No.112:キャプテン不在の邦南
川越『なぜ上位打線の有迫を下げてまで堂金を残すんだ…。今坂よ…。』
野中『ああ。序盤から打順をいじるとはな…。2番に入ったピッチャーの南浜ってやつはどうなんだよ?』
川越『左のスリークオーターハンド。しかもかなりの軟投派だ。直球もMAX120km/hも無いはずだ。常時110km/h弱程だ。』
野中『常時110km/h弱って…中学校野球かよ…。』
川越『その遅さが南浜の武器だ。さらにスローカーブも持っているはずだ。スローカーブはもっともっと遅いぞ。遅球投手だがコントロールはアバウトなんだがな。珍しいタイプだ。』
鬼頭『ミツル…大丈夫かな…。』
『7番、サード、松坂くん。』
余語(コイツの長打力は侮れん。だがタイミングさえ外してやればバットコントロールのあまりないコイツなら撃ち取れる。南浜にはもってこいの打者だ。)
堂金『おれ…こんなところで何やってんだろ。』
(実力あるんだったら抑えてくれよ?)
堂金『おれの実力…こんなもんだったか?』
バン!!
『ストライーク!!!!!!!!』
《107km/h》
松坂(おっせぇっ。こんなに遅いピッチャー高校になって初めてだ。)
ビュウッ!!!!
松坂『ふん!!!』
『さあこれは空振り!!!!!!!!2球で追い込んだ!!!!!!!!』
松坂(やっべ…。くそ遅い…。タイミング合わねえ。)
ビュウッ!!!!!!
松坂(わかってるんだ!!ボールは見える!!!)
ブン!!!!!
松坂(くっそぉ!まだ早ぇーのか!!)
『空振りの三振!!!!!松坂タイミング合わず!!!!!!!!三球三振!!!!!!!!!』
余語(お前らが今大会で対決した投手はどれも好投手だらけだ。MAX140km/hの長久手大谷の志村。愛農大名林の下村健太、そしてその守護神の長岡剛。大峰明館の149km/h左腕の谷、飯尾。そして上社西の曲者ピッチャー朴昌圭。ドラフト1位候補の猪子石、小木曽。俺ら享神の堂金。どれも素晴らしい高校投手だ。だがな、南浜のような投手は初めてだろう?今までどんな速球投手も打ってきたお前らの打撃センスは認める。だが速球打ちの練習ばっかしてちゃ、南浜の遅球は余計遅く感じるだろ。)
バン!!!
『これも空振りでツーツー!!!』
ビュウッ!!!!!
スカクッ!!!
藤武『スローカーブ!?』
カキン!!
『打ったがこれは引っ掛けてしまった!!!!サードの勾城の正面の当たり!!!サードベースを自ら踏んで一塁へ送球!!!!!!!』
『アウト!!!!!!!!』
『ダブルプレー成立!!!!!ノーアウト満塁の大ピンチでリリーフした南浜 亮、素晴らしいピッチングでこの回を最小失点で切り抜けました!!!!!!』
南浜『よしっ!』
余語『ナイピッチ!!南浜!!』
南浜『いえい!!』
堂金『…。俺のとき…あんなこと言われたことない…。』
鬼頭『おっけえおっけぇ!!享神から3イニングで7得点だぜ!!出来すぎなくらいだ!!切り替えていこーぜ!!』
片野『鬼頭。』
鬼頭『どーしました?』
片野『おまえ、セカンドできるか?』
鬼頭『できますけど…。あ!?』
片野『残念だが副島の意識があまり正常じゃないもんでな…。一度病院へ搬送されるようだ…。』
大場『え…。じゃあ…』
片野『副島は交代だ。代わりに鬼頭をセカンドに入れてライトに藤武。レフトにキムタロを入れる。』
鬼頭『キムタロ。準備できたか?』
木村『ったりめーだ!!ミツルの穴をぜってえ埋めてやるよ!!』
『邦南高校、選手の変更をお知らせをします。』
守備位置の変更↓↓
鬼頭:9→4
副島→木村:4→7
藤武:7→9
島谷倫『ヒロ。肘大丈夫なのか?』
鬼頭『セカンドなら大丈夫だ。』
島谷倫『おっけー。』
松坂(ただ、ミツルがいねえのか…。代わりのキャプテンは副キャプの俺が務めるぜ。)
大場(副島さんの穴はみんなで埋める。内野に博行が入ったことでかなりいい影響があるだろう。)
野中『あーあー…両チームとも選手代えるね。』
川越『副島はさっきのデッドボールの事だろ…。キャプテンが抜けた邦南ナイン…。かたや1年生エースが早々にノックアウトした享神。こりゃ得点以上に荒れた試合展開だぜ…。』
『2番、ピッチャー、南浜くん。』
高校野球をやっていない方へ、
やっている人は分かると思いますが、高校野球界で120km/hが出ないピッチャーはたくさんいます。
甲子園とかでは130km/hだと遅いという認識をされると思いますが、地方大会で130km/hオーバーのピッチャーは普通の高校にとっては結構な速球です。
MAX125km/hくらいのピッチャーが多いですかね。
120km/hでないピッチャーもたくさんいるので一応よろしくお願いしますm(._.)m