No.109:鬼頭vs堂金 2nd・Round
松坂『さぁて…。追撃すっか。』
堂金『てめぇらはとっとと…勉強でもしてればいいんだよ!!!!!!』
ビュウッ!!!!!!
ズバーーーッッン!!!!!!
《145km/h》
『ボール!!!!!!!!』
『これは高めに浮いてボール!!!!!!』
余語(アイツに合わせたリードをしようとしたが…。これじゃ笑い事にならんな。わざわざ点を取られるリードをしちまった。俺が堂金にカッカしたばっかに…。)
堂金『実力もねえくせに意気がんじゃねぇ!!!!!!!!!!』
ビュウッ!!!!!!!
松坂『うわっ!』
ガツッ!!!!
松坂『ててて…。』
『これはデッドボール!!!!!7番の松坂に対し、デッドボールでノーアウトランナー一二塁。』
川越『荒れてるな。噂の堂金。』
野中『なんかピリピリしてねえか?堂金。』
川越『自分の思い通りの投球ができていないからだろう。よくあるパターンだ。が。』
野中『どうした?』
川越『享神の背番号1を着けた先輩としては、不快だな。』
野中『なにがだ?』
川越『自分の思い通りにならないことにいちいちあーなってたら高校野球で生きていけねえよ。せえぜえ1回戦2回戦レベルの話だなそりゃ。なぜ今坂は北峰をマウンドに上げない?』
野中『北峰…丞か…。昨夏2年生ながらエースナンバーを着け…甲子園準優勝。決勝では青龍寺率いる超名門・啓稜学院に4回途中13失点。ノックアウト。その悔しさをバネに精進し、今年のセンバツでは全試合完投、5試合45イニング全てを投げきり僅か4失点。享神の春制覇に最も貢献した男…。確かにな…。北峰なら強打の邦南もさっぱりだろうな…。』
川越『今坂…変えるなら今だぞ…。早くしなきゃ邦南は逆転してくる。』
野中『おいおい。どっちの応援してんだよ。』
川越『どっちもだよ。』
『8番、レフト、藤武くん。』
堂金(お前らとは…キャリアが違うんだよ!!!!!!!!!!)
ビュウッ!!!!!!!
ビュウッ!!!!!!!
ビュウッ!!!!!!!
『ストライク!!!!バッターアウト!!!!!!!』
余語(まあこのレベルの打者くらい普通にいけるよな。とりあえずワンナウト。前言撤回だ。抑える確率の高い方を取る。)
『9番、ショート、島谷倫暁くん。』
堂金(クソ。テメーらとは格が違ぇーんだ。見せてやるよ。俺の本気をよ。)
余語(アウトを一個とって少し言うこと聞くようになったか。)
ビュウッ!!!!!!
島谷倫『真ん中直球!!!!!!!』
スッ…
島谷倫『捉えた!!!!!!』
ズバーン!!!!!!!
島谷倫『え。』
『さあ初球は空振り!!!!!』
島谷倫(なんだよ。打ったと思ったのに。力みすぎたか…。)
西口『使ってきた。』
小宮『うん。でも僕らも実は初見なんだよね。』
西口『ああ。去年もアイツ手抜いてたから使ってこなかった。』
ビュウッ!!!!!
島谷倫『またど真ん中!!!今度こそ!!!!』
スッ
ズバーーーッッン!!!!!
《140km/h》
『さあまたまた空振り!!!!一気に追い込んできた!!!!!!』
島谷倫『なぜバットに当たらないんだ!?』
西口『見えてないな。島谷さん。』
小宮『ほんっと曲がるの遅いね…。』
ビュウッ!!!!!!!
島谷倫『3球連続!!!!!舐めんなよ!!!!!!』
スッ…
島谷倫『え…。』
ズバーーーッッン!!!!!!!!
『これも空振り!!!!!!3球すべて同じコース!!!!!!ツーアウト!!!!!!!!』
島谷倫(まさか…変化球?だったのか…?いやっ。でも、変化してる様子は…。)
鬼頭(まあ前評判通りのやつだな。この縦変化の変化球だけは。あとは全然期待はずれ。1打席目は俺としたことが余裕がなかったぜ…。こんなヘボピー、さっさとマウンドから引きずり下ろしたいね。まだ勝負したいピッチャーいるし。)
『1番、ライト、鬼頭くん。』
堂金『コイツにも使っちゃおっかな。』
鬼頭『さっさとしてくんねえか?クズ。』
堂金『あ?てめー今なんつった?』
鬼頭『耳悪ぃな。クズピッチャー。』
堂金『死にてぇのか。オマエ。』
鬼頭『別に。早く甲子園行きたいなーって。』
堂金『コロス。決めた。』
余語(馬鹿野郎!挑発に乗んな!!)
鬼頭(キャッチャーの余語くん。確かにいいキャッチャーだ。愛知ナンバーワンキャッチャーって呼ばれるだけはある。いいリードだ。だけどピッチャーが堂金じゃあね…。球種見え見えだよ。堂金くん?)
西口『あの堂金じゃあ…鬼頭さんを抑えるのは無理だな。』
小宮『うん。鬼頭さんの読みは天性の洞察力から来てる。堂金のちょとの変化も全てお見通しだと思う。』
鬼頭(初球は変化球。だな。)
ビュウッ!!!
カクッ!!!!!
ズバーーーッッン!!!
『ストライク!!!!!!』
鬼頭(なるほど。外角のボールから外角ギリギリ一杯のストライクを狙ってきた。コントロールも認めてあげるよ。)
堂金『おいおい!?どーした!?打てねえか!?』
鬼頭『狙ってる球じゃねえし。』
堂金『ほぉ。』
余語(狙ってねえならもう1球スライダーでいきてえが…。堂金が言うこと聞くわけねえし…。)
鬼頭(第1打席と同じ力感。ってことはストレート。行くか。いや、気に食わねえ。俺は打ちてえ球があんだ。)
ビュウッ!!!!!
ズバーーーッッン!!!!!
《147km/h》
『ストライク!!ツー!!』
堂金『これもお気に召さねえか。生意気な雑魚だ。』
野中『地味に147km/hか。1年生だから相当速いな。』
鬼頭『さっさと次の球投げろよ。テンポがおせえんだよ。』
堂金『黙って聞いてりゃグチグチ言いやがって…。マジで殺す。』
余語(多分狙ってる球は縦カッターだろう。だがいくら鬼頭だからといって初見で打てる球じゃねえぞ。)
余語が縦カッターのサインを出す。
堂金『次で決めちまうぜ。コイツが打てるかな?クックック。』
鬼頭『うん。余裕だと思うよ。』
堂金『オマエとはキャリアが違うんだ。調子こいた事言ってっと、死ぬぜ。』
鬼頭『は。キャリアが違う?舐めてんの?無知が。残念だけどな。』
ビュウッ!!!!!!!!!!!
鬼頭『キャリアでS7(おれら)に叶う高校球児は、存在しねえんだぞ?』
スッ…
鬼頭(さっきのトモアキの打席を見る限り、沈むのは約38センチ~39センチってところだ。)
堂金『へっ!』
余語(なにぃ!?!?!?)
鬼頭『ボール、発見。』
スッカーーーーーッッッッッッンッ!!!!!!!!!!!!!!!!
堂金『…。…え?』
ボサッ。
鬼頭『伊達に南阪でレギュラー張ってねえよ。バァカ。たかが日本制覇で満足してんじゃねえ。俺は世界制覇してんだよ。』
『───なん───だと────────!?』