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No.141:元レギュラーとして

『2番、ファースト、隈川(くまかわ)くん。』



西口(長身だな。ざっと180センチ後半はあるな…。この身長からして長打力はありそうだ。)




西口(初球は外角低め一杯のストレート!!!!!!)




ビュウウゥッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!




カキィーッン!!



《流し打ったが打球に力がない!!セカンド鬼頭が捕って二塁へ送球!!一塁はどうだ!!》






『セーフ!!』




余語『っぶねー…。』

北峰『隈川に脚力があって助かった…。』



西口(足速いじゃねえか。しかしツーアウト。控え選手のコイツさえ抑えれば甲子園だ!!)






『3番、ライト、平井(ひらい)くん。』




北峰『剛史(たけし)…。』

余語『平井は堂金や野海、勾城ら今の一年が来るまえ、有迫がセカンドだったときの正右翼手だ。打順は2番だった時もある。決して期待できない訳ではない。3年の意地を見せてくれるはずだ。』




平井(今では控えに甘んじちゃいるが、リトルリーグ、シニアリーグ、そして高校と、野球エリートの道を進んできた俺だ。小1から12年間やってきた野球の集大成がこの高3夏の大会。自信持つぞ。絶対に打ったる。)




《さあ9回の裏2点差、先攻の邦南高校がリードするまさかまさかの展開!!ツーアウトランナー一塁三塁!!!しかし長打が出れば同点という場面でバッターは去年夏は9番ライト、そして今年の春は2番ライトだった3年生平井!!さあこの場面で元レギュラーの意地を見せることができるか!!》




西口(代打や途中出場の奴には変化球から入るのが鉄則。なぜならストレートをかなり意識している可能性が高いからだ。球種の割合的にも今日はかなり低くデータにはあまり残っていないだろうが翔真先輩の元決め球…。)




大場(カーブ!久々だな。)



鬼頭(なるほど。翔真のカーブは変化やキレこそ中の上程のレベルだが、他と比べ圧倒的な制球力、コントロールを保持する。データの少ないこのバッターに対する初球には絶好の球。一気にカウント有利に持っていこうとする単調なリード感は否めないが悪くない配球だ。)




《セットポジションから大場が投げる!!》



ビュウウゥッッッッ!!



平井(!?)



カクッ!!!!





ズバーン!!



『ストライク!!ワン!!!』



平井(くそ!この場面でカーブか!)



余語『この場面でカーブ…。データ的には皆無だったから警戒が薄かった。』


北峰『でも久々に投げたボールで左投手の大場が右打者の外のボール球から外角一杯に決まってくるカーブなんてそうそう投げれるもんじゃない。今の1球は大場くんの投手としての完成度を表していると言って過言じゃない。普通あんなコースに決められないからね。』




《さあツーアウトランナー一三塁!!守る邦南高校はピンチではあるものの2点差であとアウト一つで甲子園!!!!》




西口(こーゆーのは焦ったらダメだ。翔真先輩の持ち味を存分に引き出すぞ…。)





平井(考えろ…。考えるんだ…。なぜあの場面でホームランを打てるようなヤツが途中出場なのか…。答えはちょっと考えれば容易に想像がつく…。恐らく、怪我だ。)




平井が代打からそのままライトのポジションに入っている小宮をチラッと見る。





平井『やってやるよ…。俺なら…できる。』



桜沢『俺に回せよ…。剛史(たけし)…。』




《さあ2球目!!!!》




ビュウウゥゥゥッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!





スットォォォーーーーーーーーッッッッン!!!!!!!!!!!!



ブン!!!!


西口(よし!)



平井(くそ!!なんだこのフォークは!?これじゃあ名林の下村健太と同等のレベルじゃないか!?)




《さあなんと2球で追い込んできた!!次の1球で決めてくるか邦南バッテリー!!》





西口(これで決まればもうけもん。)

大場(止めろよ拓磨。)




ビュウウゥゥゥッッッッッッッッッ!!!!!



スットォォォーーーーーーーーッッッッン!!!!!!!!


平井『う!!』



バーーン!!!!



《キャッチャー西口がワンバウンドのフォークをうまく止める!!しかしバッター平井よくボールを見ました!!!!これでカウント1ボール2ストライク!!!!》




余語『よく見たぞ!!』

北峰『ナイ線!!!!!!!!』


有迫『平井さん!!リラックスリラックス!!』




ズバーーーッッッン!!!!!!!!!



≪147km/h≫



西口(決まったか!?)







『ボール!!!!』



《第4球目はボール!!!!カウント平行カウント2ボール2ストライク!!!!!》





大場(いい選球眼してるね。)






ズッッッバァーーーーーーッッッッッン!!!!!!!!!!!



≪149km/h≫








『ボール!!!!!!』




《アウトロー一杯への微妙なコース!!!!しかし判定はボール!!!!フルカウントになった!!!!!!》




西口(嘘だろ?入ってんじゃん。)





《今のは果たして手が出なかったのか!?それとも堂々と見送ったのか!?さあこの1球が見物!!!!》




北峰『案外落ち着いてるな。』

余語『ああ。平井はチームじゃトップクラスに実戦経験豊富だからな。大舞台も2度経験してるし、準優勝のスタメンであり、優勝の主力でもあった。こーゆー場面で力を十二分に発揮できるチーム有数の選手だ。』


西崎『平井ィ!!!!!お前ならやれるぞ!!!!絶対打つぞ!!!!!』


野海『先輩!!!打てます!!!!!』


堂金『平井さん!!!!』


勾城『剛史くん!!かっ飛ばせ!!!!』




《さあ攻撃する享神ベンチも今日一番の盛り上がり!!》






平井『うっせえよ…。うっっ、うっせえよ。バカ野郎どもが…。俺を誰だと思ってんだ…。』






《さあ第6球目!!!!これで決まるか!?》






大場『お前を抑えて、甲子園だ!!!!!!』




ビュウウゥゥゥッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





西口(注文通り!!!素晴らしいボール来たぞ!!!!!!!!!)



《インロー直球!!!!!!!打てるか!?!?》






ボン!!!!!!




平井『!!』


《詰まった!!!!!セカンド鬼頭の守備範囲か!?!?》









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