No.152:修羅場
《さあ延長14回の裏、享神高校の攻撃は5番の余語のレフト前へのポテンヒットでワンナウトランナー一塁!!!!!》
『6番、サード、勾城くん。』
勾城(さっきの打席で感じた…翔真先輩の投球の質の低下…あれは本当に疲れ、なのか…?連戦連投の翔真先輩もさすがにバテてきたってことなのか…?)
ビュワゥゥゥゥッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
勾城(バテたとしてもこんなあからさまに初球から甘い球なんて来ないはず!!翔真先輩なら!!)
カキィィィーーーッッッッッーーーーーンッ!!!!!!!
《外角やや真ん中よりの初球ストレートをコースに逆らわずにライトへ運んだ!!!!!ワンナウトから連打でワンナウト一二塁!!!!!》
『7番、センター、古瀬くん。』
西口(ワンナウト一二塁で打者は俊足の古瀬…。ゲッツーが期待できない…。どうしてもこの場面…三振が欲しい…。)
古瀬(次のバッターは俺ら享神自慢の代打の切り札、三好…。今日も大場からヒットを打っているし、球威、制球力の落ちてきた大場ならサヨナラタイムリーも十分考えられるが、二塁ランナーは足がそう速くない余語。これは俺が変にサヨナラ狙うよりも…)
《さあピッチャー大場、セットポジションから投げる!!!!》
(最低でも余語が三進、そんであわよくば俺も一塁セーフを!!)
大場(そうくるか!!!!だが、くらえ!!!!)
ビュワゥゥゥゥッッッッッッッッッッ!!!!!!!
《セーフティバントだ!!!!!》
古瀬(な!?)
カァクゥゥゥーーーーッッッッッッーッ!!!!!!!!!
《バッター古瀬はセーフティバント空振り!!!!!!》
今坂『いや、儲けた。』
パン!!
余語(よし、しめた!!)
西口(この場面で…)
大場(さすがの拓磨でも無理か!!)
《あーっと!!!!!ここでバッテリーエラーがでた!!!!!!!大場のワンバウンドになるフォークをキャッチャー西口止められず!!!!!!ここで今大会チーム初のワイルドピッチがでてしまった!!!!!!!!バントなしでワンナウトランナー二三塁!!!!!!!!!!》
西口『落ち着きましょう。先輩。』
大場『ああ。』
《さあ三塁ランナー余語がホームに還れば甲子園!!!邦南内野陣は背水の陣と同義の前進守備!!!!絶対に点を渡してはいけない場面!!!!!外野フライも死を意味するぞ!!!!》
西口(ゴロを打たせるしか…。フライは絶対にダメだ。あわよくば空振りが欲しい…。)
ビュワゥゥゥゥッッッッッッッッッッ!!!!!
カァクゥゥゥーーーーッッッッッッーッ!!!!
『ボール!!』
古瀬(このバッテリー、相当厚い信頼関係があるな…。じゃなきゃこの場面でさっきワイルドピッチしたボールなんか要求できんぞ。)
ズッッッッバァァーーーーッッッッッッーーーンッ!!!!!!!
『ボール!!!!!!!』
ズッッッッバァァーーーーッッッッッッーーーンッ!!!!!!!
『ボール!!!!カウント3ボール1ストライク!!!!!!』
西口(フォアボールだけは避けたい…。次は外野に運ぶ力は十分にある三好…。古瀬でツーアウトにしなきゃ…。)
大場(打てるもんなら…)
『打ってみやがれ!!!!!!!!』
ビュワゥゥゥゥッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
《三塁ランナー余語がスタートを切った!!!!!!!!!》
西口『ス、スクイズだとぉ!?』
ビュゴゴォォゥゥゥーッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
古瀬(うっ!)
コン!!!!
《バントは成功か!!少しバントが強い!!!!!!!ピッチャー大場が処理をする!!!!!!!!》
余語『うらぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!』
西口『グラブトス!!!!!!!』
大場『頼む!!!!!!!!!!』
ズザザザザザジザザザ!!!!!!!!!!!!
『アウトォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!』
《またしても享神、本塁憤死!!!!!!!!邦南はこの回二つ目の修羅場を乗り越えた!!!!!!エース大場の素晴らしいフィールディング!!!!!!!!》
西口『ナイピッチです。信じてました。』
大場『あとひとつでチェンジだ。粘るぞ。』