No.153:セリフ被ってんだよ。バーカ。
《ホームは惜しくもタッチアウト!!!!!享神高校スクイズでサヨナラを狙うも大場のフィールディングを前に本塁憤死!!!!!!ツーアウトランナー一三塁となって打者は今日途中出場の三好!!!!!》
『8番、ファースト、三好くん。』
大場(コイツを歩かせても次は堂金…。リスクは低い。)
西口(打力のあまりない堂金だが…なぜか今のあいつからは強打者のオーラが漂っている…。)
ズキン…ズキン…ズキン…ズキン…
大場『左肘…こりゃやべー…。もしサヨナラ負けしなくても再試合になったら満身創痍のウチに勝ち目はない…。』
ズバーン!!!!!!
《8番三好は敬遠で延長14回の裏、14-14と両チーム同得点と一点入ればその瞬間享神のサヨナラというこの場面、決死の満塁策でエースの堂金と勝負だ!!!!!》
余語『当然か…。三好はかなりの高打率だからな。』
堂金『やってやるぜ…。このチームで甲子園に行きたいんだ…。』
『9番、ピッチャー、堂金くん。』
堂金『打ってやる…。打ってやる…。』
野海『お、おい!あのプライドのクソ高い堂金がバットを短く持ってるぞ!!』
桜沢『あ?なに驚いてんだ?』
北峰『野海。今更か?』
余語『アイツはもう昔のアイツじゃない。もうアイツは、立派な…』
“野球大好き少年だよ。”
カッキィィィーーーーッッッーーーッッッーーンッ!!!!!!!!!!!!!!!!
大場『なにぃ!?』
《初球を捉えた!!!!!!打球はレフトライン際!!!!!フェアならサヨナラ!!!!さあ果たしてフェアかファールか!!!!!!》
『ファール!!ファール!!』
堂金『くそっ!!仕留め損なった!!』
余語『惜しいな。こりゃ期待できるぞ。』
西口(9番の堂金にまでこの当たりか…。厳しい…。)
…
…、
…。
カキィーーン!!
『ファール!!』
大場(しつけえな…。)
ズバーーッン!!!!!
『ボール!!!!!カウント3ボール2ストライク!!!!!』
《さあフルカウントになった!!!!少し球威と制球の落ちてきた大場!!この1球が試合の勝敗をかける正念場となる1球!!!》
ズキンズキンズキンズキンズキン…。
大場(ダメだ…。もう堂金すら抑える力が残ってねぇ…。もう終わりかもしんねぇ…。今の研ぎ澄まされた感覚を持っている堂金にボール球を投げれば終わり。ストライクゾーンで勝負するっきゃねぇが…。コースを狙うコントロールもない…。ましてや腕の感覚が…薄い…。だからといって甘く入ったら今度こそやられる…。どうやったら。)
“パイ!”
“ンパイ!”
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翔真『なぁ慶大。高校生っていいよな!』
慶大『お兄ちゃん。どうしたの?』
翔真『だって女子高生って可愛い人しかいないじゃん。スカートも短くて。』
慶大『と、突然どーしたの!?』
翔真『いや、あのチャリ乗ってる女子高生見たら思っちった!!なーんてな!』
慶大『もー!お兄ちゃんの変態!!』
翔真『いやぁ…高校生になったらなにしよぉ…。やっぱり恋かなー!』
慶大『はぁ?なにいってんの?忘れたの?僕との約束。』
翔真『はぁ?女子高生?』
慶大『高校に入ったら、甲子園行こうよ!!』
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“ンパイ!!”
“先輩!!”
“翔真先輩!!!”
はっ
大場『拓磨…。』
西口『なに遠くの空見つめてんスか。』
大場『別に。なんでも良いだろ!』
西口『一言、いいスか?』
大場『なんだよ。』
西口『甲子園、行きましょう!!以上!!』
スタスタ…
大場『…。』
『セリフが被ってんだよ。バーカ。』
フワっ…
大場『くそ…。アイツは西口拓磨。安田慶大は死んだんだ…。なのに…やっぱり拓磨が慶大に見えちまう…。』
“甲子園行こうよ!”
“甲子園、行きましょう!!”
『わかったよ。任せとけ。バーカ。』
《さあピッチャーの大場がようやくセットポジションに入る!!運命の1球!!!!》
大場『ウォォォォォォォ!!!!!!!!!』
『らぁっっっっ!!!!!!!!!!!!!』
ビュワゥゥゥゥッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
堂金『なにっ!?!?』
ズッッッッバァァーーーーッッッッッッーーーンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
≪149km/h≫
審判の右手が上がる。
『ストライィーク!!!!!!!!!バッタァーアウッッッ!!!!!!!!!』
大場『おしゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』