No.178:リズム破壊の序盤戦
『1回の裏、邦南高校の攻撃は、1番、ショート、小宮くん。』
《さあ邦南のエース大場が見事な投球を魅せれば、こちらも好投手、二年生の水野 泰輔がマウンドに上がります。》
小宮(右の先発完投型右腕…。ストレートはMAX145㎞/h、平均は130㎞/h後半とまずまずのスピード、変化球はウイニングショットのフォークにカウント球のカーブ。でもそれってさ…)
“ただの翔真先輩の劣化版じゃない?”
カキーーンッ!!
《初球のカーブをセンター前に叩いた!!これは二遊間を破り…!?》
水仙『オシャアッッ!!』
パシッ、
小宮(それを捕るか!!)
ヒュッッ
《二遊間の打球によく追い付いた!そして回転しながら一塁へ思いきったスロー!!》
小宮(嘘でしょ…。)
ズザザザッ!!
《小宮はヘッドスライディング!!!判定はどうだ!?タイミングは微妙!!》
『アウトォ!!!』
大場『マジかよ…。』
《一塁は間一髪アウト!!俊足の小宮でしたが晟西高校のショート、S・9の1人、水仙の前に出塁ならず!!》
カキーーンッ!!
《2番の副島も巧く流し打った!!!打球は三遊間!!これも水仙が追い付く!深い位置から投げる!!》
『アウトォォ!!』
《これもアウト!!!またまた水仙のビックプレー!!捕るまでの足のさばき、そして捕ってからのこの矢のような一塁スロー!!!これぞ水仙の守備力!!》
鬼頭『智也のやつ…、流石だな…。』
カキーーンッ!!
《今度はボテボテのショート前!!かなり打球が死んでいるぞ!!!これはさすがに無理か!?》
大場『この当たりならいくらなんでも…』
《バッターランナー大場は一塁を駆け抜ける!!アウトだ!!!またまたまたファインプレー!!!この回のアウトは全てショートの水仙のファインプレーで終えました!》
鬼頭『西口よ。何を思う?』
西口『意図的ですね…。恐らく…。』
鬼頭『だな…。あのバッテリー、完璧にショートゴロを打たせる配球をしてやがる…。こっちの打者の癖とかもビデオで相当チェックされてるっぽいな…。』
大場(ストレートも独特のクセ球だな…。微妙に沈んでやがる…。あの水野ってやつ…ムービング持ちかよ…。)
…
カキーーンッ!!
『打った!しかしこれもセカンドゴロ!!3回裏の攻撃も三者凡退でチェンジ、晟西高校の2年生エース水野、まずは打者一巡を内野ゴロ9つに封じています。』
水野(ショートゴロを打ったら終わり。それはこちらも思っている。しかし相手もそれを意識すれば自然とライト方向に打ってくる。つまりはライト方向に打たせてるってことだよ?ショートの水仙さんの守備力を見せつけておくことで相手の打者のリズムを崩してしまうのさ。)
菊地(この回、まずは先制点をいただくか。)
『4回表、晟西高校の攻撃は、1番、ショート、水仙くん。』