No.19:見抜かれた弱点
南『天宮!!タイムだ!!』
天宮『タイムお願いします。』
『タイム!!』
小宮『なんだ?この場面でなんか仕掛けてくる気か?』
南『わかったか?』
天宮『おう。お前の言う通りにしてやる。』
南『さっすが♪キャプテンは話がわかるなぁ。』
『プレイ!!』
成田『おい南。なに話してたんだ?』
南『まっ。見てりゃあ分かるって。』
(カキーン!!)
打球はライト線際へ。
ライトには藤武に代わって代打に出た氷室がそのまま守備についている。
氷室『うわっ!!きたっ!!』
『ファールボール!!』
氷室(よかったー…。)
副島『おい氷室!!もっとラインによれ!!右中間に守りすぎだ!!違う!!今度は行きすぎだ!!もっと左!!左!!そこ!!オッケー!!』
成田『なーるほど。俺もわかった。』
(カキーン!!)
南『よし!!これはヒットだ。』
大場『氷室!!突っ込め!!とれるぞ!!』
(ポテン!!ポテン!!)
打球はライト前ポテンヒット。
ツーアウトからまたランナーが出た。
副島『積極的にな!!今のも一歩目が遅かったぞ!!』
『7番、ライト、成田君。』
(カキーン!!)
氷室(うわぁ。また来たよ…。)
打球はまたライト前。今度はクリーンヒットだ。
(バスっ!)
氷室(あらら…。)
氷室が打球を弾いたが、大きく弾いたわけではないのでランナーは一二塁のまま。
『8番、セカンド、南君。』
(カキーン!!)
『ファール!!』
西口『またライト方向のファールか…。左打ちのコイツは無理に引っ張ってきたな。つまりはライト方向を狙っている。今までの打席では逆らわずに打っていたのに…怪しい。』
小宮(なにかたくらんでるよ。)
西口(ここは外角のカーブで様子を見よう。)
小宮(オッケー。)
ビュッ!!カクッ!!
南(ライトへ狙って…!!)
(ブン!!)
『ストライク!!ツー!!』
西口(やっぱりライト方向狙いか。このアベレージタイプのバッターがあの球をあそこまで引っ張ろうとするのはおかしい…。)
慶野『おい氷室!!アイツらお前の方狙い撃ちしてるぞ!!俺が右中間はカバーするからお前はもっとラインによれ!!』
眞野『見てみろよ。あのライトまた指示されて守備位置変えたぜ。』
矢野崎『いや。違う。指示されなければ守備位置を変えることもしない。ってのが正しいようだな。』
長岡『そーいえば、さっきもあのセカンドのやつに大声で指示されてたよな。』
健太『つまりだ。あのライトは初心者レベルだ。だからさっきそれに気づいた南は天宮にその事を伝えたんだろう。さすがだな。』
江澤『さすが。全国模試で上位3位に常に入るようなやつは頭の回転とか分析力とかが違うね。』
南(よし。バッテリーもそろそろ気づくと予想してたよ。だからあんなあからさまにライト狙ってる演技したんだよ。そんでもってセンターのポジショニングの指示も想定通り。まさかここまでうまくいくとは思ってもみなかったけど。)
ビュッ!!
南『そんなんじゃ左中間がら空きだよ!!』
(カキーン!!)
慶野『なにっ!!』
南『よしっ。完璧。』
天宮『スゲーな南は。さっきタイムとって話した内容を完全に再現したよ。』
長岡『よっしゃぁ!!ナイバッチ!!』
南『我ながら、天才。』
南のスリーベースで名林がさらに二点を追加し、これで12-8。
邦南はこれ以上点をとられたくないところだ。
『9番、キャッチャー、下村誠君。』
西口(ここでこいつか…。)
小宮(もう一点もやれない。絶対にこいつを抑えてやる。)