No.110:断ちきられる、流れ
『入ったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!2回の表、2点を返し2点差、尚ツーアウトフルベースから1番の鬼頭に逆転の満塁ホームランが飛び出した!!!!!!!!!!!これで6-4!!!!!!!!!!試合はまだ2回ですが目まぐるしい点の取り合い!!!!!!!!』
堂金『満塁…ホームラン。だと…?この俺から…。アイツは…南阪のレギュラー?どーゆーことだ…。名前は鬼頭…。ってことはまさか…あの鬼頭か…?』
余語(こーなることは大体予測できていた…。むしろなんでもっと早くこうならなかったのか不思議なくらいだ。)
『2番、センター、慶野くん。』
カキーン!
『これは二遊間!!!!!!しかしショートの神郷!!!!軽快にさばく!!!!!!!!スリーアウト!!!!!!しかし愛知県立邦南高校、4点とられた後すぐに6点を返し逆転に成功しました!!!!!!』
野中『決勝戦だってのに、あんま引き締まってないな。ノーガードの殴り合いだ。』
川越『享神が邦南から6点も1イニングに取られるなんてそう滅多にあることじゃないぞ。享神の空気を乱しているのは、堂金だと思うぞ。』
野中『だな。アイツだけチームと一体になっていない気がする。』
川越『俺は早く堂金を下ろすべきだと思う。今坂はなに考えてんだ?』
野中『てかなんで今坂って呼び捨てで呼んでんだよ。』
川越『あ、言ってなかったか。スマンスマン。今坂は俺がエースとして夏全国制覇したときの恋女房さ。』
野中『おうぇ!?めっちゃ近い関係だな!!』
川越『アイツの野球論は確かな物だ。だからこそこの場面でなにも考えているはずが無いとは思うが…。』
『2回の裏、享神高校の攻撃は、8番、セカンド、野海くん。』
スカーン!!!
『初球を叩いてレフト前!!!!まずいきなりこの回先頭の1年生野海が出ました!!』
『9番、ピッチャー、堂金くん。』
西口(ピッチャーは絶対に9番に置くっていう高校野球では珍しい享神スタイル。堂金は確か中学ん時対戦した時も9番だった。つまり打力はあまりない。)
『さあ打者の堂金は既にバントの構え。』
余語(堂金はバッティング良いからな…。打たせてやってもいいと思うがゲッツーは避けたいしな。)
コン!!!!
『さあこれは弱い!!!!キャッチャーの西口がすぐに拾って二塁へ送球!!!!!!まずアウト1つ!!!!!!二塁ベースカバーの島谷倫暁も一塁へ送球!!!!!!!!!』
『アウトォ!!!!!!!!!!!!!!』
堂金『ちっ。』
『これは最悪のバントゲッツー!!!!!!!!ランナーを進められないどころか自らもアウトになってしまった!!!!!これでツーアウトランナー無し!!!!!!!』
余語(バントヘタクソだな…。頼むぜ…ほんとによ…。)
『1番、ショート、神郷くん。』
ぼよん。
ぼよん。
ぼよよーん。
西口(さっきの守備といい。1打席目のセーフティバントといい、見た目のわりにめちゃくちゃ軽快な動きするよな。こいつ。)
神郷『お腹減ったな~。』
氷室(点とった後だ。0でいって流れを確かなものにしたい。)
ちらっ。
鬼頭(セーフティだな。また。今度はうまく処理しろよ。ケンちゃん(松坂の呼び名)。)
ビュウッ!!!!!!!
スッ…
西口『またセーフティか!!』
コン…。
『またもやセーフティ!!!!!!完璧なバントか!?!?サード松坂が前進するが投げられない!!!!!!またまた意表をつくセーフティバント成功!!!!!』
鬼頭(バッターがセーフティするときなんて視線に注目してれば簡単にわかるだろ。セーフティするときはほぼ100%そのしたい方向の選手、つまり三塁手のポジショニングを確認してからやるのが普通だ。てかライトの俺でも今の神郷の視線に気づいたのに内野陣は何やってんだか。)
西口(氷室の能力で享神の打者に挑むのは無謀だ。なんとしても2番の有迫でこの回を終わりたい。)
『2番、ライト、有迫くん。』
ビュウッ!!!!!!!
大場『走ったぞ!!!!!!!!!!』
西口(想定内だぜ!!!!!!)
ビュウッッッッ!!!!!!!!!
島谷倫『オッケーナイボール!!!!!!!!!!!』
ズザァッ!!!!!
『アウト!!!!!!!!!!!!』
西口『しゃああああ!!!!!!!!!』
『神郷は盗塁失敗!!!!!!!これでスリーアウトチェンジ!!!!!!!そしてキャッチャー西口はこのガッツポーズ!!!!!!!!闘志溢れます!!!!!!!!邦南高校ナイン!!!!!!!!!!』
余語『しゃーねぇ!!しゃーねぇ!!切り替えてくぞ!!!!!!!』
『『おうよ!!!!!!』』
堂金『ちっ。』