No.103:享神のエース、堂金
西口『今日の先発は北峰じゃないのか。』
小宮『どうやら堂金くんでいくみたいだね。いつもとは違うパターンだ。』
西口『それより享神の6番バッター…。』
小宮『勾城…秀哉…』
西口『アイツ…進路は不明にしてたのにな。まさか堂金と共に享神に行くなんてな。』
小宮『あのときの黒シャーのみんなとの約束、忘れちゃったのかな…。』
西口『だろうな。忘れてなかったらわざわざ堂金と同じチームに行くかよ。』
小宮『やっぱそーゆー解釈になっちゃうよね…。勾城クン…。』
『『『お願いします!!!!!!!』』』
『さあ始まりました夏の甲子園予選、全国高等学校野球選手権愛知県大会決勝、2年連続の夏の甲子園出場を目指す愛知の名門、享神高校 対 県内公立高校断トツトップの偏差値を誇る、入学難易度県内トップの公立校、邦南高校の一戦!!先攻は邦南高校!!!!!!!』
『1番、ライト、鬼頭くん。』
『『『プレイ!!!!!!!』』』
『さあたった今プレイボール!!マウンド上の1年生エースの右腕・堂金、注目の初球、投げる!!!!』
ビュワァァウッッッッ!!!!
ズバーーァァーッッッーーッンッ!!!!
『ストライク!!!!』
《139km/h》
鬼頭(139km/hだと!?!?今のが!?どんなすさまじいノビしてやがんだ!?!?)
『さあ第2球目!!!!!!!!』
ズバーーァァーッッッーーッンッ!!
《138km/h》
『鬼頭は空振り!!!!!さあこれでいきなり2球で追いこんできた!!!!!!!』
鬼頭(なんなんだよ!?このストレートは!?)
西口『鬼頭さんでもさすがに1打席目じゃむりか…。』
小宮『そりゃあね…。やっぱ一度対戦してる僕らが中心になるしかないけど…僕は代打要員だからね…。頼むよ。拓磨。』
西口『おう!絶対に堂金から打ってやる!!』
ビュワァァウッッッッ!!!!!!
鬼頭(遠い!!ボールだ!!)
カクウッッッッッッ!!!!!!!!
鬼頭『なにぃ!?!?』
ズバーッッッーーッン!!!!
『ストライク!!バッターアウト!!!!!!』
鬼頭(スライ…ダー?)
小宮『堂金って…スライダーなんか投げてなかったよね!?!?』
西口『お、おう…。でも…え!?なんでだ!?なんであんな精度高いスライダー覚えてんだよ!?』
小宮『知らないよ!!堂金の球種なんて!!縦カッター(縦のカットボール)と高速シンカーくらいしか!!』
西口『まさか…高校になってさらに…翼を広げたってことか…。』
小宮『相手にとって不足はないみたいだね。始めからわかってたけど。』
余語(よし。まずコイツを撃ち取った。相手もスライダーはあまりデータが無かっただろう。俺はそこらの強豪校のやつらと違ってお前らを決して侮ってないぞ。お前らの打力を封じるためにも…堂金の本気を見せてやろう。ま、まだとっておきのフォルムチェンジが有るんだけどな。堂金には。まだそれは見せておかなくていいだろう。)
堂金『所詮高校野球なんてこんなもんだ。昔からちっとも変わりやしない風景。投げる球がキャッチャーのミットに入り、バッターはベンチに帰る。いつも通りの光景…。俺が行きたいのは、メジャーリーグだけだ。』