No.128:堂金物語Ⅲ
『誰ですか?この人。』
『俺は古瀬優太。享神のセンターやっとんや。』
『レギュラーですか?』
今坂『安心しなさい堂金くん。彼はレギュラーだよ。まあ下位打線なんだがな。』
『主力がいいです。強いやつとやらせてください。』
今坂『まあまあ。そう焦るな。古瀬を抑えられなきゃ桜沢は絶対に抑えられない。まあお手並み拝見ってやつだよ。』
『わかりました。』(そっこーで片付けてやる。)
古瀬(たっく…。下らねえな。中坊なんかに負けるわけ)
ズバァァァァーッッンッ!!!!!!!
古瀬(は。)
ズバァァァァーッッンッ!!!!!!!
堂金『どうしました?2球ともアウトロー一杯ですよ?』
古瀬『わかっとるわ。』
(コイツの球、ヤバイくらい伸びる…。)
ズバァァァァーッッンッ!!!!!!!
古瀬(イ、インコース!?)
今坂『古瀬のやつ…。負けおったか。』
堂金『あれ?ボールすか?』
古瀬『…。…入っとる。』
堂金『3球全部見逃しじゃないすか。つまんないですが、俺の勝ちです。』
今坂『1打席勝負ならコイツだな。三好を呼べ。』
『三好!ちょっとこっち来い!!』
三好『呼びましたか?』
今坂『あの中学生と勝負してやってほしい。』
三好『誰すか?』
今坂『中学硬式野球の全国制覇ピッチャー、堂金くんだ。たった今、古瀬が負けた。お前の得意な1打席勝負で仕留めてこい。』
三好『わかりやした。』
堂金『今度は勿論上位打線の人を持ってきたんでしょうね?』
三好『安心しろ。俺はヤワではない。』
今坂『三好は最高の代打の切り札。守備のセンスの無さには呆れるが、打撃センスだけなら上位打線にも比毛をとらない。むしろ1打席の集中力等では勝っている。』
ビュウッッッッ!!!!!!!!
カキーン!!
堂金『!?』
三好(コイツ…確かに速い。中坊だかって舐めてかかると一本とられる。)
ビュウッッッッ!!!!!!
三好(遠い!ボールだ!)
カクッッッ!
三好(なに!?)
ズバーーッンッ!
堂金『はい。アウトロー一杯。追い込んだ。』
三好(なんだ?今の球は。シンカーのような軌道。だがシンカーであそこまで曲がるものなのか…?)
ビュウッッッッ!!!!!!
三好(真ん中より!!ミスったな!決めるぜ!)
ズバーーッンッ!!!!!!!!!
三好(なん…だと…?)
堂金『はい二人斬り。』
三好『バットに…当たる気配がなかった!?初球と同じストレートのはず…。むしろ初球よりもコースが甘かった…。なのに…』
今坂『…。』
天童『どうします?三好が空振り三振に取られるなんて。』
今坂『神郷を呼べ。』
…
……
ズバーーッンッ!!!!!
神郷(え~当たらないよぉ~。)
堂金『3連続っと。』
今坂『北峰。』
…
……
ズバーーッンッ!!!!!!
北峰(なんなんだ!?この中学生は…。)
天童『き、北峰まで…。』
余語『俺にいかせてください。』
今坂『どうした。突然。』
余語『俺がアイツのピッチング、見てきます。』
堂金『今度はどちら様ですか?』
余語『キャプテンの余語だ。』
堂金『勝ちますよ。』
余語『来い。』
ビュウッッッッ!!!!!!!!
余語『なるほどな。』
カキィィーーーッッーーッンッ!!!!!!!!!
堂金『く!!』
バシィィィ!!!!!
余語『ちっ。よく捕ったな。』
堂金『あんくらい余裕ですよ。そっちこそ、よく初球から当てれましたね。』
余語『あんま高校野球、舐めんなよ。』
堂金『…。』
『舐めてますよ。』
今坂『桜沢。出番だ。』
余語『あ?』
堂金『これがあの甲子園準優勝校の享神ですか。僕中学生ですよ?抑えられていいんですか?』
余語『別に?真剣勝負じゃねえし。』
堂金『逃げるんですか?もっとキテもらわないと。』
余語『中坊が調子に乗るなよ。』
『待て隼輝。』
余語『桜沢…。』
堂金『あなたは正真正銘の桜沢さん。俺と勝負してくれませんか?』
桜沢『嫌だね。テメーみたいな餓鬼は嫌いだ。』
堂金『勝てる自信がありませんか?』
桜沢『いい度胸してやがんな。挑むところやら。いいぜ。やってやるよ。』
堂金『なんかさっきの人は真剣勝負じゃないとか言ってきたんで、約束してくださいよ。』
桜沢『早く言え。』
堂金『本気でかかってきてください。俺が愛知まで来たのは、あなたと真剣勝負するためです。』
桜沢『もしお前が負けたら、どうする?』
堂金『この享神には、入りません。』
桜沢『要らねえって。お前みたいなやつなんてよ。』
堂金『じゃあ、勝てばいいじゃないですか。』
桜沢『わかった。買った。』
堂金(やっとここに来たぜ。正直勝てるきは全くしねえ。だけどそれでいいんだ。現状でコイツを抑えられるなら、俺は野球を練習する意味がねえ。)
ビュウッッッッ!!!!!!!!
ズバーーッンッ!!!!!
飯村(いいむら:キャッチャー)
『アウトロー一杯…入ってます…。』
堂金(当然本気で当たる。)
ビュウッッッッっ!!!!!!!!
カクッッッ!!!!!
ズバーーッンッ!!!!!!
飯村『これも…入ってます。』
堂金『期待はずれはよしてくれよ。』
ビュウッッッッ!!!!!!!!
ズッバーーーーッッッーーッン!!!!!!!
飯村(え。)
余語『桜沢が…』
桜沢『え…。』
余語『負けた…。』
堂金『……………。…。……。…。』