No.119:下位からの流れ
最近サブタイが思いつかない…
『8番、ライト、藤武くん。』
藤武(小中とバスケと共に歩んできた俺の人生。初めて踏みいった野球ってスポーツ。走力には自信がある。が、バッティングとか守備とかみんなには全然劣る。だけどスタメンに今日は入れてくれた。期待に応えたい。こんな遅い球、初心者の俺にとっちゃちょうどいい位のスピードなんだ!)
カキーンッ!!!!!
『打った!!打球は見事なセンター前!!なんと8番の1年生藤武が初めて享神の背番号11、三回途中からリリーフしている南浜からチーム初ヒット!!!!これでワンナウト一塁!!!!!!!!』
西口『藤武を入れておいて良かったな。』
小宮『うん。遅球には十分ついていけるみたいだし。』
『9番、ショート、島谷倫暁くん。』
野中『藤武は確か俊足。』
川越『その足を生かさずにランナーを進めない手は無いな。』
藤武(俺は盗塁技術は決して高くない。盗塁を期待されてるんじゃない。わかってる。)
(脚力そのものに期待されてるんだ!!)
カキーン!!
『これは一二塁間!!打球は撃ち取った打球!!セカンドの野海、追い付いて二塁へ送る!!!!!!!二塁フォースアウトを狙った!!!!』
藤武(見せ場だぜ!!!!!!!)
神郷(!?速いな~!!?)
ズザザザザザァッ!!!!!!
『セーフ!!!!!!!!!!』
『二塁は間一髪セーフ!!!藤武の好スタート!!二塁でのアウトを防いだ!!そして当然一塁もセーフ!!!!!!二塁手の野海のフィルダースチョイス!!!!!これでワンナウト一二塁!!!!!!!!』
余語『南浜!!焦らず1個ずつだ!!』
南浜『わぁってる!!』
野中『今のはでかいな。これでスコアリーグポジションにランナーが進んだ状態で…』
『1番、セカンド、鬼頭くん。』
余語(ちっ。打順の巡り合わせが悪いぜ…ここで鬼頭かよ…。)
鬼頭(まだワンナウトだ。下手にデカイの狙うより後ろに繋ぐのが必要だ。)
慶野『鬼頭さん!!一人でいっちゃってください!!僕らもついていきます!!』
鬼頭(頼もしいね。次期キャプテン候補。)
(じゃあ心置きなく自分の打撃をさせてもらおうか。)
余語(スローカーブをうまくリードすれば撃ち取ることも可能だ。まずそこまで持っていきたい。)
南浜(大丈夫だ。まともにとらえられちゃいない。3点リード。一点くらい渡してやってもいい位の気持ちでいくぜ。)
鬼頭(初球は何で来る?享神のピッチャーだ。直球とスローカーブの2球種だけじゃないはずだ。俺を抑えに来るならこの打席中でなにか仕掛けてくるはず。)
余語(いつ使うかだ。必殺技とは言い難いが、数球使うだけなら十分有効。)
南浜(早くサイン出してよ。)
余語(わりぃな。)
ビュウッ!!
スバン!!!
『ボール!!!!!』
鬼頭(初球は外角へのストレート。余語は今何を考えている?感じろ。ピッチャーから感じとれ。)
南浜(…。)
鬼頭(コイツ!?)
(なに考えてるか見抜けねえ…。どうしたらこんな癖のないリズムで投げられる…。)
ビュウッ!!!
カクッ!!
『ストライク!!!!!』
『2球目のスローカーブはうまくいいコースに決めてきてワンボールワンストライク!!!!!』
鬼頭(いや、大丈夫だ。冷静になれ。高校生だ。完璧な訳じゃない。感じられる…。)
(ストレートか?)
ビュウッ!!!!!
ズバーン!!!!!!
『ストライク!!カウントワンボールツーストライク!!!!!!!』
鬼頭(おっけーおっけー。全然わかる。ちょっと焦りすぎちまったぜ。)
大場『博行さんの洞察力は反則だな。』
西口『ですね。ピッチャーの仕草や目線から投げる球を予想されちゃ、キャッチャーとしてはたまったもんじゃないですよ。』
小宮『しかもその的中率はほぼ確実。』
鬼頭(仕掛けてくるか?ここらでまだ見せてない球を投げてきてもおかしくない。)
余語(ストレートを1球外に外すぞ。)
南浜(了解。)
ビュウッ!!!!!!
『ボール!!カウントツーボールツーストライク!!!!!!!』
鬼頭(…。来る。)
余語(この球で相手の手元を狂わせるぞ。)
南浜(おっけ。)
鬼頭(間違いない。この力感から判断して…)
(速いのが来るのか?)
ビュウッ!!!!!!!!!!
鬼頭(!?!?なにぃ!?!?)