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No.107:退化感



『2回の表、邦南高校の攻撃は、4番、キャッチャー、西口くん。』


多賀谷(たかや)『おっ。拓磨と堂金の対決だな。』

亀丸(かめまる)『さあ。どっちが甲子園に来るか。見物だな。』


多賀谷『おい。岩栗(いわくり)もきたぞ。』


ちなみにこの三人は50話の特別篇に出演してます。


岩栗『よかった。間に合った。拓磨と堂金の対決。てか僕は三重代表だからすぐ帰れるけど、二人は大丈夫なの?こんなところいて。』


亀丸『ああ。この試合偵察したいって監督に言ったら普通にオッケーしてくれてよ。昨日甲子園出場決まったから今日はオフ。S・6の1人、赤嶋(あかしま)先輩も来てると思うよ。』

岩栗『そっか。二人とも甲子園で当たるかもね。』

多賀谷『そんときはよろしくたのむぜ。』

亀丸『てかよ。なんで享神に…勾城がいるんだ?』

多賀谷『それが気になってさっき下で愛知の大会誌買ったけど、やっぱり勾城秀哉だ。あの6番。』

岩栗『え!?なんで勾城くんが堂金と同じチームにいるのさ!?』

多賀谷『知らねーよ。あいつ、誰にも進路の話してなかったし。』

亀丸『これって。裏切りじゃん。俺ら黒シャーのチームメートだったやつらに。』

岩栗『勾城クン…。』




そのころ…バックネット裏では…


水仙『なあ。赤嶋っち。他のやつらは?』

赤嶋『他のやつらって、南阪のやつらのことか?』

水仙『ああ。』

赤嶋『勇翔(ゆうしょう)が今ウンコしてる。』

水仙『青龍寺も明日決勝だよな。』

赤嶋『おう。まあ激戦区の大阪といえ啓稜学院は無難に全国の舞台にやってくるだろ。』


『わりい。ちょっとトイレいってて。』

水仙『遅いぞ。勇翔。』

(かすみ) 勇翔(ゆうしょう)

『ごめんって。最近お腹の調子が悪くてさ。』

赤嶋『相変わらず、ちっちゃいな。』

霞『それ禁句だって。これでも南阪で不動のレギュラー、高校でも1年夏からレギュラーだったんだからね。』

水仙『てかお前。どこの高校行ったんだっけ?九州だよな?』

霞『うん。ちなみに福岡の茜商業(あかねしょうぎょう)。』

水仙『スゲーじゃん。茜商業で1年夏からレギュラーなんて。って事は夏の甲子園は何回目?』

霞『夏は初めてだよ。僕はね。福岡もまあまあ激戦だからさ。やっと自分の力でみんなを甲子園に連れていけてさ。春は2回とも出てるけど両方とも初戦敗退。だから今度こそはってね。』


水仙『そうか。もしかしたら当たるかもな。まあ勝ち上がれば必然的にそうなるけど、もし対戦したらよろしくな。』


赤嶋『神奈川代表の天才私学、美鶴学舎(みつるがくしゃ)高校もよろしくな。』


霞『りょーかい。』




カスン!

『ファール!!!!!』


『さあカウントツーツーからお互い一歩も譲らず次が12球目!!!!!!!』


ズバーンッ!!!!!

《144km/h》


『ボール!!!!!!!カウント3ボール2ストライク!!!!!!』


堂金『ちっ。めんどくせえやつだ。こいつ、確か名古屋東ブラックシャークのやつだろ?背番号12の。あの凡人級のやつ。もう勝負なんて決まってんじゃん。』

ビュウッ!!!!!

カキーン!!!!!


『これも右に切れてファール!!!!!カウントフルカウントのまま変わらず!!!次が14球目!!!!!!』


亀丸『堂金、拓磨に随分と手こずってるね。』

多賀谷『なんか高校に来て堂金レベルのスピードピッチャーには慣れたっていうか…確かに同学年だったらNo.1で速いけど、高校三学年と比べると中の上くらいの球にみえるね。』

岩栗『まあ中3で146km/hって時点で怪物だけどよ。球速の伸び代はあんまり無いな。』


西口(落ちたな堂金。球速はさほど去年の全国の決勝の時とあんま変わってねえけどよ。俺が空振りひとつしねえのは俺が成長したってだけじゃねえ気がするぜ。)


堂金(うぜえな。コイツ。)

余語(だんだんとストレートに合ってきているな。直球を多用すべきじゃない。お前のウイニングショット、オリジナルに考案した縦カッターで撃ち取るぞ。)


堂金(嫌だね。)

堂金は首を横に振る。


余語(ちっ。素直じゃねえな。)


堂金はスライダーのサインに頷く。



堂金(コイツに縦カッター使うとかその時点で胸くそ悪い。てか俺の芸術をこんな序盤から要求しないでほしいね。)


余語(セットが長ぇよ。さっさとさっきのテンポで投げねえと。)


ビュウッ!!!!!!

カクッ!!!!!


西口(スライダー!!見逃せば外れっか!?いや。でも、打てる!!!!小木曽の高速スライダーが打てた俺ら邦南打線が、堂金の覚えたてのスライダーを打てねえはずがねえ!!!!!!!!)


カッッッッッキィーーッッンッ!!!!!!!


堂金『あ?』


『アウトローの若干ボール気味の球を巧く流し打った!!!!打球はライト線際!!!!!!フェアだ!!!!!!!打ったバッター西口は二塁へ!!!!!!!!』


余語(ったく。これだから世話の焼ける1年坊は…。)


小宮『ナイバッチ拓磨!!!!!!』


西口(まさか1打席目からヒットが打てるとはな。)


亀丸『打ったな。拓磨。堂金から。』

岩栗『黒シャーではレギュラーになれなかったけど、高校になってかなり成長したね。拓磨。』

多賀谷『近くに哲都がいるからな。哲都が出ていないのは残念だが、それも大きな刺激になってるんだろう。』



『さあこの回先頭の4番西口のツーベースでノーアウトランナー二塁!!』


『5番、ピッチャー、氷室くん。』


氷室(よっしゃ!おいしい場面で回ってきたぜ!!)


小宮『氷室くんってほんと楽しそうに野球するよね。初回の4失点もまったく気にしてないみたいだし。』


堂金(まだ点取ったわけでもないのにはしゃぎやがって。雑魚が。)



余語(この氷室ってやつ…邦南では1番打者の鬼頭の次に得点圏打率が高い。こーゆー場面では要注意だ。油断するなよ。堂金。まあ言っても無駄か。)


余語が初球、高速シンカーを要求する。


堂金(嫌だね。変化球から入るなんて。)


堂金が当然の如く首を横に振る。



余語『タイム、お願いします。』

『タイム!!!!!』




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