No.156:兄から弟へ~バトン~
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片野『なんだと!?』
島谷倫『はい。悔しいですが満足いくプレーができません。』
片野『本当に、いいんだな?』
島谷倫『このヒザの状態で試合に出てもチームに迷惑かけるだけです。』
片野『オマエ…。』
島谷倫『大丈夫です。きっと。うちの野球部、選手層は薄くても、頼りになる奴、いっぱい居ますから…。俺、勝ちたいんです…。』
片野『オマエのヒザの状態があまりよくないのはわかっていた。一年の頃からよく痛めてたしな。だがこの場面、本当に代わってもいいのか?ここまで内野を引っ張ってきたお前が…。』
島谷倫『涼太…、今まであんま出れなくても、決して準備を怠ってこなかった。兄弟だから、尚更よく見えるんで、差別しちゃってるかもしれないんですけど、俺、今の涼太なら、俺の高校野球生活を託しても後悔しない自信があります。アイツなら俺の離脱を微塵も感じさせないようなプレーをしてくれる。そう思います。』
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『邦南高校、選手の交代をお知らせします。9番、ショート、島谷 倫暁くんに代わりまして、代打、島谷 涼太くん。』
島谷倫『任せたぞ。涼太。自分のスイングを忘れんなよ。』
島谷涼『兄貴の意志、しっかりと受け継いだぜ。』
『プレイ!!!!!!!』
《さあここで邦南高校、9番の島谷倫暁に代えて弟の島谷涼太を代打に出してきた!!!ベンチ入りの選手がこれで全員出場したことになります!!》
島谷涼『おっしゃぁ!!!来いや!!!!』