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No.30:S・6(エス・シックス)の2人

??『一死満塁…。アウト一つ取ったからといって油断できる場面じゃない。しかもバッターは代打…。翔真、どう攻める…?お前は一度K.Oされても立ち直れると信じたいが…。ピッチャーがリズムを取り戻すのはそう簡単じゃないぞ…。』



大場『来てるか…。』

西口『誰がですか?』


大場『享神だ。』


西口『え!?』


大場『ホラな。あそこだ。見る限りマネージャー1人を含めて5人しか来てないけどな。』

西口『アイツら…。』

大場『多分こっちの山の優勝候補の名林を偵察しに来たんだろうがな。この試合展開にさぞかしビックリしてることだろう。』


西口『あれって…』

大場『桜沢だな。あと1年生エースの堂金(どうがね)も来てるな。』


西口『堂金…。アイツか…。去年中学硬式野球大会で全試合完封(地方大会から数えて10試合連続。尚シニアのルールあり。)それに全国大会でも1回戦と準決勝と決勝で3度のノーヒットノーラン(うち2回完全試合)達成してるしな。享神に進学したのか。』


大場『お前らが決勝で負けた時のピッチャーもアイツだったんだろう?』


西口『はい。ただしアイツは…本気では投げてませんでした…。確実に…。』



大場『なんでわかる?』


西口『アイツ…あの試合…いや、あの大会で一度も決め球の高速シンカー、縦カッター(縦のカットボール)を使わなかったんです。』







その頃、享神の観覧者たちは…


桜沢『なんだよ。名林もこんな公立高校に負けちゃってよ。これじゃ俺たちの甲子園出場もフリーパスだな。』


余語(よご)『正直名林とは試合になると思っていただけ残念だね。』


桜沢『名林と?そんなん10点差つけて勝てるぜ。名林なんか俺の敵じゃねえ。』


余語『じゃあ誰が敵なの?』


桜沢『全国にオレと渡り合えるピッチャーなんて二人しかいねえよ。しかもそのうちの1人が同じチームだしな。な?堂金?』


堂金『知りませんよ。そんなの。ただ、高校野球のレベルの低さに驚いているのは事実ですけど。』


余語『言うねえ。じゃあさっきまで投げてた途中からサイドスローに替えたやつに関しては?』


堂金『アイツとは中学ん時一回だけやったことあります。が…』


余語『どうした?』


堂金『なにも感じなかったです。普通の野球やってる人間ってだけで、特別良い球だって訳でもなかったです。』



神郷(かんごう)『ふわぁ…。よく寝た。試合終わった?』


藤野(ふじの:マネージャー)

『まだよ。しかも1点差で邦南がリードしてる。…って!!』


(ぐーぐー…。)


神郷はまた寝てしまった。


藤野『…はぁ…。』


神郷『サヨナラ…ホームラン…。…。』


神郷は寝言を言っている。




そのとき…


『よぉ!サク!(桜沢のあだ名)』


桜沢『お!久しぶりだな!水仙(すいせん)!』


水仙(すいせん) 智也(ともや)

『こんなところで名林の見学?負けてるみたいだけど。』


余語『え!?水仙ってあの!?』

藤野『間違いないですね。日本中で騒がれてるS・6(Supreme 6:スプリームシックス:至高の6人組)の1人、静岡の晟西(せいさい)高校の1番ショートの人ですね。今春のセンバツでは準々決勝で姿を消しましたが、甲子園3試合合計で15打数11安打、打率.733、11盗塁を記録した俊足の持ち主です。』



神郷『ふわぁ…。よく寝た。ところでなんでS・6(エスシックス)って呼ばれてんの?』



余語(コイツ…起きてたのか。笑)



藤野『今S・6って呼ばれてる人は中学時代元々同じ中学でね。みんな軟式野球部に入ってたの。』

神郷『へーっ。強かったの?』


藤野『そりゃそうでしょ!!そのときの中学校は大阪の南阪中学って言うんだけど聞いたこと無い?』


神郷『知らないなぁ。』


藤野『もう!!なんで知らないのよ!!あんたのそのでっかな頭には何がはいってんの!?超有名中学でしょ!!』


神郷『そうなんだぁ。よくわかんないや。』


藤野『…。……。まあいいわ。話は戻すけど、南阪中学は他を寄せ付けない強さで、全国大会で圧倒的な強さで勝ち進んでいったわ。コールドゲームの無い決勝戦以外では全試合3回コールド。(3回10点差、5回7点差)』


神郷『すごいねえ。』


藤野『そのときの4番が桜沢さん。あの水仙って人が1番セカンドだった人。』


神郷『S・6って言うくらいなんだから他にもあと4人いるの?』


藤野『そうよ。彼らは全国各地の名門高校に散らばって進学していったから甲子園にいけば何人かとは対戦することになるわ。』


神郷『なんで6人なの?野球は9人ポジションにつくんだよ?残りの三人は?』


藤野『その三人のうちの二人はそこまで高レベルじゃないから騒がれていないだけ。残りの1人は高校野球から手を引いたらしいわ。確か…鬼頭っていったっけ?よく覚えてないわ。その鬼頭っていう人は実力ならS.6に全くひけをとらないくらいの実力があったらしいけど…なんで野球やめちゃったんだろう。その鬼頭っていう人を併せて昔はS・7(エス・セブン)って言われてた。大体S・6の説明はこんなところよ。わかった?』


(ぐーぐー…。)


神郷『サヨナラ…ボーク…。』



藤野『はぁ…。……。ホントよく寝るわねぇ。』




水仙『あはは!!あっ!そろそろ静岡に帰らねえと行けねえ時間だ!!わりぃな!じゃあそろそろ帰るわ!じゃあまた甲子園でな!』

桜沢『じゃあね~!!智也!!また会おう!』








(バン!)


『ストライーク!!バッターアウト!!』



大場『しゃあ!!』


余語『このピッチャー、さっきよりも球が違うね。』

堂金『まあどっちでも良いですよ。どっちが勝とうと甲子園にいくのは俺らですから。邪魔をする奴は俺が蹴散らしますよ。輕ーくね。』


余語『たいした自信だな。』


堂金『そりゃ。チビの頃から野球やってきて今まで1度も敗戦投手になったこと無いですから。』





『6番、レフト、天宮くん。』



大場『俺がみんなを救う。絶対に打たせねえ!!』


??『翔真…。その意気だ。』



南『なあみんな、オレ、分かったかもしんねえ。』


江澤『なにが?』


南『さっき天宮が言ってたことの意味。』


江澤『だよな。あのエースにあんな顔されちゃ嫌でも気づかされる。』




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