No.10:キャプテンVS下村兄弟
(ザァザァ!!ザァザァ!!)
六回の攻防も終わり、試合は七回の表、9-0で愛農大名林が9点のリード。この回で3点以上とらなければ七回コールドが成立する。
健太『結局七回コールドか。まああのピッチャーやな4連続で三振にとられてちゃしょうがねぇ。』
名林のエース下村健太はここまで6イニングを投げ被安打0、四死球2のノーヒットピッチング。
『3番、ピッチャー、小宮君。』
(ザァザァ!)
健太『雨がつぇーな。こりゃ投げにくいな…。』
健太が小宮へ第一球を投げる。
小宮(高い!もらった!)
(カキン!!)
大場『しゃあ!やっとヒットが出たぜ!ナイス小宮!!』
小宮は実に8打席ぶりのヒットだった。
『4番、キャッチャー、西口君。』
西口『コイツは確実に試合を早く終わらせようと焦ってる。ノーゲームになったら勝ちゲームを捨てるようなもんだ。だから…』
小宮(初球はストライクを取りにくる…)
健太『だぁっ!』
西口『このカーブでカウントを取りにくると思ったぜ!!』
(カキーン!!!!)
健太『ちくしょう!雑魚があがきやがって…。』
打球は右中間を破って好スタートを切っていた小宮は一気にホームイン。打った西口も三塁へ。
これで9-1。
『5番、セカンド、副島君。』
…
…
そして…
『ボール!カウントスリーボール!』
健太『ちくしょう…ボールが滑る。』
南『あーぁ。ノースリーかよ。さっさと終わらせてほしいねー。』
長岡『まったくだ。』
副島(俺はこのチームのキャプテン…だけどまだチームのための最低限の仕事もやってない。)
大場『副島さん!打てぇ!!』
副島(この兄弟バッテリー…。案外リードは単調だ。カウントを取りにくるときは外角の変化球か低めの直球だ。でも西口に打たれた外の変化球は使いづらいだろう。)
誠(これ以上ランナーをためるとまずい…兄貴は少しだとはいえ球威が序盤よりも落ちている。とにかく低めだ。アウトローから真ん中低めってところかな。)
誠はアウトロー直球のサインを出した。
健太はそれに頷いた。
副島(直球だろう。さらにこのカウントだ。インコースはない。このピッチャーもこのイニングが7イニング目だ。いくら好投しているとはいえ、たまが浮く可能性は十分にある。だから、真ん中低めもない。となると…外角低め。これで決まりだな。)
心理戦は完全に副島が勝った。
そして健太が投げた。
副島(アウトロー直球!!完全に予想通り!!!)
(ガッ!!!)
誠(コイツ!!こんなに踏み込めなんて!クソッ!配給が読まれていたのか!!!!!)
(カッキィーーッッン!!!)
(ゴン!!!)
木村『ツーラン…ホームラン…!!』
副島『しゃあぁぁぁ!!!!!』
下村兄弟VSキャプテン副島
の対決は副島に軍配があがった。
これで点差は9-3。
ここから、邦南の逆襲が始まる…。