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No.28:新魔球の更なる進化


天宮『一つ問うが、なんで俺らが今になってまだこんなに一つになれてないと思う?』

南『そんなの、知らないね。』


高林『突然どうした?』



天宮『言っておくがこのままじゃ、負けるぞ。絶対に。』





『ボール!!』

長岡『オラ!どうした!?かかってこいよ!!ボッコボコにしてやるからよ!!』


西口(これでノーツーか…このままフォアボールなんかにしちまったらノーアウト満塁で4番の下村健太を迎えることになる…)

小宮(痛いなんていってられない…何がなんでもこのバッターを抑えなければいけない!!)




南『つまりキャプテンは何が言いたいの?そんなネガティブ発言しちゃってさ。つか、バッターは怒った長岡だぜ?負けるどころかサヨナラの可能性のが十分高いじゃん。』


天宮『そこを言ってるんだ。今この事に気づいてるのは俺と健太くらいだな。』

南『??』

江澤『何が言いたいの…?』





『ボール!!スリー!!』


小宮『ちくしょう…ストライクがはいんねぇ…。こんなんじゃ…。』


長岡『びびってんじゃねえぞ!!もっと勝負してこいよ!!』





『長岡!!落ち着け!!』


長岡『うるせえ…。』

ビュッ!!


『カキーン!!!』



南『デカイ!!!』







『ファール!!』


成田『おっしーい!!』


長岡『殺り損ねちまったぜ。まあ次で終わりだ。』



西口『タイムお願いします。』



『タイム!!』





西口『あれ。試してみるか。』

小宮『僕もちょうど考えてたところ。』

西口『もうあのときの怪我は完治したか?』

小宮『うん。一週間前に投球オッケーもらったときに。』

西口『お前の右腕はもう大きな故障しすぎた。また怪我をしたらどうなるかわかってるか?』

小宮『当然承知だよ。』

西口『俺のお陰でここまでこれたことを忘れんなよ。』

小宮『わかってる。』


明日翔『哲都!!頑張れぇー!!!!』



小宮『ったくあいつは…。恥ずかしいなぁ…っ。』



西口『…。……。試合中アイツを黙らせろ。うるさくて集中できやしない。』

小宮『どうして?突然そんなに顔強張らせちゃって…。』


西口『お前さえ居なけりゃ…今ごろ俺は…。』


西口が小声で言った。

小宮には聞こえなかった。


小宮『まあ僕の彼女の話はおいといて、このバッターを仕留めなくちゃね。』

西口(こいつ…あとでぶっ殺してやる。)

西口はなぜか小宮にキレている。




小宮『このフォームで投げるのは久々だなぁ。』

西口『…とりあえず、怪我だけには気を付けろ。それと今カウントはワンスリーだ。次のボールはお前の四段ドロップで追い込む。うちの守備力じゃ打たせてたらこの緊迫した場面なら必ずと言っていいほどボロが出る。全部三振のつもりで行け。』


小宮『足も痛いしね。早く終わらせちゃおう。』

西口『やっぱりな。さっきのデッドボールだろ。投げ方ですぐわかった。』


小宮『テヘヘ…。追い込んでからのあの戦法でいくよ。』


西口『二つとも実践使用は初だな。』




長岡『長いな。早くしてほしいな。』


小宮『ちゃんと捕ってよね。特にあの戦法は。』


西口『おう。ただし失投はジエンドだ。それだけは頭に入れておけ。お前の投球結果で夏の長さが変わるからな。』

小宮『あいよ。』





『プレイ!!』


小宮(僕なりの研究結果だと、四段ドロップを2球続けるとき、2球目の方は必ずと言っていいほどキレ、変化量が落ちる。)


小宮『だからこの球は…』



小宮が投げる。


ビュッ!!


長岡『これがアイツらのいっていたボール!!!!!』

(キュキュッ!!)

長岡『見える!!見える!!』


西口『切れが悪い!!』


(カキーン!)



『ファール!!!』


長岡『なんだ。思ってたより当たるじゃん。みんなこんなボールも当てられなかったのか。』

小宮『今のくらい君なら当てるってわかってたよ。』

西口(今の四段ドロップは明らかに精度が低かった。もうバテてきたのか…?)


小宮『大丈夫。スタミナには自信あるし。』

小宮(実は今のはわざと加減して投げたんだ。)

小宮『このボールの精度を維持するためにね。』


西口(何はともあれ追い込んだ。この戦法で三振だ。)


小宮がセットポジションから投げる。


(ガッ!!)

地に足をしっかりとつく。


長岡『!?!?』

大場『なにっ!?』

健太『マジかよ!』


副島『サイド…スロー!?』

長岡『突然サイドに変えたって俺を抑えられるかよ!!なめんじゃねぇ!!』


西口(変わったのは腕の位置だけじゃない。サイドから四段ドロップの握りで投げることによって…)



小宮『くらえ!ライジングスライダー!!!!』


ビュッ!!!!!

ゴウッ!!


長岡『高い!?』


カクッ!!!

長岡『ストライクになる!!!』


長岡はとっさにカットしようとした。

しかし、


ギュルギュルガッ!!!


西口(なんじゃこりゃぁ!?)


(スカッ!!)


長岡のバットが空を切る。

しかし、

(バスッ!)


キャッチャーの西口があまりの変化量にボールを捕球することができなかった。

『長岡!!走れ!!』

長岡は嫌々一塁へ駆け抜けた。

記録は振り逃げ。これで無死満塁。


西口『わりぃ…。まさかあんなボールに進化するなんて思ってなかったからさ。』

小宮『でしょ!?しかも四段ドロップと違ってコントロールもつきやすいし!でも肘と肩の両方にすごい負担がかかるんだ。』

西口『一瞬浮き上がったと思ったらいきなり莫大なスライダーの変化…。こんな球プロでも余裕で通用する!!』

小宮『まあサイドからじゃないと投げられないんだけどね…。』


西口『でもこのボールは使える。まだサイドで行けるか?』

小宮『ここでライジングスライダーを使いすぎると、10日位はピッチャー出来なくなるよ?』

西口『後のことなんか考えてられっかよ!』

小宮『だね!!今しかできないことを今やらなきゃ損だもんね!』

西口『ノーアウト満塁。こっちが一点勝ってるからと言って楽な場面じゃない。長引けばお前の体力も尽きる。思いきれよ!!』

小宮『うん!』




『4番、ショート、下村健太くん。』





小宮『行くよ!!!』

西口『こい!!』

大場『アイツら…。』






小宮の新球、ライジングスライダーが名林への最後の抵抗となるか!?




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