No.162:あの人の言葉
《さあワンナウトランナー二三塁で打席には無呼吸安打製造機こと南阪の主砲、S・6の1人桜沢春毅!!!!!!!!一方の邦南のマウンドには、桜沢と同じ南阪中学出身の鬼頭博行!!!!!!!さぁこの試合最注目の勝負!!!!!!!》
ドクン…ドクン…ドクン
鬼頭(らしくねぇぜ…。この俺がたかが県大会決勝でこんな緊張するなんてよ…。こんな緊張するのなんて久し振りだよ…。だけどこーゆー場面こそ…野球の醍醐味だとは思わねぇか?だからこのプレッシャーが、かえって俺には力になる。こーゆー場面で自分の力が発揮できてはじめて…)
ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!
カキィィーーッッッッーーーッッンッ!!!!!!!!!
『ファールボール!!!!』
鬼頭(一流のプレイヤーになる扉が拓けるんだよ。)
西口(やっぱさすがだな…。桜沢も。初球からこのストレートを当てるか…。)
ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
カァァクゥゥッッッッッッッ!!!!!!!!!!
ズバァァーーーーッッッーーーッーンッ!!!!!!!!!
『ボール!!!!!!』
《2球目はストライクからボールになる縦のスライダー!!!!!!しかしこれを簡単に見送った!!!!!》
西口(次はコレ!!)
鬼頭(いーけど捕れんの?小宮のとは格が違うと思うぜ。)
西口(任せてください!!)
鬼頭(ったく…。しゃーねーな。)
赤嶋『来るか?』
水仙『ヒロの投球の真骨頂…。』
霞『ヒロのウィニングショット…。』
鬼頭(全力で三振を取りにいく!!!!!!!)
ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
西口(な!?)
鬼頭(捕れよ!!)
『『『直球と、同じ腕の振りから…』』』
ブゥゥゥンッッッッ!!!!!!!!!
余語『なんだ!?あれは!?』
バスっ
西口『おっとっと…。』
《第三球は空振り!!!!!!これでカウント1ボール2ストライクと追い込んだ!!!!!!!!!》
西口(ストレートと全く同じ腕の振りから…。これが鬼頭さんのチェンジアップ…。落差、緩急ともに抜群…。)
赤嶋『違う。むしろそのチェンジアップは使って当然だ。』
霞『チェンジアップは肘に負担かからないしね…。』
水仙『あの球種をウィニングショットとして多投して…ヒロは肘をやったんだっけね…。』
ドクン…ドクン…ドクン…
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ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
鬼頭『うあっ!!!!!!!』
ガァァクゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
『ストライク!!!!!バッターアウト!!!!!』
赤嶋『よし!ナイスボ――――――――!?!?!?』
鬼頭『うっ…。うっ…。』
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
赤嶋『どうした!?ヒロ!!!!』
青龍寺『…。』
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ドクン…ドクン…ドクン…。
鬼頭(無理だ。投げれない…。)
ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
ズゴォォーーーッッッーーーーーーーッッッッッーン!!!!!!!!!!!!
『ボール!!!!カウント2ボール2ストライク!!!!!』
西口(次で決めます。)
西口がサインを出す
しかし鬼頭は首を振った
鬼頭(あのときの…トラウマか…。)
ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!
カァァクゥゥッッッッッッッ!!!!!!
カキィィーーッッッッーーーッッ!!!!!!!!!!!!!!
《会心の当たり!!!!!!しかしファール!!!!!!》
西口(さっき空振りしたチェンジアップをもうアジャストしてきやがった…。)
西口がサインを出す。
しかし鬼頭はまた首を振った。
西口(どうして!!ここが勝負の時ってことはわかってるはずなのに!!)
鬼頭(アレを使わなくたって…俺なら抑えられる!!!!!)
ビュワァァウゥゥゥッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ズゴォォーーーッッッーーーーーーーッッッッッーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
《アウトコース低め!!!!際どいコース!!!!しかし桜沢は悠然と見送った!!!!!!!》
『ボール!!!!!カウント3ボール2ストライク!!!!!!!』
鬼頭(ストレートも簡単に見切られた…。)
西口(使うしかありません。勿体ぶっている場合じゃないんです。わかってますよね。)
西口があのサインをまた出した
鬼頭(使うか…使わないか…。限られた選択肢は2つ…。しかしあのボールを使いすぎたせいで…)
《さあサイン交換が長いぞ!!次はなんのボールで勝負に来るか!!》
ドクン…。ドクン…ドクン…ドクン…
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??『やめろ青龍寺。逆らえば貴様たりともぶっ殺すぞ。』
青龍寺『なあキャプテンよ?なんでいつまでたっても鬼頭がエースなんだよ?俺のがいいピッチングしてるぜ。防御率も俺のがちょっといいし、唯一負けてるのは四死球の数だけだぜ?』
鬼頭『ほざけ。安定感がちげーんだよ。』
??『んなもん決まってんだろ。ここぞって場面で発揮できる力の違いだよ。』
青龍寺『あ?どーゆーことだよ?』
鬼頭『?』
??『確かにお前ら二人は素晴らしい投手だ。二人とも防御率だって0点台前半だしイニングの倍くらい奪三振もある。フォアボールの数だって悪くない。』
青龍寺『じゃあなんでずっとコイツがエースで俺はファーストなんだよ!!!!おかしいだろ!!!!』
??『お前はバカか?青龍寺。打たれるだけで痺れをきたす投手、つまり短気な投手がエースを務めたらどーなると思う?』
青龍寺『別に。俺は0点に抑えればいいと思う。』
??『いいか。野球には“流れ”ってもんがあるんだ。たとえ0に抑えたとしても、投手がキレることによって野手のムードまで崩してしまう。流れを絶ちきっちまうんだよ。つまりどーゆーことかわかるか?』
青龍寺『あ?』
??『野手がリズムに乗れる投球をよりしているのが鬼頭。そしてピンチの場面になっても決して動揺せず、今まで通り、いや今まで以上のピッチングができる。そーゆーやつがエースになるべきなんだよ。打たれたら力ずくで抑えにかかるお前と鬼頭との違いだ。鬼頭はピンチの場面に滅法強い。なぜなら、そーゆー場面でより抑える確率の高い投球ができるからだ。』
“チームを一番背負っているはずの投手が、わがままな投球で、周りに迷惑をかけることを俺は絶対に許さない。今のままじゃ鬼頭がいる限り青龍寺は絶対に二番手投手だ。”
鬼頭『キャプテン…。』
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西口(どうしたんですか!?ヒロ先輩!)
鬼頭(撃ち取る確率の高い投球…。それはどんな投球だ?そう…あの球を起点に様々な組み立てをしていく投球…それが…)
“俺のピッチングの真骨頂!!”
鬼頭『行くぞ西口ぃ!!!!!!!!』
西口『はい!!!!!!』
赤嶋『来るな。あの球。』