No.102:愛知県立邦南高校
今坂『なんだと?』
北峰『もう…限界です…。』
今坂『そうか…。俺が無理をさせ過ぎたようだな…。すまなかった。北峰。』
北峰『今日の先発の件ですが…。』
今坂『堂金を呼べ。』
北峰『はい。』
…
……
堂金『わかりました。アタマからいきます。』
北峰『この事をチームで知っているのは今坂監督とキャプテンの余語だけだ。桜沢でも知らない。内密に頼むぞ。』
堂金『わかってます。』
北峰『堂金…。』
堂金『?』
北峰『決勝は…頼んだぞ。』
堂金『はい。負けませんよ。絶対に。』
そのころ…
氷室『うーっ!!』
ズバーン!!
西口『ナイスボール!!!』
氷室『次!!Y・H-LOVE ZUKKYUN-ボール!!』
西口『あいよ!』
(前回の強打上社西戦では無失点に抑えた。あの時は緊急リリーフで肩があまりできていない状態でのピッチング。やはり投げ込みをしている今日は球の質が前回登板とは大違いだ。こりゃ期待して損はないかもな。)
大場『元気だな。氷室。まだ8時だぞ。プレイボールは午後1時。それまでにバテるなんて事はやめてくれよ。』
氷室『いやぁ初先発が決勝戦だなんてテンション上がっちゃって。』
大場『まあ良いことか…。』
氷室『肘の調子はどうなんですか?』
大場『痛み止めを後で打つつもりだ。そうすりゃ若干のロングリリーフくらいなら可能だが、医者の話だと50球くらいで切れ始めてくるらしい。まあ痛み止めの使用が人生初だから効き目長持ちだってよ。たった50球なのに。』
氷室『まあ僕が完投するんで。』
大場『そうしてくれると大いに助かるね。頑張れよ。』
氷室『はーい。』
鬼頭『ミツル!!何時くらいに学校出発すんだ?』
副島『今のところ11時過ぎくらいの予定。』
鬼頭『あと3時間か…。内外野連携でもやろうぜ。打撃練習ばっかじゃなくてよ。』
副島『だな。まあ今はみんな気持ちよく打たせてやってるよ。』
ちなみに今学校で試合前に練習している邦南高校野球部は今日肘痛であまり投げられないエース大場に代わって先発する氷室とキャッチャーの西口がブルペン。あとの部員は打撃練習をやっている。
副島『ヒロ。スタメンの話なんだけど。』
鬼頭『おう。どうした?』
副島『俊足の藤武をスタメンに入れて足も絡めていきたい。レフトのキムタロをベンチに下げて藤武…。どう思う?』
鬼頭『いいと思うぜ。キムタロ打撃不振であんま信用できる状態じゃないし。どちらの方が勝利に貢献できるかって言ったら藤武っしょ。』
副島『小宮も打撃の状態が素晴らしいだけにスタメンに入れたいんだけどな…。』
鬼頭『やっぱまだ完治してないし…てか守るところが無いじゃん。全力疾走が出来ないんだったら。』
副島『まあ代打に小宮がいるってだけで安心できるってのもあるからな。』
そのころ…
先生『今日の補習は3時までの予定だったが12時までな!!』
生徒『えーなんでですか!?』
先生『みんなで野球部の応援にいくぞ!!』
生徒『えー勉強したいー!!てか外暑いよ!!!』
生徒『野球とかわかんないよ!!』
先生『野球部の応援が補習だ!!欠席は許さん!!12時にバスが10台くらい来る!!』
生徒『はーい。』
そして時刻は午後12時30分
場所は愛知県最大の大きさを誇り、去年新設された中村公園球場。
両翼110メートル。センターは125メートルという球場。
先攻・邦南高校
1:RF:鬼頭 (3年)
2:CF:慶野 (2年)
3:1B:大場 (2年)
4:C:西口 (1年)
5:P:氷室 (1年)
6:2B:副島 (3年)
7:3B:松坂 (3年)
8:SS:島谷倫 (3年)
9:LF:藤武 (1年)
後攻・享神高校
1:SS:神郷 (3年)
2:RF:有迫 (2年)
3:1B:北峰 (3年)
4:LF:桜沢 (3年)
5:C:余語 (3年)
6:3B:勾城 (1年)
7:CF:古瀬 (3年)
8:2B:野海 (1年)
9:P:堂金 (1年)