No.114:打たれて当然
『5番、キャッチャー、余語くん。』
余語(氷室くん。上社西戦では崩れたエース大場翔真のリリーフとして完全に予想外の無失点リリーフ。それで少し浮いちゃってたか?自分の実力を過信してたか?そもそも上社西戦での好リリーフは氷室のカーブを含め大場と比べ平均球速の異常な遅さによる錯覚症状的なものがたまたまクオリティヒットしただけにすぎない。スターターとしてこられても特に変化は感じられない。)
カキーン!!!!!!!
余語(こんなピッチャーで俺らにチャレンジするなんて心外だな。)
『これも痛烈な打球!!レフトへのクリーンヒット!!!!!またランナーが出た!!!!』
西口(やべ。抑えられねえ。つってもまだ3回だし…翔真先輩を出すわけにもいかねえ。野球は9回まであるんだ…。)
『6番、サード、勾城くん。』
西口(真ん中低めのストライクからボールになる変化球。これで決めたい。効果を増すために初球は真ん中低め直球。これを打たれたらしゃあねえ。)
小宮(勾城くんが逃すか…?)
ビュウッ!!!!!!!!
勾城(完全に読み通り!!)
カッキーーッン!!!!!!!
『これも痛烈なセンター返し!!!!!』
『オッケェ!!!!!!!!!!』
氷室『ん!?』
バシィィィッッッッ!!!!!!!
西口『博行先輩!!!!!!!!!』
島谷倫『ゲッツー!!!!!!!!』
鬼頭『あいよぉ!!!!!』
『セカンドの鬼頭がダイビングキャッチ!!!そしてセカンドベースカバーの島谷倫暁へグラブトス!!!!!そして一塁へ送球!!!!!!!!!!!』
『アウトォ!!!!!!!!!』
『ダブルプレー成立!!!!!!!今日二つ目!!!!!!邦南守備陣が光ります!!!!!!!!見事なセカンド鬼頭のファインプレイ!!!!!!!!』
島谷倫『ナイスセカン!!!!!!』
鬼頭『こんくらい当然だ!!』
氷室『助かりましたよ。鬼頭さん。』
鬼頭『お前は打たれるのを怖がりすぎなんだよ。むしろ打たれて当然なんだから自分のできること、しっかり頼むぜ。いきなり決勝の舞台で確かに酷なのは分かるが、今はお前しかいないんだ。打たれても守ってやるからよ。』
氷室『はい!』
鬼頭『西口。』
西口『右方向中心に打たれるリード。ですか?』
鬼頭『話が早いな。今そーゆーリードをして欲しいと思って話しかけた。』
西口『わかってますよ。よろしくお願いしますよ。』
その後4回の表、邦南は9番島谷倫暁からの打順。鬼頭のヒットでランナー1人出すが続かず無得点。そして4回の裏、享神は7番からの下位打線からの打順で三者凡退。
試合は5回の表に突入する。
『5回の表、邦南高校の攻撃は、4番、キャッチャー、西口くん。』
多賀谷『ここで今日当たってる拓磨。』
亀丸『堂金から二打席連続のツーベース。俺ら黒シャーのレギュラーでもノーヒットノーラン食らったのに、拓磨がここまで俺たちの借りを返してくれるなんてな。』
岩栗『拓磨。見ないうちに大分成長したよね。』
西口(遅球ピッチャーで大事なのは1つだけ。引き付けて、バチン。このイメージを実行できれば外野を越えるのも容易だ。)
ビュウッ!!!!!!
『スローカーブ!!!!!』
スバン!!!
『ストライク!!!!!』
西口(くっ。初球からスローカーブか。めちゃくちゃ遅いぞ…。)
ビュウッ!!!!!!
西口(またスローカーブか!!)
カスン!
『ファール!!!!!!!』
『さあこれもスローカーブにタイミング合わずファールボール!!!!今日好調の1年生4番、西口、簡単に2球で追い込まれた!!』
ビュウッ!!!!!!
西口(3球勝負!?またスローカーブ!!)
カキーン!!
『これは撃ち取った打球!!しかし飛んだ場所がいい!!!!!三遊間!!!』
神郷『おっけぇ~!』
『ショートの神郷、逆シングルからのノーステップスロー!!!!!!!!!タイミングは微妙だ!!!!!!』
『アウト!!!!!!!!!!』
南浜『ナイス神郷!!!!』
神郷『ありがとぉ~。』
『さあショート神郷の好プレーで内野安打阻止!!!!!!!ワンナウト!!!!!!!』
赤嶋『あのデブ。いい動きするな。』
霞『デブなんていっちゃダメだって。でも、かなり機敏だね。』
水仙『俺ほどじゃないがな。』
霞『そりゃそうに決まってんじゃん。智也より守備範囲の広いショートストップは高校生にはいないよ。』
水仙『ありがとう。勇翔。』
赤嶋『なに照れてんだ。ダァホ。』
カキーン!!
『さあこれはレフトの定位置!!レフト桜沢ガッチリキャッチしてツーアウト!!』
ビュウッ!!!!!
カキーン!!!!
『さあこれもサード正面!!サードの1年生の勾城、無難にさばいてスリーアウトチェンジ!!5回の表、邦南高校の攻撃、4番の西口くんからの打順でしたが、3回途中からリリーフした南浜くんに対し三者凡退です!!』
野中『あの南浜ってやつがリリーフしてから8人連続凡打か…。』
川越『経験したことのないタイプのピッチャーで大分てこずってるな。』
野中『こりゃ流れが変わるか?』
川越『1番から始まるこの打順。得点無しには逃がしてくれそうもないな。』
野中『だな…。ビッグイニングにならなけりゃいいが…。』
川越『この5回の裏…どう凌ぐか。見物だな。』