No.182:守乱…そして…
《打ったぁぁーっ!!!またもや強烈な打球!!これも水仙の居るショートへ!!!》
荻野(よし!いい当たりだけども水仙の守備範囲!!凌いだ!)
水野『水仙さん!!頼みました!!』
ゴゴゴウゥッッ!!!!
水仙『だからさっきから…』
(打球の質が尋常じゃねえんだよ!?)
バスっ…
水野『え…。』
荻野『うそやろ…?』
菊地『智也…お前…。』
水仙『くっ…!』
《あーっと!!!!!ショートの名手水仙がはじいてしまった!!!!セカンドは無理!!拾い直して一塁へ送球!!!!》
荻野『まて!焦るな!!無理だ!!間に合わん!!!!』
三浦『投げるな!!!!』
水仙(俺を誰だと思ってる…。S・9の1人…南阪のリードオフマン…水仙智也だぞ…。お前らが無理なことでも俺はできるんだ…。)
ビュウッッッ!!!
水野『やばいっ!』
荻野『だから言ったのに!!』
三浦『おい!』
《おーっと!!!これは…》
水仙『あ…。』
《一塁手の遥か頭上!!!悪送球だ!!!!三塁ランナーはもちろんホームイン!!!二塁ランナーも帰ってきた!!!先制は邦南高校!ツーアウト満塁から8番島谷倫暁の痛烈なショートへのゴロ!しかしこれを今日幾多のファインプレーを築いている名手水仙がまさかのファンブル!!そして完全に間に合わないタイミングにも関わらず一塁へ送球!それが悪送球となり一気に二点入った!!記録は勿論ショートの水仙のエラー!!堅守の晟西高校、7回裏のこの大事な場面で痛恨の守備のミス!!》
水仙『ははは…。俺の実力なんて…こんなもんさ…。』
【【【最後の夏なんだよ。お前1人で守ろうとしなくていい。みんなで守るんだ。その意識忘れんな。】】】
【【【俺を誰だと思ってる…。S・9の1人…南阪のリードオフマン…水仙智也だぞ…。お前らが無理なことでも俺はできるんだ…。】】】
水仙『ははは…。だっせぇ…。』
“昔っからそうだ…有言実行できねえ自分が情けねえ…。だから俺は南阪の頃もショートのポジションを奪えなかったんだよ…。こんな俺をどう思う…?キャプテン…、勇翔…、頭也…、ヒロ…、ドラゴン…、サク…、破刃…、剣刃…。”
水仙(こんな俺をどう思う…。みんな…。)
水野『なーにしょぼくれてんスか。』
荻野『いつまでも死んだ魚みてーな顔してるとぶっ叩くぞ。』
水野『まだ勝負は終わってないんですよ。あと二回も攻撃できる。それなのにその機会をみすみす失うつもりですか?違いますよね。ここで切ればまだ希望はぜんぜんありますよ。まだたった二点しか取られてません。次、ファイトしましょう。』
水仙『お前ら…。』
荻野『泰輔も大人になったな。入学してきた時は調子こきまくっててぶっ叩いてやろーと思ってたのにな。』
水野『いや、実際叩かれてましたよ(笑)』
荻野『おい、言うな(笑)』
三浦『ほんとお前も成長したな。ガキんちょ泰輔くん。』
水野『先輩たちのお陰ですよ。』
荻野『ほぉ~言うね~。』
水野『だから俺、もっともっと長く、先輩たちと野球がやりたいんです!』
水仙『ははっ…。』
水野『どうしたんスか?』
水仙『いや、入学してきたばっかのお前と今言ってた言葉を比べたら笑えてよ…。三振三振って、三振を取ることにしか頭がなかったお前が…今では7回途中まで投げて奪三振ゼロ。大人なピッチング覚えたと思ったら言葉まで大人になっちまってよ。』
水野『いや、まだまだ現役のガキですよ。』
荻野『なに威張ってんだ。』
水野『痛い!荻野っち先輩はそーやってすぐ人を叩く!』
荻野『その呼び方やめろって入学したてのお前にいったよなぁ…?』
水野『イタタタタ…!すいません荻ちゃん先輩!』
荻野『おい!』
水野『痛っ!』
水仙『あはは。お前バカだろ。』
水野『バカになると野球がより一層楽しめるんです!さあ水仙さんも一緒に!』
水仙『あはははははは!』
荻野『フッ、』
三浦『なんか面白くなってきたな…。』
水野『さあ攻撃に繋げましょう!皆さん頼みますよ!特に内野陣!』
水仙『今度こそ任せろ!』
水野『よし!』
カキィィーーッン!!
《さあまた打球はショートへ!!先程エラーした水仙ですがこれはうまくさばいてスリーアウトチェンジ!!しかしこの回、邦南高校、ツーアウト満塁からショートの水仙のダブルエラーで二点を先制しました。》