No.194:薮内琢雄という獣
逆転へ
しかし陽灘学園のエース薮内は2回以降立ち直り、尻上がりに調子をあげ、4回も無失点
4回の裏、陽灘学園の攻撃は3番の上村了から。
『3番、キャッチャー、上村 了くん。』
上村了『来たな南阪のエース。あん時の借りはしっかりと返させてもらうぜ。』
鬼頭『…?…誰だお前。』
上村了『さすが天下のS・9の人は格下なんてどーでもいいよね。だけどさ、あんま舐めない方がいいぜ?』
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
ズッッバァァーーッーーーッン!!
上村了『ッッッ!?!?』
『ス、ストライーク!』
上村了『な、な、なんだ今の球は!?』
≪155km/h≫
上村了『155km/h…、だと…。』
《さあなんと今のが155km/hを計測!!!甲子園最速タイ記録!!!2007年に仙台育報の栄生 由規の記録した最速記録と同じ!!なんということでしょうか!!》
鬼頭『お前さあ。バカだろ。』
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
カァァクゥゥゥッッッ!!
《二球目の縦の高速スライダーは空振り!!!》
上村了『さっきの豪速球に加え…切れ味抜群の縦のスライダー…。バケモンだ…。』
鬼頭『勘違いすんなよ?この縦のスライダーは俺にとっちゃカウント球だ。どいつもこいつも空振りするけどな。敵を1番舐めてんのは、てめえだってことに気づけ。』
上村了『言いたいことをのうのうと…。』
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
上村了『くっ…。』
ズッッバァァーーッーーーッン!
≪153km/h≫
《最後は153km/hの快速球!!見逃し三振!!!3番上村了、手が出ませんでした!!》
『4番、ピッチャー、薮内くん。』
薮内『へっ。また一段とスゲーやつが来たな。』
《さあ打席には初回、満塁ホームランを放っている薮内!!》
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
フワァッッ!
《初球はチェンジアップでストライク!》
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
フワァッッ!
《二球目もチェンジアップでツーストライク!!》
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
フワァッッ!
『ボール!』
《三球目もチェンジアップ!外してきました!これでカウント1ボール2ストライク!!》
薮内(そんなあからさまに直球で仕留めにかかられてもね。やってやろうじゃん。)
西口(翔真先輩のストレートを完璧に打たれ、流れをやってしまった。だったらまたストレートで今度は抑える。そーすれば流れはまたもとに戻る!)
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
薮内(この手の豪速球は“線”で追っていっても目が追い付かない。俺はこのボールの帰着する場所を予測し、“点”でとらえる!芯でとらえる確率は著しく損なうが、これなら対応できる!!)
カキィーーーッン!!!
《打球はセンターの前!!痛烈なセンター前ヒット!!鬼頭の154km/hのストレートを、完璧にとらえてランナー一塁!!》
薮内『今に見たか、バッテリー!』
西口(スゲー…。あれを…。)
鬼頭(ったくしゃーねーな。みせてやるよ。お前ら。ランナー出してからの投球が俺の持ち味。ドラゴンはランナーをほとんど出さないが、出してからが脆くなる。俺はこっからが1番自信あるんだよ。)
薮内(アウト1つもやってたまるか…。バントなんて要らねえ。俺が切り開いてやるよ!)