからは…、)







―――騙し合いですよ。―――





カクッッッッ





南條(カーブ!?いや、でもこれはボールからストライクに…)




カキィーーッンッ!!




《外の変化球を引っ掛けた!!ショート小宮がさばいて二塁へ転送、セカンド鬼頭も一塁へ送球!!》




『アウト!!!』





《ダブルプレー成立!!!カーブで南條を内野ゴロに仕留めました!!!》




南條(カーブだとぉ?)




西口(よし!)



『6番、センター、寺原くん。』







西口(ここも初球はスライダーで…)




ビュゴォォォーーッッーーッーッ!!





大場『あっ!!』





ガツッ!!




大場『すんません。』




《デッドボールです!初球の変化球が抜けました。ツーアウト一三塁!!》




棟方(今のも緩いスライダーかカーブかなんかの変化球だろ…。)




大場(いやぁそんなうまくはいかんもんやね。やっぱ。)



西口(コントロールがつきにくいのはしょうがないです。次、いきますよ。)




『7番、サード、岩崎くん。』





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