No.104:地に足着かず
ズバーッッッーーッン!!!!
『ストライク!!バッターアウト!!』
『2番慶野は見逃しの三振!!これで二者連続!!』
大場(でも…なんか想像してた程じゃない気がするぜ…。)
『3番、ファースト、大場くん。』
『さあ大場に対しての初球!!』
ビュウッ!!!!!
大場(猪子石の小木曽ほどのレベルの投手じゃなくね!?)
カキーン!!
『打った!!しかしこれはショートの頭上!!ショートの神郷、大きく手をあげる!!』
神郷『おうらい!!おうらい!!』
パシッ!!
『アウト!!』
『まず1回の表、邦南高校は三人で攻撃終了!!享神高校の1年生、注目度の高い堂金 竜星、まずは初回上々のスタートを切りました!!』
堂金『く…。』
余語『初回から当てられたな。バットに。』
堂金『黙ってください。』
余語『あんま同じこと言うのも好きじゃないんだけどよ、もう一回言っとく。』
堂金『黙ってください。』
余語『なあ堂金…。おまえ』
堂金『ウザいですよ。』
余語『…。』
桜沢『はははっ。世話の焼ける1年坊だ。まあそう神経質になるなよ。』
余語『ま…。なにも言われたくなけりゃ、勝ち続けることだな。』
堂金『わかってますよ。そんなこと。言われなくたって。』
余語『ま、頑張れよ。』
北峰『…。隼輝のやつ…。言いたいこと言えばいいのに…。』
桜沢『堂金に自分達の概念をいっても無駄だよ。そーゆー人間環境の中で育ってきてる。言っても無駄だから余語も言わないんだろう。』
『1回の裏、享神高校の攻撃は、1番、ショート、神郷くん。』
氷室『これが決勝戦か!!やっぱ気持ちいいー!!』
ズシン。
ズシン。
ぶよよーん。
氷室『・・・・・・・・・・・?』
西口『デブ…。』
神郷『今日勝ったらどんなお菓子が買ってもらえるかなー?』
西口『え。何この重量感…。確かにスタンドから偵察したときも太ってる感あったけど…。…まさか…ここまでメタボとは…。』
『さあ邦南高校の先発投手、こちらも1年生の氷室 佑介、今日の第1球を大きな体を持つ神郷 太に投げる!!』
ビュウッ!!
西口『よし!!ナイスボール!!』
ズバーン!!
『ストライーク!!』
《121km/h》
神郷『美味しそうな球だなぁ…。』
北峰『このピッチャー、上社西戦で好リリーフしたやつだよな?』
余語『ああ。だが見る限り完全に地方大会レベルの投手。それも1回戦や2回戦レベルだ。』
北峰『昨日14イニング投げきった大場は先発しなかったな。まあどうせリリーフしてくるだろうが。』
余語『まあコイツから取れるだけ点取って、さっさと引きずり出そうぜ。』
ビュウッ!!
神郷『人を見た目で判断しちゃダメだよぉ~。』
コン!!
『セーフティバント!!しかも絶妙!!素晴らしいところに転がしてきた!!』
西口『間に合うぞ!!』
松坂『おりゃ!!』
ドスドスドスドスドスドスドスドス…
西口『えぇ!?』
松坂『マジか!!』
『サード松坂が送球するも悠々セーフ!!享神高校、まず初回リードオフマンの神郷が三塁内野安打で出塁です!!』
氷室『あんなデブのくせに…なんて俊足してやがんだ…。』
西口『落ち着け氷室。まだ初回の先頭打者を出しただけだ。一個ずつアウトを取るぞ…。』
『2番、ライト、有迫くん。』
『さあ2番の有迫は既にバントの構え!!』
余語『ここは素直に送りますか。』
今坂『そんなわけないだろう。相手投手は明らかに実践経験が浅い。一目でわかる。この舞台、今の神郷のセーフティバント成功だけでも自分を失いかけているだろう。…悪いが氷室くん。地に足着く前に貰えるだけ貰っておくよ。』
西口(とりあえず1球様子をみたい。外角直球のボール球だ。)
氷室(一応サインに頷きはしたけど、なんでボールから入るんだよぉ。まず確実に初球でバントさせてアウトを一つ取ろうよ。)
『氷室がセットポジションから投げる!!』
ビュウッ!!
西口『馬鹿野郎!!!!!!!』
スッ…
『バッター有迫バットを引いた!!バスターだ!!!!!!!!』
カキーン!
『打球は一二塁間を破る!!!!!!!一塁ランナーの神郷は二塁を回って一気に三塁へ!!!!!!!!』
北峰『よし!!』
『1回の裏、享神高校、ノーアウト一塁からまさかの強攻策、バスター成功でノーアウト一三塁!!!!!!!』
西口(こーゆーことがあるから初球は様子を見るためにボール球を要求したのに…。ったくこの野郎…。焦りやがって…。)
氷室『くっ…。』
『3番、ファースト、北峰くん。』
西口『タイム、お願いします。』
『タイム!!』
西口『佑介。らしくねえぞ。』
氷室『なにが?』
西口『元気ねえじゃん。』
氷室『そうかな…。』
西口『お前、実戦経験少ないのにさ、あんま自由にならない方がいいぞ。ましてやピッチャーだ。』
氷室『わりぃ。ストライクが欲しかったから…。』
西口『これからは俺のリード通りに投げてくれねえか?お前の実戦登板不足は、俺のリードでなんとかカバーするからよ。』
氷室『うん。わかった。』
西口『それだけだよっ。あ、あと、元気出していつも通り楽しく投げろよ!』
氷室『おっけ!!』
『プレイ!』
ビュウッ!!
氷室『しまっ!!』
ガツッ…。
『デッドボール!!!!!』
氷室『ちくしょう…。Y・H-LOVE ZUKKYUN-ボールが抜けちまった…。』
西口(氷室のやつ…。見失ってるな…。)
『さあ1回の裏、享神高校、なんとたった4球でノーアウトフルベース!!!!!そしてここで打席には…』
『4番、レフト、桜沢くん。』
西口(こりゃ、何度もサポートしてやるしかないな。ボールデッドだし、直接ボールを持っていくか。)
※デッドボールの際はボールデッドなのでプレイが止まっていて、キャッチャーはそのままピッチャーの元へいける。
桜沢『見てろよ。一振りで仕留めてやる。』